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2017.02.22

【特集】ロシアの技術を吸収! “高校史上最強世代”の意地を見せられるか…男子フリースタイル74kg級・奥井眞生(国士舘大)

 リオデジャネイロ・オリンピックで20歳にして銀メダルを取った樋口黎(日体大)は、2013年に“高校レスリング界の史上最強世代”と言われた選手の一人。その“メンバー”の一人の文田健一郎(日体大)も、オリンピック出場は逃したがオリンピック銀メダリストを破って全日本王者に輝くなど、その看板が偽りでないことを証明した。

 高校卒業後、2人より先に脚光を浴びたのが男子フリースタイル74kg級の奥井眞生(国士舘大)だ。2014年8月、1年生にして全日本学生選手権の両スタイルを制覇。これは1982年の小林孝至(のちの1988年ソウル・オリンピックで優勝)以来、32年ぶりの快挙だった。

 その後つまずきもあり、リオデジャネイロ・オリンピックには間に合わなかったが、昨年5月の全日本選抜選手権で優勝。2020年東京オリンピックへ向けて着実に実力をアップさせている。

■学生だけでも強豪ぞろいの階級、それがゆえに「毎日が充実」

 今年は1月の「ヤリギン国際大会」(ロシア)に抜てきされ、レスリング王国の強さに接した。結果は出せなかったが、ロシア選手の脚を取られてからの守り方、脚を取ってからの処理、カウンターに対する処理など学ぶことは多かった。「ロシアのレスリングを経験したことで、今が一番伸びる時期だと思っている」と振り返る。

シニアの国際大会に出場するのは、2015年1月のデーブ・シュルツ国際大会(米国)以来。この2年間はチャンスに恵まれなかった(アジア・ジュニア選手権には出場)。“両スタイル1年生学生王者”という勲章があるから、その後の歩みが遅いように感じるだけであり、大学3年生にして世界のレスリングに開眼するのは、順調な成長と考えていいだろう。

 勲章が重荷になったことは否定しない。「感じないようにはしていた」と言うが、心のどこかに“負けが許されない立場”との思いがあり、守りのレスリングになってしまった面があるのは確かだ。そんな気持ちを消してくれたのが、新鋭・山崎弥十朗(早大)の躍進だ。

 学生王者として臨んだ2015年4月のJOC杯の決勝で、当時埼玉栄高校の選手だった山崎に敗れる屈辱。大きく落ち込んだが、チャレンジャーの立場になることで重荷がなくなった。勝ち続けることが、最後の勝利をつかむ道ではない。「負ければ落ち込みますが、負けた試合の方が学ぶことが多い」と、負けをエネルギーに変えるすべを知った。

この階級は、山崎だけではなく、“史上最強世代”の一人だった浅井翼(拓大)が国体優勝で在感を示し、同じく“メンバー”だった木下貴輪(山梨学院大)が70kg級から上げて全日本大学選手権を制するなど、学生間だけでも激戦階級。気の抜けない状況となっている。それだけに「毎日が充実しています」と言う。

■高谷惣亮の壁を破らない限り、オリンピックは見えてこない

 その上には、オリンピック3度連続出場を目指す高谷惣亮(ALSOK)がいて、大きな目標。存在が大きすぎるのか、オリンピックは「まだ見えない。まだ遠い」と言う。昨年の全日本選抜選手権は高谷不在の中での優勝。高谷も出場する今年の全日本選抜選手権で、同世代の選手を破り、高谷を乗り越えるか、迫ったという感触を得て、初めて見えてくるのだろう。

 そのために必要なことは、もつれた時の粘りなど、今回のロシア遠征で持ち帰った課題の克服。毎日の練習で取り組むほか、全日本合宿では高谷に積極的に挑み、実力差を縮めることに余念がない。「以前ほどぼこぼこにされることがなくなってきた。課題を持って挑んでいる」。

来年度は国士舘大の主将に任命され、これもモチベーションのひとつだ。2014年にルーキーだった自らの活躍もあって2位に浮上した東日本学生リーグ戦は、2015年に3位、昨年は7位と落ち込んでしまった。立て直しも奥井主将に課せられた使命。「重荷に感じるのではなく、期待されることをありがたく感じ、チームを引っ張っていきたい」と気合を入れる。

 “1年生両スタイル学生王者”は過去の栄光。すばらしい実績だが、オリンピック出場には何の効力も発揮しない。樋口黎は、そんな実績などなくともオリンピックに出場し、メダルを手にした。オリンピックへの道は、ただひとつ、“勝負の時”に勝つこと。通過点で勝つことではない。

 ロシアのレスリング技術を直に学んだ奥井が、2020年東京オリンピックを目指し、大きく飛躍する。


 







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