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2015.04.23

【特集】国際大会で2大会連続優勝! 夫となり、父となることで実力アップ…男子フリースタイル・松本篤史(ALSOK)


(文=保高幸子)

 日本の男子レスリングは軽中量級の活躍が目立っていた。近年、重量級も力をつけている。男子フリースタイル86kg級の松本篤史(ALSOK)もその一人だ。

 この冬、全日本チームの遠征で参加したブリヤート国際大会(ロシア)とモンゴル・オープン(モンゴル)で、シニアの国際大会で初めての優勝を経験。しかも2大会連続での優勝で、初めて世界レスリング連盟(UWW)のランク入りも果たした(2015年4月時点で20位)。

 このあとは、5月6~10日にカタール・ドーハで行われるアジア選手権の代表に決まっている。松本は「アジア選手権で負けたら、冬の遠征で獲得した金メダルの意味はない」ときっぱり。遠征の結果に満足せず、このアジア選手権で確固たる実力アップを証明する腹積もりだ。

■兄・隆太郎に続けなかったロンドン前、その後も乗り切れなかった

 松本の兄は2012年ロンドン・オリンピックの男子グレコローマン66kg級銅メダリスト、松本隆太郎(現日体大職)。2010年の世界選手権(ロシア)では兄弟出場を果たし、アジア大会(中国)にも2人で出場した。しかし、兄が両方の大会でメダルを獲得したのに対し、篤史は結果・内容ともに芳しくなかった。

 試合では極度の緊張に襲われ、自分のレスリングが何もできなかった。「格下の相手にふがいない試合で敗れ、悔しかった」という内容で、経験不足を隠し切れなかった。ロンドン・オリンピック出場をかけた2011年は国内の闘いでも勝ち切れず、もどかしい年へ。

 2012年にはオリンピック予選出場の機会を得たが、勝ち抜くことはできず、オリンピックには届かなかった。その後も、国内では松本真也(警視庁)と勝ったり負けたりを繰り返し、国際大会でもなかなか結果を残せなかった。

 しかし昨年2月に結婚。これが契機となったのか、同年の世界選手権(ウズベキスタン)で覚醒(かくせい)の兆しを見せた。4試合を闘って2勝をマーク。「周りが見えていたし、セコンドの言葉も聞こえていた。自分の間合いで、相手にすきを見せないようなレスリングができた」と話し、上位入賞はならずとも変わったのは明らかだった。

■“劇的変化”ではなく、小さなことの積み重ね

 そして今冬の好成績。「今までだったら、ブリヤート国際大会では準決勝のウクライナ戦で負けていたと思う。あそこで勝てたのは、気持ちが変わったから」と話す松本に、何が変わったのかを聞くと、「家族ができ、守るものができたことですね」と即答。妻・りさ子さんにも「結婚してから負けなくなった」と言われているという。

 7月末には第一子が生まれる予定で、守るものが増える。「妊娠初期に入院した妻をみていて、勝たなければという気持ちが強くなりました」と、かみしめるように話した。

 技術面でも変わった。以前なら焦って強引に動いてしまい、突進したところを相手に取られるなど、自分の動きができず終わってしまう展開が見受けられた。「前半でできるだけ失点を抑え、6分間をフルに使って取りかえすのが自分のレスリング。焦らずいけばできると分かっていたのに、以前はなぜかできなかった」と言う。

 遠征では、出発前に「調子は良くない」と感じていたにもかかわらず、「組み手の段階で、効いていることがわかった。自信を持って攻められたと思う」と振り返る。重心が落ち、構えが安定したことはコーチも認める。

 「腰が浮いたまま突っ込んでしまってゾーン際で投げられる、というような展開を招く焦りがなくなり、うまく対応できるようになってきました」。それは“劇的変化”ではなく、「小さなことをコツコツと修正していった結果」だと松本は言う。小さな一歩が大きな結果を生んだ。

■「若手よりパパが強い」ときっぱり

 アジアのこの階級は、イランがずば抜けている。松本も、好調だった昨年の世界選手権でもアスカリ・モハマディアンに0-10のテクニカルフォールで敗れている。今回のアジア選手権に参加するかどうか分からないが、「イラン相手にどれだけできるか。他の選手には、いかに勝ち切るかが大事」と、目標ははっきりしている。

 夫となったことで大きな成長を見せた松本。最近は生まれてくる子の胎動を感じるようになり、いよいよ、父となる実感も湧いてきたという。昨年6月の全日本選抜選手権では成長著しい赤熊猶弥(自衛隊)に11-10の辛勝。冬の遠征でも対戦し、4-2で勝ったが、若い力が伸びてきていることを実感しているはず。

 しかし、「若手よりパパが強いというところを見せたい」と“ベテランの顔”で話す。昨年の世界選手権は男子フリースタイル・チームの最年長としての参加で、先月27歳になった。「リオデジャネイロ・オリンピックをレスリング生活の集大成と考えているので、絶対に負けられない」-。

 ロンドンのキップを逃した経験が、松本の気を引き締める。「失敗を繰り返したくない。そうならないように心得て練習している。もう情けない試合はしない」と心強い発言。リオデジャネイロへ一直線で進むためにも、このアジア選手権で、実力が本物であることを示すつもりだ。


 








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