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2016.12.11

【世界選手権・特集】世界2位を撃破! 19歳の若き世界チャンピオン誕生!…女子55kg級・向田真優(至学館大)

 【ブダペスト(ハンガリー)】新時代の幕開けを象徴するかのような快勝続きでの若き世界チャンピオンの誕生だった。向田真優(至学館大)、19歳。女子のレベルが上がった現在、10代で世界チャンピオンとなるのは至難の業だが、それを難なくやってのけた。トレードマークはピンク色のレスリングシューズ。この日は体全体が真っ赤に躍動した。

 10代での世界チャンピオンは、日本では2002・03年に18・19歳で世界一となった伊調馨以来の快挙。“ポスト吉田”の呼び声の高い選手だが、吉田沙保里の20歳での初の世界一より若い世界一達成となる。

■準決勝までは警戒しすぎでグラウンド技が爆発せず

 リオデジャネイロ・オリンピックの代表選手は出場できない大会だから、という理論は当てはまるまい。決勝の相手のイリナ・オロゴノワ(ロシア)は、2014・15年に連続で世界2位になっていて、今年の欧州チャンピオン。オリンピックの58kg級ロシア代表を最後まで争った選手。その選手を破っての世界一は、通常の世界選手権のチャンピオンに決して引けをとるものではあるまい。

 「チャンスをしっかりものにしたかった。それが実現できてよかった」と向田。2008年にスタートしたJOCエリートアカデミーの3期生にして、同アカデミー出身選手として初の世界一到達。「中学、高校と6年間、多くの人にお世話になりました。恩返しができました」と感謝の言葉を口にした。

 準決勝までは、テークダウンはとるものの、グラウンドにつなげて大量ポイントを取る闘いができず、ややもどかしい闘いだった。決勝ではそれを修正。グラウンドでもしっかりポイントを取り、外無双という奇襲(?)も見せる余裕の闘いで世界一を決めた。

 向田をまったく知らない国のビデオ研究班が準決勝までの3試合を撮影して持ち帰ったとしたなら、向田を「テークダウンの技術はすばらしいが、グラウンドにつなげる技術、グラウンドでポイントを取る技術に劣る」と報告したのではないか。

 3試合で獲得した33点のうち、29点がテークダウンでのポイント(場外ポイント1を含む)。グラウンドでのポイントは初戦で米国選手の決めたローリング2回のみ。相手がばてていたのでかかったような感じで、バックを取ったあとのたたみこむような攻撃は見られず、もどかしさが残ったのは事実だ。

 決勝を見たなら、その評価が間違いであることに気がつく。バックを取るやいなやのグラウンドの攻撃が光り、わずか1分27秒での快勝。世界チャンピオンに輝く選手にふさわしい闘いを見せてくれた。

■すでに始まっている、東京オリンピックへ向けての国内外の闘い

 グラウンドがうまくできなかった理由は、「今回の出場選手は、巻きや腕取りがうまい選手が多かった。グラウンドにいって巻かれたらどうしよう…、という思いがあり、思い切って仕掛けることができなかった」からだという。

 どんな理由があるにせよ、グラウンドでポイントを取れない闘いでは心もとない。本人も笹山秀雄監督も気になっていたこと。決勝の前にしっかり研究し、思い切ってかけることを心がけたという。「それができてよかったです」とにっこり。

 オロゴノワとは今年2月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)で闘っており、その時は5-1で勝っている。精神的な優位があったことも、大きく作用したかもしれないが、オリンピック、世界ジュニア選手権、世界カデット選手権と続いた日本の圧勝劇で、外国選手に対して無言の圧力が存在していることも確かだ。日本全体のパワーが世界の舞台で闘う選手を後押ししている。そのパワーが2020年東京オリンピックまで続くことを願うばかりだ。

 ただ、今回の優勝が東京オリンピックの金メダルを保証するものでないことは、向田も十分に承知している。世界2位の選手を破ったとはいえ、通常の世界選手権はそのような選手を2人、3人と倒さなければ優勝には手が届かない。優勝の価値は否定されるものではないが、向田自身が「オリンピック階級での闘いはもっと厳しいものがあると思います」と話しており、53kg級で目指す来年の世界選手権こそが真価の試される時だ。

 来年以降の53kg級は、オリンピック・チャンピオンのヘレン・マロウリス(米国)は階級を上げることが予想されるが、3年連続世界2位のソフィア・マットソン(スウェーデン)、だれが出てきても優勝を狙える中国選手など、今回は出場していなかった強豪が出場しての闘いが待っている。そこで勝ってこそ、今回の優勝がより輝く優勝となり、東京オリンピックへの金メダルにつながる。

 その前に国内の闘いがある。「気持ちを切り替えて、全日本選手権(12月21~23日、東京・代々木競技場第2体育館)を目指します」と口にしたように、国内で向田を引きずり落とそうとするライバルは少なくない。むしろ、今回の闘いより厳しい闘いかもしれない。それでも、「今回の優勝をステップに、夢に向かって頑張っていきます」と口にし、4年後の金メダルを見据えた。


 ■笹山秀雄・女子強化委員長の話「決勝はもう少し競ると思った。あれほどあっさり決まるとは思わなかった。相手は組み合ってくる選手なので、それを警戒させたが、フットワークを使って動くことをアドバイスした。その通りにやってくれた、というより、あそこまであっさり決めてくれるとは…。準決勝まではグラウンドの仕掛けが遅かった。決勝前にグラウンド技をチェックして送り出した。それがよかった」


 







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