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2015.03.29

【全国高校選抜大会・特集】元アジア2位の監督率いる八戸工大一(青森)が13年ぶりの出場で2試合を勝ち抜く

(文=増渕由気子)

 2001年にインターハイを制した八戸工大一(青森)が13年ぶりに全国高校選抜大会の学校対抗戦に出場し、初戦の隠岐島前(島根)と2回戦の大和広陵(奈良)を勝ち抜いてベスト16に進出した。3回戦で全国大会の常連校、玉名工(熊本)に2-5で敗れて第2日に駒を進めなかったが、久々の全国の舞台で“復活劇”は十分に見せたと言えるだろう。

 チームの指揮を執ったのは、元自衛隊でアジア選手権2位などの実績を持つ男子フリースタイル60kg級のトップ選手だった大館信也監督。3年前に自衛隊を離れて帰郷。母校の八戸工大一に赴任した。

 同校は2012年ロンドン・オリンピック金メダルの小原日登美選手や男子フリースタイル70kg級の全日本王者の小島豪臣選手らを輩出した高校で有名。だが、3年前に大館監督が赴任した時は、「人数も7人程度で、自分の母校として寂しく思った」と、自分たちがいた時の活気な印象はなかった。生徒たちも、ばく然とした目標しかなく、チームの中での闘いを制したら満足してしまう状態だった。

 顧問の大久保啓光先生と二人三脚で立て直し決意し、部員集めから着手した。「地道に一般生徒に声をかけ、柔道経験者の自宅に行って勧誘したりしました」と根気強く続け、現在の部員は新2、3年生で16名に増えた。

 昨年の夏にはインターハイ出場にこぎつけた。結果は2回戦敗退だったが、「生徒たちは初の全国の舞台で、しかもマットステージの上で闘い、1回戦を勝って気持ちがよかったと思います。そこで勝ち上がった選手を『うらやましい』と思ったと思ったようです」。インターハイを経験した部員たちには、“もっと上に行きたい”という目に変わったという。

 大館監督は「マットステージで闘うって、普通の高校生にとってはすごいことなんですよ。観客や天井が近くて、セコンドの声が普段より全然聞こえない。すごい世界で闘っている感覚になるんです。僕だってそうでした」と転機を振り返る。

 今回の団体戦では、東北の強豪校、秋田商(秋田)が初戦で姿を消すなど波乱があった。「生徒たちは、強豪の秋田商が敗れて、あっけにとられて動揺していました。けれど、これが全国なんですよね。自分たちの試合以外でも、全国に来る価値はあります。100本のスパーリングより1本の試合です。経験がすべて。全国で3試合闘ったことに加えて、全国の試合を見られたことが、今の生徒たちにとって一番の糧です」。

 八戸工大一の生徒たちが上位進出ならなくても成長したことは間違いないだろう。

 今回は久々の全国選抜で2試合を勝ち抜いてベスト16とインターハイの成績を上回り、満足する部分もあったと思う。だが、大館監督は「欲を言うなら、もう一つ勝って準々決勝で花咲徳栄(埼玉)と対戦したかったですね」と話す。昨年のインターハイ団体優勝を遂げたチームと対戦して、生徒の経験値を上げたかったことはもちろんだが、監督自身の都合もある。「花咲徳栄を率いる高坂先生は、僕と同い年の34歳。高坂先生に挑みたかったんです」と苦笑いする。

 ここ数年、霞ヶ浦と全国2強と言われた花咲徳栄(埼玉)と接戦勝負ができる日も、そう遠くないかもしれない。昨年の長崎国体では世界カデット選手権にも出場した55kg級の永田丈治が準優勝。全国で活躍する選手も出てきた。「永田は、今回の個人戦は第1シードで優勝するチャンスがある。僕がずっと2番だったから、生徒たちには1番になってもらいたい」と大館監督。八戸工大一の再興なるか-。


 







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