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2015.03.24

【特集】復帰ロードで力強く加速し始めた重量級期待の星…男子フリースタイル97kg級・園田平(拓大)

 日本重量級の将来をになうべき逸材がマットへ戻って来た。2013年度、男子フリースタイル96kg級で高校高校四冠王(全国高校選抜大会、インターハイ、全国高校グレコローマン選手権、国体)を達成した園田平(拓大=当時は滋賀・日野高)。昨年4月の全日本合宿に大学1年生として唯一参加を認められる抜てきを受け、大きな期待を受けていたが、3週間後のJOC杯ジュニアオリンピックの決勝で右ひざを負傷(前十字じん帯断裂)。長期離脱を余儀なくされた。

 昨年10月のターゲット合宿で、久しぶりに味の素トレーニングセンターにその姿があったが、角一哲児トレーナーの指導のもとで筋力トレーニングに終始していた。全日本合宿でマットワークをするのは今回が約1年ぶり。

 園田は「この環境に戻らせてもらったことを感謝したい。全日本レベルの選手とスパーリングできる喜びを感じています」と本格的な全日本チーム復帰がうれしそう。復帰戦となるJOC杯ジュニアオリンピック(4月25~26日、神奈川・横浜文化体育館)へ向けて調子を上げていく予定だ。

■絶望的な気持ちを力強く支えた兄・園田新(グレコローマン130kg級)

 負傷した昨年のjOC杯決勝、吉川裕介(山梨学院大)戦を振り返る。園田がタックルへ行ったところ、相手がカウンターの投げ。園田のバランスが悪かったようで、右脚に2人の体重がかかってしまい、あってはならない方向に倒れてしまってひざに激痛が走った。担架で運ばれて病院へ。翌日の精密検査の結果、じん帯が切れていることが分かって長期離脱が決まった。

 この大会、実は復帰戦だった。高校生最後の国体が終わったあと、痛めていた右ひざの半月板の手術に踏み切って戦線離脱。強豪高校生が高校生活の総決算として参加する全日本選手権も棄権し、再起にそなえた。その第一戦でのアクシデント。「振り出しに戻ってしまった、また取り残されるのか、と絶望的な気持ちになりましたね」と振り返る。

 こうしたケースでは、監督やコーチなど周囲の励ましが選手を支え、復帰を助けたという話はよくある。園田も「多くの人から『焦っても仕方ない』と言われました。気持ちを平静に持ち、着実にリハビリをやってきました」と振り返る。何よりも、グレコローマン130kg級で世界選手権代表を勝ち取るまでに成長していた兄(新=拓大)の存在が大きかった。「焦らずに行け」。幼い頃から面倒を見てきてくれた肉親の言葉は、大きな安心感を与えてくれた。

 同期の強豪が世界に飛び立ったり、国内で結果を出すのを横目に、園田は国立スポーツ科学センター(JISS)に通ってリハビリと筋力トレーニングに打ち込む日々が続いた。授業がない時は長期間泊まり込ませてもらってリハビリに専念し、復帰を目指した。「普通では考えられないようなことをしてもらいました」。重量級の貴重な戦力をカムバックさせるため、周囲も最善の努力をした。

■拓大の125kg級にスーパールーキーが加入し、刺激を受ける

 筋肉は使わないと退化するもので、例えば足の骨折から復活してみると、左右の筋肉の太さが違っているのが分かる。園田の場合も、手術直後の右脚の筋肉の衰えはすごかったという。しかし、その後のリハビリと筋力トレーニングのおかげで、筋力や体幹は「以前より強くなっていると感じます」とのこと。

 園田が目指す全日本王者の山口剛(ブシロード)も、昨年、ひざの負傷によって長期離脱したが、復帰戦となった昨年12月の全日本選手権はずば抜けた強さで優勝した。ブランク期間中の徹底した体力トレーニングの成果も大きいはず。逆境をマイナスに考える人間は前進できない。園田も「このブランクが無駄にならないようにしたい」と、トレーニングに専念できたことをプラスにもっていく気持ちだ。

 拓大でマットワークを開始したのは今年に入ってから。当然、最初は怖さがあった。「慣れることで徐々に消えていきました」とは言うものの、全日本合宿となると「無意識にブレーキがかかっています」という状況。高校四冠を制した技術は忘れていなかったが、「技を出すタイミングが戻っていないです」。ブランクは随所にあるのは仕方ない。JOC杯までの約1ヶ月でどこまで回復できるか。

 幸い、復活へ向けて好条件はそろっている。この春、拓大には高校の5大大会(園田の制した4大会とJOC杯ジュニア)の120kg級を制した山本泰輝(静岡・飛龍高卒)が加入。格好の練習相手が加わった。「あの体でばんばんタックルに入ってくる。すごい刺激になっています」と、その身体能力のすごさは園田も舌を巻くほど。グレコローマンが中心とはいえ兄もいて、フリースタイルでの相手もしてくれる。

 「せっかく拓大に引っ張ってもらったのに、1年間、何もできなかった。今年はしっかり貢献したい。まずJOC杯です。そこで勝って、リーグ戦、インカレ、グレコ選手権と勝って恩返しがしたい」。復帰ロードは、力強く加速を始めた。


 







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