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2015.07.13

【全日本社会人選手権・特集】元全日本選手権2位の森川一樹(栗東クラブ)がレスリング復帰

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 全日本社会人選手権も昨年から新階級になり、非オリンピック階級の70kg級も行われている。階級変更によって一喜一憂する現実があるように、適正階級の登場でレスリングへの熱意が再燃した選手がマットに戻ってきた。66kg級で全日本選手権2位の実績を持つ森川一樹(栗東クラブ)だ。

 3年ぶりの出場で、両スタイルにエントリー。初日の男子フリースタイルでは70kg級に出場して優勝を決め、最終日にはグレコローマン75kg級にも出場。準決勝では今年の71kg級世界選手権代表の花山和寛(自衛隊)を得意のスタミナで追い込み、敗れたものの3位決定戦に勝利して銅メダル。両スタイルで入賞し、森川らしさを十分に見せつけた。

 森川は、大阪・茨木教室から茨城・霞ヶ浦高、山梨学院大と進んだ“エリート選手”で、タイトルも多数獲得した。大学4年には米満達弘(自衛隊)と全日本選手権決勝で闘うなど、フリースタイルの選手だったが、その後グレコローマンに転向し、2012年ロンドン・オリンピックを目指していた過去がある(クリック)。

 だが、転向は失敗だったと言える。全日本トップレベルの成績だったフリースタイルと比べると、グレコローマンの成績はほとんどが初戦敗退。森川は「現実は甘くなかったですね」と唇をかみしめる。

 20代も後半に差し掛かったころ、「ちゃんと仕事に就きたかった」と、レスリングを辞めて大阪に帰郷。いくつかの職を転々としながら、レスリング後の人生と真剣に向き合ってきた。そこで出合ったのがスポーツジムのトレーナーだ。「トレーニング方法を人に教えたい、という気持ちがあったので、やりがいがある」と、昨年10月から始めた今の仕事が軌道に乗ってきたそうだ。

■2年前の引退を後悔、70kg級の新設で復帰を決意

 今年で2年ほどマットから離れた。森川は「グレコローマンに転向して最低な終わり方をした」という気持ちもさることながら、「体力もある年齢なのに、なぜ辞めてしまったのだろう。もったいないことをしてしまった」という悔いが残っている。その気持ちに拍車をかけたのが、2014年からの階級変更によって新たに生まれた70kg級の存在だった。

 「66kg級の時はギリギリ落としていた。けれども74kg級だと厳しい。70kg級は僕にとってベストの階級です。その階級でライバルだった小島(豪臣)さんが活躍していることも、復帰した理由のひとつです。もう一度小島さんと闘ってみたいです」と目を輝かせた。

 京都と滋賀の店舗に勤務していることから、同志社大と滋賀・栗東高をホームマットとしてレスリングを再開。トレーナーという職業のノウハウを生かし、自信を持ってこの大会に仕上げてきたつもりだったが、初めて経験した3分2ピリオドの通しルールが予想以上にきついことを感じた。「ルールの研究も、試合慣れも必要。体力だけは自信がありましたが、もう少し上げないといけません」と課題を口にした。両スタイルに出場したのも、とにかく今のルールを体験したかったからだ。

 今回の優勝にあたり、高校と大学時代に兄弟のように過ごした先輩、奈良部嘉明がセコンドのためだけに茨城から駆けつけてくれたことも、森川の士気を上げる起爆剤となった。「奈良部先輩がついてくれて元気が出ました。仲間が支えてくれて一人じゃなかった。もう一度全日本に向けて頑張りたい」―。

 再びレスリングの魅力にとりつかれた森川。今年の全日本選手権で70kg級に新たなる“レジェンド”が誕生するか―。


 







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