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2016.12.28

【2016年全日本選手権・特集】女子最重量級の未来を憂う女王が出す答えとは?…女子75kg級・鈴木博恵(クリナップ)

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)

 全日本選手権の女子75kg級は、昨年、世界選手権代表に選ばれながら、けがでこの大会の出場を辞退した鈴木博恵(クリナップ)が若手のホープ、古市雅子(日大)を退けて優勝。6月の全日本選抜選手権に続いて国内で勝ち、女王健在を見せつけた。

 オリンピックの女子最重量級は、2004年アテネ大会から2012年ロンドン大会まで元世界女王の浜口京子(ジャパンビバレッジ)がけん引。ロンドン大会後、浜口に代わって日本の第一人者となったのは、アジア女王やゴールデンGP優勝の実績を持つ鈴木だった。

 “リオデジャネイロ当確”と思われていた鈴木だが、非情にもけがで大事なオリンピック予選のシーズンを棒に振ってしまい、オリンピックの出場はかなわなかった。

■無念だった75kg級だけメダルなしのリオデジャネイロ大会

 周囲の応援もあって今年6月の全日本選抜選手権で復活優勝。今回の全日本選手権も出場したが、「練習量は落ちています。試合に勝つための練習はしていなかった」とモチベーションを上げることは難しかったようだ。

 30歳を超えてオリンピック4連覇に挑戦した吉田沙保里や伊調馨が不在の中、29歳の鈴木が女子で最年長の出場だった。「今後の予定は?」という問いに、鈴木は「女性ですし、自分の人生なのでしっかりと考えていきたい。人生にはレスリング以外でも楽しいことはある」と引退をほのめかす表現を使ったが、「(続けるかは)何とも言えない」と決断する表現も使わず、現役続行については言葉を濁した。

 鈴木が複雑な心境の一面を見せたのは、女子最重量級の未来について言及した時だった。「最重量級には頑張ってもらいたい。みんなが強くなって、切磋琢磨して代表を選べるようにしてほしい」。史上最高の成績だったリオデジャネイロ・オリンピックで、女子6階級中、最重量級だけメダルが取れなかった。

 2020年東京オリンピックを見据えて強化中の若手たちを難なく退けて優勝してしまった現状に、鈴木自身が女子重量級のレベルに警鐘を鳴らした。「75kg級だけ世界で活躍できていない。もっと頑張らないと他の階級と差が開いてしまう」-。

■今後の活動は、「時間をもらって考えたい」-。

 昨年、鈴木がけがで出場を辞退した世界選手権は、2番手の飯島千晶(警視庁)が出場するも初戦敗退だった。栄和人強化本部長は女子63kg級アジア女王の渡利璃穏(アイシンAW)を10kg増量させて75kg級に挑ませ、渡利がリオのマットに立った。

 75kg級の選手が2番手としてオリンピックに出場したのなら、鈴木の肩の荷は降りていたのかもしれない。「私も璃穏ちゃんとの(オリンピック代表を決める)参考試合で負けたので、75kg級自体のレベルが低いんだと思います。75kg級の1番手なのに…(下の階級の選手に負けてしまって)。それじゃ世界では闘えないと思った」。

 30歳を目前に、自分の人生と女子重量級の未来の間で気持ちは揺れている。「若手がこれから活躍するために、はっきりと言えないけど何かできることがあれば」と若手の目標としてマットに立ち続ける可能性もありそうだ。

 所属のクリナップは鈴木を全面的に支援する姿勢を見せた。今村浩之監督は「見ての通り実力は一番。まだまだ闘える。本人の気持ちを尊重し、完全にバックアップしていきます」と話し、結婚などがあっても競技との両立をサポートしていく方針だ。

 ロンドン大会金メダリストの小原日登美(旧姓坂本)のように、結婚しながらも競技を続けて栄冠をつかんだ例もある。「今は、はっきりと見えないので、時間をもらって考えたい」。鈴木自身が幸せだと思える答えは―。


 







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