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2017.05.03

【特集】遅れて参加した“史上最強の年代”メンバー、アジア選手権へ燃える…男子グレコローマン98kg級・奈良勇太(日体大)

 樋口黎(日体大)ら2013年に高校3年生だった世代は、高校生の“史上最強の年代”とも言われ、将来を嘱望された選手が数多くいた世代。樋口がリオデジャネイロ・オリンピックでいち早く銀メダルを取り、その評判の正しさを証明した。

 その“メンバー”には入っていなかったが、同期で、大学へ進んでからめきめきと力をつけ、今月10日から始まるアジア選手権(インド・ニューデリー)に出場するのが男子グレコローマン98kg級の奈良勇太(日体大)。昨年の全日本2大会を制し、世界ジュニア選手権(フランス)でも5位に入賞。シニアの国際舞台での活躍が期待される。

 奈良は「出場できることが楽しみで、緊張より、出られる楽しみの方が大きい。アジアでどの位置にいるのかを確かめたい」と、その時が待ち遠しい様子だ。

■デーブ・シュルツ国際大会でシニアの国際大会の洗礼

 世界ジュニア選手権には2015年と昨年の2年連続で出場している。これも正規の日本代表だが、「あくまでもジュニアのカテゴリーの中での日本代表。今回は全日本チャンピオンとして、すべてのカテゴリーの中で一番強い選手としての日本代表。日本を代表して出場する、という気持ちはジュニアの時よりもありますね」と自覚は十分。

シニアの国際大会としては2月初めにデーブ・シュルツ国際大会(米国)に出場し、1勝2敗と厳しい洗礼を受けた。「世界ジュニア選手権で闘った選手との再戦もありましたが、全体として、ジュニアの選手よりいい体格をしていた。本場のヨーロッパの選手なら、もっとすごいんだろうな、という気がしました」と気を引き締める。

 本来なら、そのあとの全日本チームの遠征(クロアチア~ハンガリー)に参加し、欧州の選手との練習と試合を経験するところだったが、扁桃腺(へんとうせん)の手術を受けることになり、この遠征は断念した。これまで扁桃腺炎に襲われて40度近い熱が出たこともあり、いわば“持病”。重要な試合の前に出ては困るので、思い切って手術に踏み切った。

 「行くべき遠征だったんですけどね…」と言う一方、無理をして悪化させてはならないので国内での調整を選び、アジア選手権での再起を目指した。復帰当初は息を上げる練習ができなかったが、徐々に回復。練習での感覚では、かなり戻っているという。

■大学の先輩、斎川哲克コーチとの練習で実力アップを実感

 この階級は、2012年ロンドン・オリンピックに出場した大学の先輩、斎川哲克・全日本コーチ(両毛ヤクルト販売~栃木・足利工高監督)が一時代を築いた。2013年は世界5位に躍進。日体大で練習していた斎川コーチが世界基準を知る目安でもあった。

斎川コーチが2014年にアジア大会(韓国・仁川)に出場した時、奈良は1年生で、よく練習する機会があった。「練習相手になっていることが申し訳ないくらいボコボコにされました。斎川先輩の全盛期を100とすれば、今の自分は30もいっていないでしょう」というのが実感。

 今は時にポイントを取れるくらいになっている。現役を引退しても、世界トップ選手の実力は簡単に落ちるものではなく、ワンマッチなら現役のトップ選手であっても互角に闘えるもの。斎川コーチの牙城に迫りつつあることで、実力アップの確かな手ごたえを感じている。

 軽量級に比べると、重量級は体力面で外国選手と差があると言われる。奈良の場合、背筋力275㌔と恵まれた体力を持つほか、300メートル走が46秒3で、これは全日本チームが記録を取り始めて以来、同級とフリースタイル97kg級の中で最高記録(背筋力は同2位)。パワー、瞬発力とも外国選手に引けをとらないものを持っている。

 これは父親(英則さん=グレコローマン130kg級で全日本選手権2度優勝)の遺伝とともに、日体大の練習とは別に、週2回、授業の合間に専門のトレーナーについてもらって練習している特別トレーニングのおかげと分析する。「最初はきつくて、午後の練習に集中できない時もありました。やめることも考えましたが、去年の世界ジュニア選手権で3位決定戦まで進めたことで、体力アップの必要性を感じました」。結果が出たことでいっそう力が入り、さらなる体力アップが期待できそう。

■同期の樋口黎、文田健一郎に追いつくことが当面の目標

 最近はYou-tubeなどで外国選手のビデオを簡単に見ることができるが、奈良もよくアクセスし、研究することが多い。「59kg級の試合であっても、使えそうな技があったら試します」というから、技の開発への意欲は高い。

 アジア選手権へ向けても、出場が予想される外国選手をリストアップして研究し、国ごとの特徴を研究したりもしている。「自分の形を貫くことが一番大切ですが、相手を知ることも必要。特徴を知り、対策を立てています」というから、生活の大半がレスリングに向いている。

 昨年の全日本選手権は、日体大の同期生として樋口と文田健一郎(グレコローマン59kg級)も優勝している。それでも、「自分だけが世界で勝っていない」と話し、引け目があるようだ。今回のアジア選手権で結果を出し、「追いつきたい」と気合を入れた。

 “史上最強の年代”に遅れて参加した奈良が結果を出せるか。


 







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