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2015.01.11

【特集】“プロ集団”でもまれて進化した学生王者、現在の悩みは階級…男子グレコローマン71kg級・花山和寛(自衛隊)

 早大時代にJOC杯や全日本学生選手権での優勝はあるが、全日本の2大大会(全日本選手権、全日本選抜選手権)ではメダルに縁がなかった男子グレコローマン71kg級の花山和寛が、自衛隊に進んで1年目にして全日本選手権2位に躍進。“プロ集団”でもまれた成果を発揮した。

 花山は「まだまだです。技術はないし、自分のレスリングが確立されていない。こういうところ(全日本合宿)でしっかり練習して実力を上げていきたい」と話す。非オリンピック階級であるため、今年6月の全日本選抜選手権は階級を変えるという関門に取り組まねばならないが、恵まれた練習環境と全日本合宿へ参加を認められたことで、今後の飛躍が期待される一人に成長した。

■半年間のブランクを乗り越えて全日本2位へ

 井上智裕(三恵海運)との決勝は、第1ピリオドの中盤、井上を場外際まで押し込みながら、一本背負いを受けて4失点。これ決勝点となって0-4での黒星だった。「腕を出したところを投げられた。ちょっとしたミスでした」。ばてさせられはしたが、その一瞬以外は練習通りの力を出せていたと感じているだけに痛恨の4失点。初めて表彰台に立った喜びはなく、「悔しいです」という気持ちが残った。

 しかし花山の場合、一般自衛官として入隊し、半年間、自衛隊としての基礎を学んでから体育学校へ加われる“雑草コース”。最初から体育学校に配属されるエリートコースではない。自衛隊でのレスリング活動は約2ヶ月という状況で臨んだ全日本選手権だった。

 身についた技術は簡単に忘れないだろうが、体力面でのブランクは大きいはず。全国社会人オープン選手権に出場したものの、全国レベルの大会出場も空いてしまったので試合勘を取り戻す経験も必要。それらのハンディを考えれば、2位という成績は上出来ではないか。

 その問いに対しては、「う~ん」と明言しなかったが、「約2ヶ月の練習で、卒業頃の自分に戻りましたか?」という問いには、「戻ったというより、別の世界に行った、という感じです。今までとはスタイルも変わっています」と答えた。世界を目指す集団での練習は、これまでやってきたレスリングよりワンランク上だという感覚はあるようだ。「進化しなければ、世界で通用しないでしょう」とも話す。

■辛かった卒業後の9ヶ月間だったが、最後は全日本選手権の表彰台へ

 もっとも、自衛隊員としての教育期間中は、「辛くて、やめようと思ったんですよ」と笑う。「最初は、『もう少し頑張ればレスリングができる』と思っていたのですが、そのうちにそんな気持ちもなくなってしまいましてね…」。3.5kgの銃を持って走るなどの訓練の肉体的な辛さや、時間・規律の厳しさなど、国防に携わる人間なら当然必要な訓練の毎日は、学生王者に輝く体力の持ち主でもハードな内容だったという。

 「体力的にきついと、気持ちもやられてしまうんですよね」。レスリングを離れるこの時期、「レスリングを見つめ直すいい機会でした」と口にした人もいるが、花山は「そんな余裕はなかったです」と振り返る。

 そうした時期を乗り越えて体育学校での練習に加わっても、今度はレスリングの体力が落ちているので、またも苦しい日々が待っていた。それでも、11月末の全国社会人オープン選手権は、「苦しいことをやってきたんだから、頑張るぞ」という気持ちが湧いてきて優勝でき、全日本選手権の出場資格を獲得。表彰台へ上がる成績へつなげることができた。

■すぐに決めなければならない階級のアップかダウン

 このあと、決断しなければならないのは階級。「75kg級では、今の実力では全然通用しないでしょうし、66kg級にすると、減量に追われて強くなれないような気がして…」と、上げるか下げるか決めかねている状況だ。前年の全日本選手権は66kg級にエントリーしながら、あと50グラムが落ちずに計量失格してしまった。この経験も、66kg級へのダウンを即断できない理由なのかもしれない。

 だが、オリンピックを目指して自衛隊に進んだ。2020年東京オリンピックまで続けるかどうかは考えたこともなく、来年に迫ったリオデジャネイロ・オリンピックが当面の目標だ。すぐに決断し、体をつくっていかねばならない。「そうなんですよね。う~ん…!」と苦笑いするが、すぐに苦笑が真剣な表情に変わることだろう。

 「自衛隊は練習相手に恵まれています。最高に強くなれる環境です」。筋力アップ、あるいは減量というフィジカル面での指導も、自衛隊にまさる練習環境はない。ワンランク上のレスリングを吸収中の元学生王者の飛躍が期待される。


 







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