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2016.08.20

【リオデジャネイロ特集】2度目のオリンピックもメダルに届かず…男子フリースタイル74kg級・高谷惣亮(ALSOK)

 【リオデジャネイロ/文=増渕由気子】タックル王子、2度目のオリンピックもメダル獲得ならず-。男子フリースタイル74kg級の高谷惣亮(ALSOK)は、3回戦で敗れて準決勝進出ならず。敗者復活戦にも回れず、メダルをかけたファイナルセッションに進めなかった。

 3回戦の相手は、3月のアジア予選(カザフスタン)で闘ったガリムジャン・ウセルバエフ。リードを奪ったものの、ラスト30秒にがぶり返しを食らって逆転負け。ウセルバエフも準決勝で敗れたため、高谷の敗者復活戦の道も断たれた。

 アジア予選の決勝でも敗れているが、けがをおして出た高谷が大事をとって途中棄権だった。「カザフスタンの選手には勝てると思った」と、試合展開は高谷が終始握っていたからこそ誤算だったのは、がぶり返しがスタンドからの技とみなされ4点に判定されたことだ。

 高谷は「僕は2点だと思っていたら4点だった」。2-0から一気に3-4と逆転された。ビッグポイントの差により、1点を追加して4-4としても負けてしまうことには変わりない。

 セコンドはチャレンジ用の人形を握りしめていたが、スタンドからの攻撃が認められる可能性が高いとみて、チャレンジを回避。残りわずかな時間に、高谷の真骨頂であるタックルでの逆転を期待した。

 だが高谷は満身創痍だった。首の負傷は深刻なうえ、2回戦で右ひざのじん帯を再び損傷していた。その状態で最後の30秒にかけたが、相手が逃げ回り、得点を奪うことはできなかった。

■日本男子の顔として走り続けた4年間

 「ロンドンから4年間、日本で長いこと勝ち続けていろんなことチャレンジしながらここまできた。重量級でメダルを獲るのはきついけど、僕ならできると思ってやってきた。それなのにメダルがとれなくて悔しい」。

 悔し涙をこらえていたが、目の前に弟の大地が泣いて待っているのを見ると辛さが倍増。オリンピック代表を逃した大地は、献身的に兄を支えてくれていたからだ。「弟が泣いていた。辛いことだね。大地には『東京大会では俺が獲れなかったメダルを(大地が)獲ってくれ』と言いました。まぁ、僕も出ますけどね」。

 自身のピークが今だと感じているからこそ、高谷は今回にかけていた。「リオが集大成だと思っていた。(今後)今以上にいけるかと思うと、年齢もきつい部分がある」。当面現役は続ける意思を示したが、階級などは少し考える含みを持たせた。

 ロンドン大会が終わった後から、リオデジャネイロ大会まで、高谷は紛れもなく日本男子レスリングの顔だった。今回のオリンピック代表の中で、2013年から昨年までずっとナショナルチームのメンバーだったのは高谷ただ一人。「技術だけじゃ勝てない。フィジカルの強化が重要」と、体つきはこの4年全く違うレベルまで押し上げてきた。

 また、メディア露出もレスリングの普及になると見込むと、何でも前向きにやってきた。「僕は取材が大好き。取材されることが僕の力になる」と、練習への姿勢からマスコミ対応まで日本代表選手の模範となる一人だった。

 ここまで頑張れた理由はただ一つ。「日本は軽量級がお家芸だと言われるのは癪(しゃく)にさわる。東京オリンピックに向けて、この階級でも勝てるんだって示したかった」からだ。まだ27歳。「勝負の世界は甘くなかった」という反省を活かして、来年の世界選手権(フランス)で再びメダルを目指してほしい。


 







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