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2015.10.12

【全日本女子オープン選手権・特集】リオ挑戦宣言はなかったが、「Wrestling is my life」!…浜口京子(ジャパンビバレッジ)

(文・撮影=樋口郁夫)

 女子75kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)が実戦のマットに帰って来た。数々の思い出のある東京・代々木競技場第2体育館ではなく、晴れた日なら富士山が美しく見える静岡・三島市の三島市民体育館。それでも、浅草応援団の熱狂的な応援、父・アニマル浜口さんの気合コール、大勢の報道陣など、”いつもの光景”の中での復帰戦だ。

 結果は2試合に勝っての優勝。多少の硬さもあってか、思うようにポイントは取れなかったものの、マットに根が生えているかのような強じんな足腰は健在。勝負どころを固い守りでしのぎ切り、昨年9月末のアジア大会(韓国)以来の復帰戦を飾った。

■「レスリングの神様に会いに来ました。私をすべて知っている神様」

 浜口は「この大会のことだけを考えて来た。今はとても楽になったという気持ち。次のことを考えるより、おいしいものを食べたいとかに気持ちがいっています」と、12月の全日本選手権への出場と来年のリオデジャネイロ・オリンピックへの挑戦は明言しなかった。「一歩を踏み出したかな、という気持ち」と、“可能性がある”程度の表現にとどめ、「これからしっかり考えます」と、慎重な発言に終始した。

 しかし、闘いに人生をかけてきた選手の本能が、熱く燃え始めたことは確かだ。「決勝の試合の前、マットのそばで『闘いたい』という素直な気持ちになった」という言葉は、眠っていた闘争心が目覚めた事実にほかなるまい。

 「きょうは、マットの上でレスリングの神様に会いに来ました。私がレスリングの道一本で歩んできたことを全部分かっている神様が、私の味方についている。レスリングをやってきてよかったな、と思います」「きょうで一皮むけた感じがします」。コメントの端々から本格噴火を予感させる言葉が続く。

■不安と緊張のあまり、一睡もできずに臨んだ大会

 この大会に出ようと決めた要因はいくつかあるが、一番大きなきっかけは、この階級の全日本チャンピオンの鈴木博恵選手(クリナップ)が、けがのため世界選手権(米国)出場を断念したことだ。自分がリオデジャネイロに行く可能性が広がったからではない。マットの上ではライバルだが、マットを下りれば自分を目標にして頑張って来た後輩。一緒に食事に行ったこともある。

 「(けがの後)話はしてはいないけど、けがで試合に出られないことほど辛いことはない。博恵ちゃんは今、本当に辛いと思う。その中で私ができることは、自分が今できることを、精いっぱいやることだと思った」。

 その思いをこめての復帰決意だった。「すごく追い込んで練習してきた。辛かったし、1年ぶりということで不安も緊張もあった。体重の増量も必要だった」。6月に盲腸の手術をしたこともあり、一時は体重が70kgを切ったという。体を戻すとともに、気持ちも盛り上げなければならない苦しさは想像以上。

 また、「間隔が空いて試合に出るというのは、こんなに勇気がいることだと初めて知りました。実は、きのうの夜から一睡もできなかったんです。夜10時にベッドに入ったのに…」。直前まで続いた苦しさを乗り越えての実戦のマット。それだけに、解放感でいっぱいなのだろう。

■スタートするか、浜口の“リオデジャネイロ・ロード”

 どんな辛い思いをしても、レスリングが好きだからマットから離れられない。試合後に着たトレーナーには、「Wrestling is my life」との文字があり、レスリングから離れられないことを強調する浜口が、そこにいた。

 父・アニマル浜口さんは「決勝の相手は、引き込んで足払いを狙うモンゴルのブルマー・オチルバト(昨年のアジア大会3位)みたいな選手だった。相手の得意技を封じて、片足タックルを決めたのは、とてもよかった」と、あたかもオリンピックのアジア予選を意識したかのような発言。

 全日本選手権への出場は明言していないが、試合後の2人の言葉から、浜口の“リオデジャネイロ・ロード”を感じた人は少なくなかったに違いない。

 最後は母・初枝さんも加わっての「レスリングが大好きだ」の10連発! 12月末の代々木競技場第2体育館、3月のカザフスタン・アスタナ(アジア予選)、そしてリオデジャネイロで、このシーンが再現されるのだろうか。

決勝で決め手となったのは、片足タックルならの流れで奪ったテークダウン

親子3人での「レスリングが大好きだ」10連発!


 







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