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2015.08.26

【特集】2015年世界選手権へかける(17)…女子63kg級・川井梨紗子(至学館大)


男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《川井梨紗子・略歴》《川井梨紗子・国際大会成績》 /  《女子58kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=女子》


(文=樋口郁夫)

 世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)の女子63kg級は、日本におけるレスリング選手同士のカップル第1号(川井孝人さん・初江さん)の長女・川井梨紗子(至学館大)が出場する。2012年に17歳で世界女子選手権(カナダ)51kg級に出場して7位。血筋のよさを見せたが、3年後に当時の階級区分で計算して3階級上で出場するとは、本人も思わなかっただろう。

 2度目の出場とはいえ、初出場と変わらない緊張と不安があって当然。しかし、「代表になったからには、絶対に勝ちに行く。自分がオリンピックに出たいので、(出場枠は取れるが、他の選手に“横取り”される可能性のある)5位ではなく3位…。でも3位を目標にしていたら、3位になれないと思います。目標は優勝です」ときっぱり。上の階級への挑戦に気合を入れる。

■困難が伴う階級アップだが、やるしかない!

 川井が63kg級に出場することになった経緯は、振り返っても仕方ない。先を見つめるだけだが、2階級上の闘いというのは、簡単でないことは確かだ。男子フリースタイル61kg級全日本王者の鴨居正和が、“オリンピック出場を目指す集団”の自衛隊に進みながら、今回は非オリンピック階級の61kg級で出場するのは、わずか4kgの違いであっても上の階級で闘うことの困難さを知っているからだ。

 その中で川井はどんな練習をし、どう闘っていくのか。川井は「上の階級の選手とのスパーリングを増やし、ウエートトレーニングを多くやるようにしています。練習でタックルをつぶされたりすると不安になりますが、工夫してつぶされない攻撃をするなどしています」。63kg級で国際大会をやる機会はなかったので、練習の中で63kg級対策を練り、それに対応できるようにするしかない。

 出場が予想される外国選手のビデオ研究も欠かしていない。「外国選手は強引な技もある。勢いに負けないようにしないとならない」と、映像から予想される相手の技に対する対策にも取り組む。最も見ているのは、伊調馨が63kg級時代に闘っている試合の映像。伊調の身のこなしは技のかけ方を参考にし、自分が闘う時に取り入れようと研究しているという。

■レスリングは体力とパワーだけの勝負ではない

 63kg級での伊調が、そのパワーに舌を巻いた選手に2013年世界選手権(ハンガリー)の初戦で闘ったジャクリン・レンテリア・カスティーヨ(コロンビア)がいる。3点タックルを取られ、伊調に「今までに感じたことのないバネからくるタックル。身体能力はすごかった。あのバネはすごい。持って生まれたものですね。10点取ったと言っても、自分が攻めたところが1回もないので、総合的には負けていると思います」と言わしめた体力の持ち主。

 どんなに研究しても、体力や体格の差は大きな壁として立ちはだかるだろう。だが、川井に体重を無理に増やそうという気持ちはない。無理に増やせば反動が予想される。栄和人監督からも「体重は増やしすぎなくていい。今の動きやすい状態で出場すればいい」とアドバイスされている。「力勝負はしません。レスリングでの勝負、技の勝負、さらにスタミナで勝負したいと思います」と言う。

 確かに、そのレンテリアも昨年の世界選手権では初戦でベラルーシ選手に敗れ、出場した大会すべてに優勝しているわけではない。レスリングは体力とパワーだけの勝負ではない。58kg級で世界2位の選手を破った技術と戦術を最大限に活用すれば、2階級アップの壁を乗り越えることは不可能ではあるまい。

■頭が真っ白になった3年前、今回は成長の跡を見せる!

 3年前に世界選手権に出場した時は17歳。出場できる最も若い年齢であり(注=12月31日時点で17歳の選手は出場できない。川井は11月生まれだったことで、大会時に17歳で出場できた)、女子のレベルが上がった現在、17歳での出場はまれなことだった。

 さすがに「頭が真っ白になり、後悔しか残らなかった」と、冷静な気持ちでは臨めなかった。それからワールドカップやアジア選手権の日本代表に名を連ね、世界2位の選手を破るなどして経験を積んだ。「今回は、あの時よりは落ち着いてできると思います」と、3年間で成長していることを実感する。

 今回の会場は、2面マットと移動式の観客席があった前回とは比べものにならない広さであり、ショーアップが予想される。「どんな状況でも影響されないよう、気持ちを強く持っていきたい」ときっぱり。3年前、世界で初めて母娘での世界選手権出場を果たした逸材は、母の成し遂げられなかった優勝とともに、オリンピックの出場枠を目指して闘う。


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■2015年6月27日: 【全日本選抜選手権・特集】2階級アップの壁を乗り越え、日本代表を射程距離へ…女子63kg級・川井梨紗子(至学館大)

■2015年3月2日: 【特集】ワールドカップで自信をつけ、全日本選抜選手権へ! 難関階級に挑む女子58kg級・川井梨紗子(至学館大)

■2014年4月24日: 【アジア選手権第1日・特集】女子58kg級優勝・川井梨紗子(至学館大)優勝談話=写真追加

■2014年4月7日: 【ジュニアクイーンズカップ・特集】58kg級を見据えた川井梨紗子(至学館大)が59kg級を制覇

■2013年4月1日: 【ジュニアクイーンズカップ・特集】村田夏南子を撃破! 55kg級に新星誕生…川井梨紗子(至学館大)

■2012年9月29日: 【世界女子選手権第1日・特集】51kg級・川井梨紗子(愛知・至学館高)

■2012年8月18日: 【全国高校女子選手権・特集】史上初の“母娘での世界選手権出場”を前に快勝…56kg級・川井梨紗子(愛知・至学館)

■2012年6月25日: 【明治杯全日本選抜選手権・特集】女子51kg級・川井梨紗子(愛知・至学館高)

■2011年8月17日: 【全国高校女子選手権特集】目標は母子での日本一、そしてオリンピック…52kg級・川井梨紗子(愛知・至学館)


 







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