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2016.08.18

【リオデジャネイロ特集】2人の先輩に負けない劇的なフィナーレ…女子69kg級・土性沙羅(至学館大)

 【リオデジャネイロ/文=樋口郁夫、撮影=保高幸子】48kg級の登坂絵莉と58kg級の伊調馨が続けざまに逆転で金メダルを取り、その余韻がさめやらぬレスリング会場。この日の最後に決勝のマットに上がった69kg級の土性沙羅(至学館大)も、2人の先輩に負けない劇的なフィナーレを演じ、会場を興奮のるつぼと変えた。

 日の丸があちこちで振られ、抱き合って喜ぶ人、声が枯れるほどの声援を送る人、スタンドに地響きが起きるほど足を踏みならす者…。日本がこの日の全3階級を制覇するという圧勝劇は、カリオカ・アリーナ2にオリンピックならではの大きなエネルギーを生み出した。そのパワーは、間違いなく太平洋を隔てて地球の裏側にある日本にまで届いたことだろう。

 ロンドン・オリンピックと昨年の世界選手権を制したナタリア・ボロビエワ(ロシア)が相手の決勝。土性は過去2戦2勝と相性がいい相手だが、やはり現役の世界女王となれば、過去の対戦成績は、大きな意味をなさない。事実、腕取りを中心に攻めてきたボロビエワの前に土性は防御をしいられ、2度のアクティブタイムによって0-2とリードされてしまった。

 しかし、土性が振り返る。「点差が開かなければ、逆転できると思いました」。テークダウンが2点となるルール下では、2点差までならワンチャンスで逆転できる。登坂と伊調が示したように、瞬発力には多少劣ってもスタミナと技術がある日本選手には、その力がある。土性も、それを実践してみせた。

 ボロビエワの体が崩れた瞬間を逃さずに脚を取りに行ってのテークダン。「感覚ですね」と、無意識に体が動いた結果だと振り返り、「タックルを教えてくれた吉田(栄勝)先生のおかげです」と、2年5ヶ月前に急逝された恩師への感謝の言葉。「ウォーミングアップの時、『いつも通りにやれば勝てるよ』という声が聞こえたような気がしました」と言う。

■2020年は69kg級を”伝統の階級”に変える時!

 ボロビエワに限らず、この日、土壇場で逆転負けを喫した外国選手は、勝つためなら、最後は逃げに入ることもひとつの手だった。ラスト30秒を切れば、審判は勝敗を左右するコーションは下さないという暗黙のルールが存在する。

 勝つための戦術が劣っていたのか? だが栄和人強化本部長は、これを否定する。「日本選手は最後、怒涛のようなパワーで攻めていた。相手は(大技で)4点を取られるのが嫌で攻撃せざるをえなくなっている。そこに隙が出てくる」。

 ばてることなく攻撃力が続くからこその逆転劇。猛練習ゆえの日本選手の強さにほかならない。

 昨年の世界選手権準決勝で負けた周鳳(中国)が初戦で敗退。2014年の世界選手権決勝で負けたアライン・フォッケン(ドイツ)も準々決勝で敗れ、土性に追い風が吹いたことは確かだが、今回の土性ならそのどちらと闘っても、恐れることはなかっただろう。

 事実、2012年世界ジュニア選手権で負けていたドロシー・イーツ(カナダ)には7-2で快勝、 2013年世界選手権で負けていたアリナ・スタドニク(ウクライナ)には昨年の世界選手権(8-6の判定勝ち)に続き、11-2で完勝。土性が進化していることは明白だ。

 世界選手権で「銅、銀、銅」と来て、金メダルを目の前にして手が届かなかった。「悔し涙を流した。その涙は無駄ではありませんでした」。負けを肥やしにし、進化したオリンピック金メダリストの姿がそこにあった。

 浜口京子というスーパースターのいた最重量級と違い、日本選手が長いこと優勝できなかった69kg級(旧68・67kg級)。その歴史にピリオドを打った土性、2020年東京大会では、69kg級を”伝統の階級”に変える番だ。


 







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