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2015.08.30

【特集】2015年世界選手権へかける(21)…男子グレコローマン80kg級・前田祐也(拓大)

男子フリースタイル 57kg 61kg 65kg 70kg 74kg 86kg 97kg 125kg
男子グレコローマン 59kg 66kg 71kg 75kg 80kg 85kg 98kg 130kg
 女   子  48kg 53kg 55kg 58kg 60kg 63kg 69kg 75kg

《前田祐也・略歴》《前田祐也・国際大会成績》《男子グレコローマン80kg級展望》《勝者の素顔》
《オリンピック&世界選手権・歴代優勝選手と日本選手成績=男子グレコローマン》


(文=樋口郁夫)

 キッズ・レスリング全盛期に、「そうでなくとも日本代表になれるよ」と教えてくれているような今年の世界選手権(9月7~12日、米国・ラスベガス)の男子グレコローマン・チーム。80kg級の前田祐也(拓大)も鳥取・倉吉総合産業高に進んでからレスリングを始め、世界選手権のマットを経験する一人だ。

 「オリンピック階級ではないですが、結果を残せるように頑張り、何かを残したい。出る以上、思い切ってやり、後悔しないように闘いたい」。非オリンピック階級なので、注目度は決して高くないが、秘めた思いを持って世界最高峰の闘いに挑む。

■総合格闘家、須藤元気・現拓大監督にあこがれ格闘技の道へ

 中学時代まではサッカーに打ち込んでいた。高校へ進んでもサッカーをやるつもりだったが、テレビで見た総合格闘家、須藤元気・現拓大監督のファイトやパフォーマンスにもカッコよさを感じ、格闘技をやりたいという気持ちも芽生えた。父に「総合格闘技をやりたい」と話したところ、「まずレスリングだ」と言われた。高校にレスリング部があったことで入部したのがレスリングとの出合いだった。

 サッカーをやりたい気持ちもあり、フットサル部にも所属。2つの部をかけもちでやっていた。年齢的に遅いスタートで、2つのスポーツを並行してやっていては、全国のトップは厳しく、国体のベスト8が最高。インターハイではキッズあがりの屋比久翔平(沖縄・浦添工=現日体大、今年の全日本学生選手権80kg級王者)に完ぷなきまでにやられた。

 それでも、10選手が参加して争われたJOC杯カデット選手権で、早生まれなので多くの選手より1学年上というアドバンテージもあって優勝することができた。「優勝の喜びは大きかったですね」と、大学へ進んでも続けようという気持ちが出たという。「(高校の大会で)結果を全然残せず悔しかった、という理由もありました」と、負け続けた中から闘志が沸いてきた面もあったという。

 拓大では「先生(西口茂樹部長)に怒られてばかり。何もできなかったです」と振り返る。それでも、教えられたことを続けていくと、東日本学生新人選手権で勝ち、JOC杯ジュニア、全日本大学グレコローマン選手権で勝って、世界選手権のキップを手に入れるまでに成長できた。「教えられたことをきちんとやってきたことと、周りに強い選手が多かったことがよかったですね」と言う。

■ブラジルでの優勝は、優勝にカウントしていない

 もちろん、今いるところはゴールではなく、世界へ飛躍するためのスタートラインだ。これからは世界で勝つためのことを考えなければならない。出場した国際大会としては、世界ジュニア選手権や世界学生選手権などがあるが、「(国際大会では)1勝もしていないんですよ」と、0からのスタートであることを強調した。

 厳密には、昨年12月の「ブラジルカップ」でブラジル2選手を破って優勝を経験している。それを指摘されると、「あ~、あれは」と苦笑い。発展途上国、特にグレコローマンでは世界トップから大きな差のあるブラジル選手に勝っての優勝は、頭の中に残っていなかった。「内容も納得してない。あれはちょっと…(カウントしていない)」と、優勝とは考えていない。

 前田にとっての外国のグレコローマンと言えば、今年2月のハンガリー遠征や7月のポーランド遠征で接した強豪外国選手の闘いだ。パワーも技術もけた違い。「自分は緊張するタイプ。どうしても相手を見てしまう。それをなくし、思い切っていきたい」と、まず気持ちで負けないことを世界選手権での課題に挙げる。初出場の選手に共通した思いだろう。

■オリンピックへの思いを実現するためにも、重要な今年の世界選手権

 前田にとって今回の世界選手権は、レスリングを続けられるかどうか、という意味でも極めて重要な大会でもある。現在、4年生。卒業後もレスリングを続けたい気持ちは十分だが、その環境がない状況でも続けようとは思わない。「(仕事は)一生の問題です。職がきちんとしていなければ、レスリングには打ち込めないと思います」。

 レスリングに打ち込みたいが、その気持ちと行動では、いや、「オリンピック選手」という看板をぶら下げても、それでは一生を支えられるものでないことを知っている。

 「オリンピック、本当に目指したいんですよ」。その思いを実現するためには、この世界選手権で結果を出すか、せめて将来性を見せることが必要。それによって支援してくれる会社が現れるはずだ。勝負をかける闘いは、間もなくやってくる。


 《関連記事》

■2015年6月20日: 【明治杯全日本選抜選手権第2日・特集】優勝選手・プレーオフ勝者の声

■2014年9月27日: 【全日本大学グレコローマン選手権・特集】次は奥井眞生に勝っての優勝を…80kg級・前田祐也(拓大)


 

 







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