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2015.08.05

【インターハイ学校対抗戦・特集】仲間に支えられて最後のインターハイに出場…吉村拓海(埼玉・埼玉栄)

(文=増渕由気子)

 学校対抗戦は埼玉栄(埼玉)が初優勝を決めて幕を閉じた。昨年のユース・オリンピック金メダリストの山崎弥十朗が主将を務めるチームということでメディアからの注目度も高い中、決勝は2年生ながらチームの流れを決める1勝を挙げた74kg級の八木海里がラッキーボーイとして注目された。

 だが、埼玉栄が優勝できた要因は、今年2月からずっと不調だった60kg級の吉村拓海が土壇場で復活してくれたことが大きかったに違いない。

 吉村は、埼玉栄中時代に全国中学生チャンピオンに輝き、高校では1年生最後の全国高校選抜大会で2位になるなど、順調にエリート街道を進んでいた選手。だが昨年10月に右足の甲を骨折し、3ヶ月ほど練習ができない状況へ。長崎国体、関東高校選抜予選、JOC杯予選と3大会も棒に振ふった。「みんなに迷惑をかけた」と、2月の関東選抜大会時に話していたが、その後も一向に調子は上がらなかった。

 最悪だったのは6月初めに行われた関東高校大会の個人戦だった。野口篤史監督は「骨折は治ったのに、吉村の調子が全然あがってこなくて、最初は気持ちの問題だと思って、『弱気になるな』と怒ったりもした。けれども、関東大会での動きがあまりにも悪かったので、病院で診てもらったところ、鉄貧血という病気で、とても運動ができる状況ではなかったのです」と振り返る。

 病気が判明した時点でインターハイ予選を2週間後に控えていた。吉村は一つの決断を下した。「僕をレギュラーから外してください」。吉村の代わりに後輩の太田真暉がエントリーして県予選を勝ち抜いた。

 鉄貧血が判明してからインターハイ本番まで2ヶ月間、レスリングから離れて治療に専念。そんな吉村を支えたのが家族だった。「母親が協力してくれて、鉄分を多く含んだ料理をたくさん作ってくれました。レバーが苦手だったんですが、ハンバーグに混ぜて食べやすくしてくれ、工夫をしれくれました。本当に感謝です」。

 家族の支えもあって順調に回復した吉村は、インターハイのマットで大暴れ。「1回戦で得意のタックルができて、自信を取り戻せた」と、初日で感覚を取り戻した吉村は、学校対抗戦全5試合をすべてテクニカルフォール勝ちと圧勝でやり遂げた。この復活劇には、山崎主将も「間に合ってびっくり。予想以上に奮闘してくれて、チームが盛り上がった」と優勝に貢献した吉村を称えた。

 「半年間辛かったけど、最高の形でインターハイを終えることができました。僕は予選に出ていないのに、仲間のおかげでマットに立てました。仲間に感謝。先生に感謝です」。

 埼玉栄の初優勝――。そこには、吉村の不調をチーム全員で支えた友情物語があった。


 







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