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2015.08.11

【特集】2015年世界選手権へかける(8)…男子グレコローマン75kg・金久保武大(ALSOK)


男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《金久保武大・略歴》《金久保武大・国際大会成績》《男子グレコローマン75kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子グレコローマン》


(文=樋口郁夫)

 「父親になるって、大きなエネルギーが湧くものなんですね。その立場になって本当に分かりました」。世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)の男子グレコローマン75kg級に出場する金久保武大(ALSOK)は6月26日、大きなパワーを授かり、リオデジャネイロ・オリンピックの出場枠を取りに行くことになった。

 同日、長女・杏ちゃんが誕生。妻と2人で走っていた人生に、何ものにも代えがたい存在が加わった。リオデジャネイロ・オリンピックがある時は1歳1ヶ月。30時間の連続移動は厳しいかもしれないが、どこかで1泊するなどすれば、連れていけない年齢ではない。「記憶には残りませんよ。でも、『お父さんの試合を見たんだよ』って言ってやれる。それを目標に頑張っています」。

 金久保が柔道からレスリングをやるきっかけとなったのが、日体大の松本慎吾・現監督をテレビで見たこと。松本監督は2008年北京オリンピックの約8ヶ月前に長女が誕生。オリンピックの舞台での自らの勇姿を見せることを目標に頑張り、それを実現させた。

 松本監督の背中を追って闘っているうちに、「ここまで来た」という金久保。長女に自分の姿を見せることも、松本監督の後を追えるか。3人のエネルギーを結集させ、世界選手権へ挑む。

■キャリア5年半で世界5位! しかし、この成績が落とし穴だった

 金久保は大学進学後にレスリングを始め、4年生の時(2008年)に学生王者に輝いた。柔道の基礎があったとはいえ、3年5ヶ月での学生王座到達は恵まれた才能の持ち主である証拠。キャリア5年半の2010年9月には世界選手権(ロシア)へ出場して5位に入賞。2012年ロンドン・オリンピック出場を射程距離にとらえた。

 しかし、2011年世界選手権(トルコ)は2回戦敗退。同年の全日本選手権は2回戦で大学選手に不覚を喫する不振。2位になったその選手が就職の関係でオリンピックロードを辞退したことで、3位の選手を飛び越えて金久保が引き上げられ、翌春のオリンピック最終予選(フィンランド)に挑ませてもらう機会を得た。しかし、期待にこたえられなかった。

 「2010年の世界5位が出来すぎだったんですね」と言う。無名だったので相手から研究されておらず、当時のルールは金久保に最適のルール。組み合わせにも恵まれていた。「いろんな要因が合わさって、たまたまの5位だったことを、年をとるごとに実感しています」。

 自信と過信の違いは、自分では気がつかないし、周囲から言われても分かるものではない。「天狗、というわけではないですが、初出場で5位になれたことで、『ここまで来ているんだ』と思ってしまったことが間違いだったんです」。ロンドンを逃したことで、あらためて世界で通じる実力養成に取り組んだ。「日体大という練習環境、松本監督の存在…。強くなるための環境は申し分なかったです」。

 2013年12月の日韓合同合宿では、66kg級でロンドン・オリンピックを制し、74kg級で2013年世界選手権優勝の金炫雨(キム・ヒョンウ=韓国)と嫌というほど練習することができた。その結果、2014年はアジア選手権(カザフスタン)、アジア大会(韓国)ともに銀メダルへ。着実に進歩したと感じられた。

■同じアジアの金炫雨の快進撃が励み

 一方、今年は3月のハンガリーGPが3回戦敗退、5月のアジア選手権(カタール)と7月のピトラシンスキ国際大会(ポーランド)が初戦敗退と、前年並みの調子が出ない。「このままでは、絶対に出場枠は取れない」。失点の多くはグラウンドで取られたポイントだという。「残る期間の一番の課題はそこです」。次につなげるためにも、グラウンド防御の強化を課題に掲げる。

 今年に入ってグレコローマンのルール変更情報が広まり、スタンド戦中心の闘いになると言われていた。金久保のようにグラウンド攻撃の得意な選手にとっては、練習の方向性が定まらなかったはず。そのことも、今年に入ってからの停滞の要因があるようにも思われるが、「みんな同じ条件ですから…。そのせいにしてしまうと、成長できませんよ」ときっぱり。

 金炫雨が世界を制し、欧州の大会を含めて国際大会を10大会連続で優勝を続けていることは励みのひとつ。「同じアジア民族。(自分も)できると思います」と気合を入れた。

 長女の存在が「エネルギーとなる」と言う金久保に、「あどけない笑顔を見て、闘争心が萎えることは?」と聞いてみた。金久保は「馬鹿なことを聞かないでください」といった表情になり、「あるわけないでしょ。(闘争心が)湧いてくるばかりです」と即答した。

 大きなパワーを得た金久保が、ラスベガスで勝負をかける。


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