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2015.08.08

【インターハイ個人戦(男子)・特集】長野県から11年ぶりの王者! キッズ未経験からの栄冠…96kg級・白鳥慶樹(長野・小諸)

(文=樋口郁夫)

 インターハイの個人戦で唯一、全国高校選抜大会王者のいない96kg級(1階級上に出場)は、同2位の白鳥慶樹(長野・小諸)が優勝。長野県から11年ぶり5人目、小諸からは初の王者に輝いた。白鳥は「先生(森角裕介監督)や仲間、保護者の皆さんに支えられました。感謝の気持ちでいっぱいです」と第一声。周囲への感謝の気持ちを表した。

 選抜王者の石黒峻士(埼玉・花咲徳栄)はいなかったものの、決勝の相手は石黒の弟の隼士(同1年)だった。一時、2-4とリードを許しながら追いつき、最後は8-6のスコアだった。接戦を勝てた要因は、「相手はタックルが得意な選手と知っていた」という研究と、「タックルを切ることをしっかりやった」という作戦が見事に当たったからのようだ。

 相手は1年生、しかも昨年の全国中学選抜チャンピオンという重圧もあったことが予想されるが、「それはなかったです」とのこと。「きつい練習にがんばってきた。絶対に勝ちたかった」と振り返った。

■王者の中で、高校入学後にレスリングを始めた唯一の選手

 中学時代は柔道の選手で、8人のチャンピオンの中で、高校入学後にレスリングに取り組んだ唯一の選手ともなった。レスリングをやろうと思ったのは、柔道部の顧問の選手がレスリングの大会に出場させ、レスリングの面白さを感じたからだという。

 格闘技の基礎があったとはいえ、2年4ヶ月のキャリアで全国一に輝くのは厳しい時代。その成長を支えたのは「先生の指導がすべてです。考えるのは苦手なので、先生の教えを忠実にやってきました」と言う。

 入学試験の時にあった面接で「全国一になりたい」という希望を話したそうだが、全国一を現実的に考えるようになったのは、昨年4月のJOC杯カデット・グレコローマン100kg級で優勝した時。「その時から1位を目指す気持ちがはっきり芽生えました」と言う。

 このあとはグレコローマンに専念したいそうで、全国高校グレコローマン選手権と国体での優勝が目標。そのあとは森角監督の母校の日体大へ進みたい意向で、「鍛えてもらい、オリンピックを目指せる選手になりたい」と希望を話した。

■世界で活躍する選手の育成が期待される森角裕介監督

 森角監督はかつてグレコローマン97・96kg級で活躍。新日本プロレス所属のアマチュアレスラーとしてオリンピック出場を目指していた。2001・02年世界選手権出場のほか、アジア選手権・大会に4度出場などの成績を持つが、夢は達成できなかった。その後、183cm、100kgという見事な肉体と体力を買われ、そのまま「プロへ」という誘いもあったが、華やかな世界を辞退して故郷で教員をやる道を選んだ。

 非常勤講師のあと、2011年に県教員に合格。県立高校にレスリング出身の教員が合格したのは25年ぶりのことだという。したがって、小諸で本格的な指導を始めてから5年目でインターハイ王者を育てたことになる。

 「石黒(峻士)君が120kg級に出ることになり、周りから『優勝できる』と言われましたが…。本当に優勝できてホッとしています」と、喜びより安堵感の方が大きな様子。「技術的には、小さい頃からやっている相手(石黒隼士)の方が上でしょう。白鳥が勝っているのはパワーとスタミナ。それを出しての勝利だったと思います」と振り返った。

 初のインターハイ王者輩出については、「ちょっと早すぎたとも思っています」と謙そんしたが、長野県レスリング界活性化のため、“三顧の礼をもって”迎えられた指導者。この程度で満足されては、周囲は納得しまい。

 さらなる王者の育成のみならず、高校時代の恩師の中島則行氏(日体大卒)が北佐久農の監督として1999年に達成した全国高校選抜大会とインターハイでの学校対抗戦3位という成績を超えることも望まれているはず。

 自身が達成できなかったオリンピック出場は、まだオリンピック選手のいない長野県レスリング界の悲願でもある。長野県レスリング界が、オリンピックの舞台を目指し大きく動き出した。


 







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