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2015.07.12

【全日本社会人選手権・特集】全日本選抜選手権の逆転負けを払しょくする初優勝…伊藤彩香

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 “優勝”の二文字で会社に恩返しだ! 全日本社会人選手権の女子60kg級は、至学館大をこの3月に卒業し、この大会初出場の伊藤彩香(東新住建)が、決勝で佐藤喜歌(自衛隊)を2-0で破って大会初優勝を遂げた。だが、優勝しても晴れない気持ちがあった。「6月の全日本選抜選手権で優勝していたら、(世界選手権もあるし)今回は欠場するつもりでした」。

 全日本選抜選手権の栄希和(至学館大)との決勝戦、4-2のスコアからの残り2秒、バック投げを受けて4失点し逆転負け。全日本選手権と全日本選抜選手権を制した栄が世界選手権代表を確実にした瞬間でもあり、伊藤の世界への道が閉ざされた瞬間でもあった。

 栄の劇的な逆転勝ちに会場は湧いたが、その反面、伊藤に対して「どうして2失点に抑えなかったのか?」という疑問が生じた人も多かったのではなかろうか。本人に直撃すると「勝っていたことは分かっていたけど、栄選手のラッシュに体力が残っていなくて、頭が真っ白になっていた。2失点なら(4-4の)ビッグポイントで勝てると分かっていなかったのです」。

 試合の終盤、勝っている選手が相手のラッシュを場外逃避の1失点で抑えるケースも少なくない。しかし伊藤の場合、「その時、2コーションだったことは自覚していました。下手に場外に逃げたら、1ポイント・コーションを取られて失格になると思って逃げることができまでんせした」と振り返る。その結果、ディフェンスが中途半端になり、ラスト2秒で4失点してしまったということだ。

 知人らに会うと「2失点でよかったのに」と指摘されたという。その数、数十人。「この件に触れられすぎて、もう2度と繰り返したくない」と苦笑した。

■成長を鑑み、機が熟したらオリンピック階級へ転向

 今大会は3試合すべてを無失点で快勝した。今年の4月から東新住建に入社し、社会人になった。大学卒業後もレスリングを続けることは、2013年の世界選手権(ハンガリー)に出場したときから決めていた。「栄和人監督の紹介で東新住建に決まりました。大学時代と変わらず至学館大で練習ができ、仕事はレスリングのみ。最高の環境を維持できたのは監督のおかげです」。念願の“プロ選手”になった喜びを表した。

 「世界選手権に出ることで会社に恩返しをするつもりでした。社会人大会で優勝と形は変わりましたが、少しは恩返しができたかな、と思います。感謝の気持ちを伝えるのは優勝しかないので」。

 社会人でプロ選手として活動しているのだが、伊藤は非オリンピック階級の60kg級に挑戦している。「悩みどころですが、自分のレベルを知っているからこその判断です。会社もオリンピックが全てではないと言ってくれたので、今は60kg級で世界を目指しています」。自分の成長を鑑み、機が熟したら58kg級や63kg級への転向を示唆した。

 オリンピック階級に挑む条件として、もう一皮むけることを掲げている。「(登坂)絵莉は、けがでボロボロだったけど(全日本選抜選手権を)圧倒的に優勝した。自分もそうなるためには、練習量が足りない。もっと追い込んで、12月の全日本選手権では圧倒的に優勝したい」と飛躍を誓った。


 







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