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2016.11.30

【特集】2016年世界選手権へかける(1)…女子60kg級・坂野結衣(日大)


(文=樋口郁夫)

 「ここまで来られたのは、自分の力だけではありません。コーチであり、チームメートであり、多くの人から支えてもらったおかげです。優勝して恩返ししたいと思います」。12月10~11日にハンガリー・ブダペストで行われる非オリンピック階級の世界選手権・女子60kg級に出場する坂野結衣(日大)は、そう言って初の世界一挑戦を待ち焦がれる。

 「日本人と闘うより外国選手とやる方が好きなんです」と言う通り、12回の国際大会に出場して9大会に優勝。海外では高い勝率を残している。今年は2月のオリンピック・テスト大会(ブラジル)に始まり、5月の全日本選抜選手権、8月の全日本学生選手権と優勝が続いた勢いのある年。ハンガリーは2011年世界カデット選手権で優勝した縁起のいい国。強い追い風が吹いている。

 「自分からプレッシャーをかけて前に出るレスリングが目標。相手に合わせないことが課題」と話す一方、最近の日本女子の強さに、日本に不利なレフェリングをされることも覚悟している。「だれが、どこから見てもポイントという技を決めたい」と語気を強める。

■2013年に痛恨の右ひじ負傷、約1年間のブランク

 大阪・吹田市民教室でレスリングを始め、全国少年少女大会で3度優勝。中学でも3年生の時に全国制覇した。その後、国際大会を7大会連続で制するなど、早くから期待を受けていた選手だった。しかし2013年2月、クリッパン女子国際大会(スウェーデン)の初戦で右ひじを負傷して戦線離脱。手術に踏み切って半年間のブランク、その後のリハビリ生活を余儀なくされた。

 負傷前の勢いで突っ走れば、一度くらい世界選手権に出場していたと思われる選手だ。本格的な練習再開まで1年近い空白は痛かった。それでも、2014年アジア・ジュニア選手権(モンゴル)で復活優勝。同年の全日本学生選手権でも優勝するなど徐々に力を取り戻し、今回、世界選手権出場のチャンスを得ることができた。

 「学生の間に世界選手権に出ることが、入学前の目標でした」。4年生の12月に訪れた目標の実現。帰国してから1週間後には全日本選手権を控えるが、「(打診があった時)すぐに世界選手権への出場を決めました。『どちらかを選べ』だったとしても、世界選手権の出場を選びました」と、世界一挑戦にためらいはなかった。

 5月末の全日本選抜選手権60kg級で優勝したものの、世界レスリング連盟(UWW)が非オリンピック階級だけの世界選手権開催を発表したのは、同選手権のエントリーの後だった。そのため、「優勝者=日本代表とはしない」「参考試合があるらしい」という情報が流れていた。

 そんな状況下で行われた8月の全日本学生選手権。「負けたら代表に選んでもらえない」という思いが奮起につながり、決勝の矢後愛佳(日大)との同門対決はやや手こずったものの、準決勝までは実力の違いを見せて優勝することができた。

 したがって、日本レスリング界全体がオリンピックに目が向いていた時期を含め、世界選手権出場という目標を持って練習することができた。例年の世界選手権に比べると全日本合宿の数は少なかったが、しっかり準備できて迎える世界選手権と言えよう。

■オリンピック階級での闘いより、“自分の階級で世界一”が目標

 オリンピック階級にこだわらず、59kg級、階級区分変更後は60kg級で闘ってきた。「この階級が自分のベストの階級なんです」と説明する。「オリンピック出場は考えていなかった?」との問いには、「まず、この階級で日本一、そして世界一です」という答え。オリンピックへの思いはあったが、段階を追って上がっていくという信念があった。その気持ちをぶつけるのが今回の世界選手権だ。

 リオデジャネイロ・オリンピックで銀メダルを取った樋口黎(日体大)は、吹田市民教室の1年後輩。小学校時代はよく練習し、遠征もした。「当時は特別に目立つ選手ではなかったんですけどね…。オリンピックの銀メダル、すごいですね。刺激を受けています」と、後輩からエネルギーをもらっている。

今回の男子フリースタイル61kg級代表の有元伸悟(近大職)は同教室の1年先輩。「中学になってもスパーリングの相手をしてくれました。一緒に世界選手権の遠征に行くのは不思議な感じですけど、有元さんの存在も刺激になっています」と、発奮材料は多い。

 このあとは2020年東京オリンピックを狙っており、卒業後の進路としてレスリングに専念できる警視庁を選んだ。今度は階級変更に踏み切るつもりだ。58kg級か、63kg級か。しかし、今は上げるか下げるかなどを含め、頭の中にはない。「目の前の大会がすべてです」-。

 リオデジャネイロのマットを捨ててまでも“自分の階級”にかけた執念が、ブダペストで爆発する!

坂野結衣(さかの・ゆい=日大)

 1994年7月18日生まれ、22歳。大阪府出身。大阪・吹田市民教室~東京・安部学院高卒。2011年世界カデット選手権56kg級優勝など早くから国際舞台で台頭。2013年に負傷で半年以上のブランクがあったが復帰し、2014年全日本学生選手権で優勝。2015年全日本選手権60kg級2位など。今年はリオデジャネイロ・テスト大会58kg級で勝ち、全日本選抜選手権と全日本選手権で優勝。160cm。《UWWデータベース》


 







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