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2016.04.15

【特集】世界ジュニアV2を足場に、シニアでの飛躍を目指す…女子48kg級・五十嵐未帆(至学館大)

(文=樋口郁夫)

 最軽量級といえば、男女を問わず日本の栄光を数多く築いてきた階級。女子48kg級でも、伊調千春、小原日登美のオリンピック・メダリストに続いて登坂絵莉(至学館大~東新住建)が世界3連覇を達成。現在も若い選手が次々と育っている。

 その一人が、昨年の世界ジュニア選手権(ブラジル)を制した五十嵐未帆(至学館大)。中学時代は全国大会でのメダル獲得は一度もなかったが、愛知・至学館高へ進んでから力つけ、2020年東京オリンピックへ向けての期待の星に成長した、

 今月3日のジュニアクイーンズカップでは、昨年のJOC杯で苦杯を喫した加賀田葵夏(青山学院大)に8-2で雪辱して優勝。世界ジュニア選手権(8月30日~9月4日、フランス)の連覇へ向けて好スタートを切った。

 世界ジュニア選手権は「去年勝ったのだから今年も勝ちたい、という気持ちは十分に持っています」と言う一方、昨年は外国選手とのパワーの差を感じ、「今年も絶対に勝てる、という状況ではありません。パワーとスタミナをつけて確実に勝てるレベルにまでもっていきたい」と、気をゆるめていない。

■登坂絵莉のライバル、マリア・スタドニク(アゼルバイジャン)には完敗!

 昨年は2月にクリッパン女子国際大会(スウェーデン)、11月にゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)というシニアの国際大会も経験。シニア選手のパワーは、ジュニアとは格段に違うことを痛感した。

 クリッパン女子国際大会の3回戦では、登坂の最大のライバルであるマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)と対戦し、「タックルで攻めたつもりでしたが、何もできなかった。世界のすごさを感じました」と言う。ゴールデンGP決勝大会の準決勝では、昨年の世界選手権(米国)5位のバレンチナ・イスラモワ(ロシア)の力に負けて「脚もさわれなかった」。

 スピードや技で対抗できるようにするとともに、やはり「パワーをつけていかなければならないと思います」との課題を見つけた。世界チャンピオンの登坂とは毎日練習し、世界一の実力はだれよりも実感として知っている。世界ジュニア選手権を制しても、その先のすごさを知っていることで、思い上がる気持ちは全くない。

■レスリング選手として理想的な体型…至学館大・栄和人監督

 レスリングは小学校2年生の時、兄(航太郎=現大東大)に連れられ、千葉・関宿クラブで始めた。4・5年生の時に全国大会で優勝できたものの、6年生の時には2位。これが悔しくて中学でもレスリングを続けることを決めたが、全国大会では1・3年生の時に5位に入ったのが最高。

 3年生の時の準決勝では、現在のライバルの一人であり、この大会のチャンピオンになった加賀田に2ピリオドとも0-6のテクニカルフォールで完敗(当時のルール)。この時期は、チャンピオンとかなりの実力差があった。

 3度の全国大会でのメダル獲得はなかったが、「ここでやめるのは、どうかな…」と思い、至学館高へ進んで続ける道を選んだ。「正直なところ、至学館のすごさをよく知らなかったんです」と笑う。

 栄和人監督(日本協会強化本部長)は、全国大会メダルなしの選手を取った理由を、「『どうしても至学館でやりたい』ということだったから」と前置きし、「リーチが長く、レスリング選手として理想的な体型だったから」と説明した。

■最高だった世界カデット選手権の表彰台

 どんなに恋い焦がれ、理想的な体型を持っていようとも、練習で手心を加えてもらえるものではない。入学直後は、ご他聞にもれず「練習についていくのがやっとだった」-。それでも、ハイレベルの練習によって全国高校女子選手権やJOC杯カデットで優勝し、小学校5年生以来の全国チャンピオンを経験。2014年の世界カデット選手権(スロバキア)でも勝つまでに成長した。

 この時、表彰台の一番上から見た会場の光景が「最高によかった。この景色を何でも経験したいと思った」とのこと。世界一を目指す気持ちが出てきたそうだが、この優勝以前に、「全日本選手権や全日本選抜選手権の舞台で闘えたことで、世界を目指そうという気持ちになっていきました」と言う。マットステージでの試合というのは、選手のモチベーションの高揚に役立つようだ。

 今年の目標は、世界ジュニア選手権での連覇とともに、5月の明治杯全日本選抜選手権(27~29日、東京・代々木競技場第2体育館)での優勝だ。登坂の出場はないだろうから、昨年12月の全日本選手権で負けた入江ゆき(自衛隊)が大きな壁となろう。「うまさのある選手。それにつきあってしまって自分の動きができなくなってしまう」と実力差を感じている相手。「しっかり研究して臨みたい」と言う。

 もちろん、加賀田もリベンジを狙ってくるだろうし、全日本選手権での対戦はなかったが2位に入った須崎優衣(JOCエリートアカデミー/東京・安部学院高)という勢いのある若手もいる。上だけを見ていると足元をすくわれかねない状況。ここを乗り越えなければ世界への飛躍はない。

 栄監督は「タックルのスピードもタイミングも申し分ないが、攻める勇気が欠ける時がある。勇気をもって練習し、自分の持っているいいものをすべて出せるようにしてほしい」と望んだ。


 







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