日本レスリング協会公式サイト
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2015.09.18

9・12第20回東京六大学チャンピオンシップ…伝統の六大学からレスリングを盛り上げる 

(文=明大スポーツ新聞部・小田切健太郎 / 撮影=同・土屋あいり)


 9月12日、土曜日、明治大学生田キャンパス体育館にて第20回東京六大学チャンピオンシップが開催された。学生スポーツ界を古くからからけん引してきた東京六大学。早大、明大、法大、慶大、立大、東大の6校が日本のお家芸であるレスリングで競い合うそのリーグ戦が年に1度行われている。

 今年で20回の節目を迎えたこの大会では「大学レスリング界の活性」を目指し、様々な取り組みが行われている。

《順位表》
1位 早大(4勝1敗)
2位 明大(4勝1敗)
3位 法大(4勝1敗)
4位 慶大(2勝3敗)
5位 立大(1勝4敗)
6位 東大(0勝5敗)

※勝ち点差により1~3位を決定
※早大は6年連続15回目の優勝
 

■ルール改変で平等な試合を

 始まりは1996年、今も受け継がれる「大学レスリング界の活性」を主たる目的として開催が決定した。その指標を目指す上で肝となるのは学生主体で大会を運営すること。選手自身が大会の意義や競技そのものについて考え、独自に改変したルールを用いて試合を行うことが慣習となっている。

 主なルール改変点は2つ。まず「テクニカルフォールを採用しない」こと。通常のルールでは10点差がついた時点でテクニカルフォールにより試合は終了となる。しかし、六大学は東日本リーグ1部所属校(早大、明大、法大)と2部所属校(慶大、立大、東大)が総当たりで試合を行うため、実力差が出てしまうのは当然のこと。テクニカルフォールの適用により試合を終わらせてしまうと、この大会の設置意味でもある他大との交流、経験値を積むということができなくなってしまう。可能な限り試合を続行させたいという選手たち自らの思いがこのルールを作った。

 それに準じてできたのが2つめの改変点である「危険な体勢になった際は試合を一時止める」こと。やはり実力差がある者同士の対戦では、技によっては危ない場面になることも多い。折角のこの大会でケガ人を出してしまっては元も子もないため、この特別ルールが設けられた。現に今年も大きなケガなく大会を終えることができた。

 明大レスリング部の副部長でもある東日本学生連盟の多賀垣雄会長は「スポーツであるからには強い人は弱い人にも全力を出し、弱い人は強い人に全力で向かっていくべき」と力を込める。実力差が大学ごとにあるのは仕方がない。その中で安全を守りながらも全力でレスリングをするという意識。六種六様の大学が総当たりのリーグ戦を行うことができる環境が整っている。

■早大が6連覇も3校混戦に

 20年目を迎えた今大会では早大が6連覇、最多15回目の優勝を果たした。しかし、過去5年間は全勝優勝を果たしていた王者が今年は1つ黒星を喫した。王者に土をつけたのは6年連続の準優勝となった明大。長年にわたりこの大会をけん引してきた古豪同士の対決の明暗を分けたのは、東日本の大会では珍しい「抽選」の制度だった。

 通常、東日本リーグ戦のような団体戦では軽量級から順に試合を行う。そのため重量級の選手で試合が決まる場面が多いことや、各大学における階級ごとの実力分布により試合前から流れが読めてしまうことが多かった。その問題を打破するべく取り入れられたのが「抽選」。両大学の代表者がBOX内の階級名が書かれた紙を交互に引き、順に出た階級から試合を行うという制度だ。

 これにより早大は東日本新人戦準優勝のルーキー伊藤(早大)が7戦目、エースの多胡島(早大)が最終8戦目での出番となり、逆に明大は重量級の実力者・藤山(明大)を2戦目、JOC準優勝の大山(明大)を勝負所の5戦目で投入し勝ち切ることができた。実力を出し切るだけでは厳しかったかもしれないこの勝負に、新しいエッセンスが加わったことで明大は大きな勝利を手にした。

 しかしこの抽選制度、西日本リーグ戦ではすでに導入済みだ。そのため「この大会が東の先駆けになればと思ってやっている」と早見龍馬審判長。例年、順位の大きな変動がない東日本リーグ戦においてこの制度が導入される意味は大きい。学生レスリング界に新たな風を吹き込むべく、伝統の六大学が率先していくことも忘れてはいない。
 

 そして長年にわたり上記2校により競われてきたこの大会に、反撃ののろしをあげた大学がある。初代優勝校ではあるが、近年優勝争いに割り込むことができずに6年連続で3位となった法大。その法大は早大を破った明大にチームカウント5―3で勝利を収めた。その結果、今大会は早大、明大、法大の3校が4勝1敗で並ぶ大混戦に。最終順位は勝ち点差により早大が優勝も、辛酸をなめ続けた古豪・法大の下剋上は来年以降も一層大会を盛り上げることとなる。上位3校が三つ巴の状態になった今、大会の熱はよりヒートアップしている。

■年々高まる二部所属の戦力

 二部リーグ所属校の戦力底上げも目覚ましい。大学からレスリングを始める人が大半を占める慶大、東大、立大。近年、現役部員の勧誘活動やOBの支援により部員増加へとつなげたのは慶大と東大。重量級の選手の確保はこれからも課題として残るが、中量級以下の選手層は年々厚みを増してきている。

 立大は階級ごとの選手は揃いつつあるが、2番手以降の人数確保が大きな課題。明大や法大から勝ち星を挙げる選手も在籍するため、層が厚みを増すと怖い存在になりそうだ。そして3校に共通するのは競技ができることへのありがたみ、レスリングを楽しむ初心の心は忘れないということ。他大と比べ練習環境は劣る中、競技を続けるために様々な取り組みを行い、日々レスリングと向き合っている。試合中にも格上の相手に対し果敢に挑むその姿が強い意志の現れとなっていた。

 「大学からレスリングを始めてくれた人たちにもっと強くなって欲しい」と話すのは明大の秋元優介主将。まだ日本ではマイナー競技との認識も残るレスリング。競技生活が長い選手たちは大学から取り組み始めた選手たちと体をぶつけ合い、戦力を上げることを望んでいる。この大会がきっかけとなり合同練習や練習試合へと交流をつなげることとなれば、目標とする大学レスリング界の活性へとつながるだろう。

 吉田沙保里(ALSOK)や伊調馨(ALSOK)らの世界選手権メダルラッシュに沸く中、大学レスリングで行われている取り組みや大会。六大学が野球で注目されているのと同じように、レスリングが注目を浴びる日は近いのかもしれない。

《優秀選手賞》
早大 伊藤 駿(1年)
明大 大山博貴(3年)
法大 田口拓海(1年)
慶大 山下心京(1年)
立大 繁高主税(3年)
東大 水谷直輝(3年) 

3位・法大の西山主将

4位・慶大の伊藤主将

5位・立大の柏倉副主将

6位・東大の水谷主将


 







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