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2014.03.08

【特集】高校時代の甘さを反省し、世界へ飛び立つ! 佐藤喜歌(自衛隊)の台頭で女子63kg級が熱く燃える!

(文=樋口郁夫)

3月15日(土)~16日(日)に東京・小豆沢体育館で行われる第14回女子ワールドカップ。日本代表の16選手(各階級2選手)は、ほとんどがシニアの主要国際大会(世界選手権、ワールドカップ、アジア選手権、ゴールデンGP決勝大会)への出場を果たしている選手だ。そうでない唯一の選手が60kg級の佐藤喜歌(はるか=自衛隊)。昨年の全日本選手権63kg級で3位に入賞した実績が認められての抜てきだ。

 4月のアジア選手権(カザフスタン)出場の“内示”も受けており、続けざまに好機を手にした。「ワールドカップは、選ばれるとは思っていませんでした。まだ実感が沸きませんが、代表になった以上は試合に出て勝ちたい。年の初めから続けざまにチャンスがめぐってきました。いい感じでスタートできる年になりそうです」と燃えている。

■自衛隊選手の覚悟のすごさに驚がく!

 静岡・焼津ジュニアスクール出身。父・隆さんがレスリング選手だったことで、保育園の頃から1歳上の兄とともに遊び半分でレスリングに親しんだ。レスリングから離れそうになった時もあったが、親から「これだけは続けなさい」と頼まれるように言われ、マットを降りることはなかった。

 クラブの方針が、勝利を追い求めるより、「楽しさの中でレスリングをやる」ということもあり、初めて全国少年少女選手権に出場したのは小学校5年生の時(2003年=女子36kg級)。見事に初出場初優勝。これが自信となってレスリングにのめりこんだ。しかし、意気込みとは裏腹に、中学、高校(焼津水産高)では全国一がなく、次に全国大会で優勝するのは自衛隊入隊2年目(体育学校入校直後)となる2012年ジュニアクイーンズカップまで待つことになる。

「中学時代は勉強との両立を考えていましたので、3年生で3位になってよかった、という気持ちでした。高校では2位が多かったです。最後まで闘う体力と集中力がないんですね」(笑)。自分よりレスリングのキャリアがずっと短い村田夏南子に投げ技であっさり負けたこともある。あっさりすぎて「悔しさすら感じませんでした」という負けもあったが、振り返ってみると、全国一を目の前にしながら手にできなかったのは「悔しかった」。

 その悔しさを晴らしたい気持ち、応援してくれる家族の期待にこたえたい気持ち、何よりも「レスリングが好き」という気持ちから、自衛隊を選んでレスリングを続けることになった。世界を目指す“プロ集団”に加わって感じたことは、「このくらいの覚悟をもってやらなければ、勝てないんだ…」というカルチャーショック。高校時代の自分がいかに甘かったかを痛感した。

■全日本選手権の表彰台に立ち、次は世界への飛躍

 そんな衝撃が、やる気に変わってくれた。入隊直後のジュニアクイーンズカップで実に8年8ヶ月ぶりの全国一となり、3週間後のJOC杯でも優勝。翌月の「ハリ・ラム・グランプリ国際大会」(インド)でもカザフスタン2選手、モンゴル、インドの4選手を相手に無失点で勝ち抜いて金メダルを獲得し、周囲が驚くほどの急成長を見せた。心境の変化が大きな要因であったことは間違いない。

 その後は勝ったり負けたりを繰り返し、勝負の世界の厳しさを再び経験するが、昨年の全日本選手権で、3連敗中の歌田圭純(東洋大)を破り、初めて全日本レベルの大会の表彰台へ。ひとつの壁を乗り越えたといったところで、いよいよ世界へ向けての飛躍が始まる。

「自衛隊へ入隊して影響を受けた人や出来事は?」との問いには、「すべてです」と即答。半年間の集合教育(入校前の半年間の練習)でコーチから親身の指導を受け、クイーンズカップではこれまで経験がないほど「勝ちたい」という思いが沸いてきたこと、選手の意識の高さ、スパーリングで顔をぶつけながらも前へ出ることをやめない選手、同じチームで練習している選手がオリンピックで金メダルを取ったこと…。

■伊調馨が築いた女子63kg級の伝統は確実に引き継がれる!

 そうした中から出てきた気持ちは、「練習でやってきたことを、試合ですべて出そう」という思い。結果を残さねばならないプロ集団だが、「それをやっていけば、自然に結果がついてくると信じています」と言う。

 オリンピック出場を果たすには、63kg級全日本チャンピオンの渡利璃穏(至学館大)や同2位の伊藤友莉香(自衛隊)を破ることが必要だ。今大会は国別対抗団体戦なのでライバルへの挑戦は休戦。練習でやってきたことを世界の強豪相手に試す場となる。それがしっかりできたなら、今年の下半期、女子63kg級は稀に見る大激戦階級と変わるだろう。

 伊調馨(ALSOK)が階級を下げ、工藤佳代子(自衛隊)がアップして弱体の懸念もあった日本の黄金階級は、佐藤の躍進によって力強く底上げしていきそうだ。


 







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