【世界選手権第６日・特集（インタビュー）】男子グレコローマン130kg級・園田新（拓大）

（撮影＝保高幸子）

ロシアをフォール寸前に追い込んだ園田新（拓大）

　――ロシアにあわやフォール勝ちの内容。残念でしたね、

　園田　西口先生（男子グレコローマン強化委員長）から「国際大会だとああいうこともある」と言われ、その通りだと思います。あそこできちんと押さえられるか押さえられないかが勝負どころでした。あの後は目茶苦茶で、自爆して負けた。実力的にはロシアの方が上。外国選手に負けない体力をつけて、来年のラスベガスでのオリンピックの予選（世界選手権）に勝ってリオデジャネイロに行けるよう頑張りたい。

　――フォールしていたという感覚は？

　園田　フォールしたとは思っていなかった。ついたらいいな、という気持ちでした。ここで４点差がついたので（注＝実際にはバックに回られたので３点差）、いつも通りのレスリングをすれば、もうちょっといい闘いができたと思っています。

　――あの首投げは狙っていた技ですか？

　園田　練習ではあまりやっていないですが、８月の世界ジュニア選手権でウクライナの選手相手にやって、そのイメージがちょっとだけあったので、試合前からやってやろうかな、という気持ちはありました。

　――世界選手権の最重量級で日本選手がロシア選手を投げ飛ばすことなど、なかったことだと思いますが…。

　園田　西口先生から「重量級の中ではいい試合した」と言われましたが、負けているので、体力もスタミナもまだまだです。まだのところはいっぱいある。日本へ帰って課題を見つけてどんどんやっていきたい。

　――リードしているのに、なぜ焦ったのでしょうか。

　園田　相手の力が強く、いつもなら差しを巻き返せるのですが、巻き返すことができずに焦ってしまいました。先に行かなければならないという気持ちが焦りにつながりました。

　――今までに感じたことのない力強さでしたか？

　園田　そういう力ではないですね。試合では、もっと力の強い選手と闘ったことはあります。違うタイプ、元フリースタイルの選手らしく頭を下げて来たところがやりづらかったです。それがあったから首投げがかかったのだと思います。あそこが勝負どころでした。

　――相手はフリースタイルで３度世界一に輝いている選手ですが（ロンドン・オリンピック後にグレコローマンへ転向）、名前負けとかは？

　園田　いえ。ビデオはないとのことで、前の日に元フリースタイルの選手だということを聞きました。世界チャンピオンだったんですか？　今初めて知りました（笑）。ですから、気負いもなく、持てる力は出せたと思います。最初は自信を持ってやれました。最後に焦って投げ技が自爆してしまって、あまりよくなかった内容だったと思います。

　――グレコローマンの最重量級は日本選手の中で一番世界と距離がある階級だと思います。そういう状況の中で、ロシアとこれだけの試合ができたということは、いかがですか？

　園田　自信にはなりました。これからもっといろんな大会に出ると思いますが、たまたまであっても、投げ技がかかったのは、自分の自信になります。

　――試合前日までの練習などで、ミハイン・ロペス（キューバ）とはやりましたか？

　園田　ロペスとはやっていません。リザ・カヤルプ（トルコ＝2011年世界王者）と仲よくなり、練習しました。目茶苦茶強かったです。アメリカや他の国の選手ともやりましたが、カヤルプの力、巻き返しの速さ、体力に至るまで、軽くやっただけなんですが、この人は強い、と感じました。この中でどうやって勝っていくかは自分次第。日本に帰ってからやることはたくさんあるので、この結果に落ち込むことなく、ひとつの経験だと思って、これからもっとどん欲に頑張っていきたい。