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2016.06.02

【明治杯全日本選抜選手権・特集】支えてくれた人のため、「オリンピック断念=引退」はできなかった…女子75kg級・鈴木博恵(クリナップ)

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

 1年という長いブランクを経て、女子75㎏級の鈴木博恵(クリナップ)が実戦の舞台に戻ってきた。全日本選抜選手権同級の決勝は、鈴木と松雪泰葉(愛知・至学館高)との一戦となり、鈴木が第1ピリオドから順調にポイントを積み重ね 第2ピリオドにテクニカルフォール勝ちをおさめた。

 鈴木は「相手は高校生だったけど必死に取りにいきました。点数ほどの実力差はないと思います。高校生も頑張って強くなっているので、自分も負けずに頑張りたい」と振り返った。

 現在のひざの状態について聞くと、鈴木は「まだ正座とかはできない」と打ち明けた。筋力も100%ではないという。ただ、「レスリングの練習をする分には痛みなくできています。日によって痛かったりするけど、だいたい痛みなく動くことができています」という。

■世界選手権断念のあとは、病床で落ち込んだ

 苦しみの中で立ち上がった末の優勝だった。昨年は世界選手権の3週間前にひざを負傷して、出場を断念。結局、リオデジャネイロ・オリンピックへのキップを手にすることができなかった。

 世界選手権に出られなくなった直後は、ショックのあまり病床で落ち込んだ。だが、そのまま引退という選択肢はなかった。「けがをする前は、リオに出て辞めようと思っていました。でも、リハビリのためにいろいろ動いていただいた方もいたので、とりあえず(動けるようになったら)試合はしようと思っていました。支えてくれた人たちのためにも、『オリンピックが駄目になったから引退します』とは言えなかった」

 軽い練習を再開したのは今年1月になってからのこと。以前と同じように、練習場所は東京・自由ヶ丘学園高校レスリング部を選んだ。「男子校で、男子高校生と一緒に練習させてもらっています。全日本の合宿以外は出げいこにもあまり行かないですね」

 リオデジャネイロへの出場キップを手にするチャンスは、最後に一度だけあった。今年3月25日、女子75㎏級の出場枠を獲得した渡利璃穏(アイシン・エィ・ダブリュ)との間で、日本代表を決める3分2ピリオドの公開スパーリングが行われた。

 試合はポイントを取り合う“シーソーゲーム”になったが、ポイントをつけるなら渡利の勝利だったので、女子強化委員会は渡利を日本代表に決めた。鈴木は涙を流した。

■今後も、「1日1日を大切に練習していきたい」

 「これでオリンピックの夢は終わってしまったんだな」。この大会を制した後、鈴木はあらためてその時の想いを口にした。「ロンドン・オリンピックの時には、(浜口)京子さんという自分より強い人がいた。今回のリオは、けがをする前まで自分が全日本のトップだと思っていたので、本気でオリンピックに行けるんじゃないかと思っていました。璃穏ちゃんとスパーをして、ある程度できるなら、自分が出られるかな、と」

 渡利とスパーリングをやった時、鈴木は決して本調子ではなかったが、言い訳はしなかった。「けがをしてしまった自分が悪いので。オリンピックに出られなくても自分がやるべきことはあると思う」

 今後について聞くと、鈴木はどこまでとは決めていないと答えた。「1日1日、大切に練習していきたい」-。

 5連覇を達成した翌日の大会最終日、鈴木は最優秀選手に贈られる明治杯を初めて手にした。


 







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