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2017.05.04

【特集】岩手国体で復活! アジア選手権で世界への飛躍を目指す…男子フリースタイル74kg級・浅井翼(拓大)

(文・撮影=保高幸子)

 5月10日からインド・ニューデリーで行われる今年のアジア選手権。男子フリースタイル74kg級は浅井翼(拓大)が出場する。昨年12月の全日本選手権優勝の高谷惣亮(ALSOK)が17日にニューヨークで行われる日米対抗戦「Beat the Streets」に出場にするため辞退し、2位の山崎弥十朗(早大)も辞退。3位の浅井にチャンスが巡ってきた。

 日本代表の知らせを聞いて、すぐに「チャンスと思った」という。「得意のタックルで、攻めて、攻めて攻めまくる。その勢いで帰国し、すぐの(東日本学生)リーグ戦にもつなげたい」。

 5月は世界レスリング連盟(UWW)が「レスリング月間」と銘打っており、ビッグイベントが目白押しの月。浅井がめぐってきたチャンスをつかみ、世界に飛躍できるか。

■レスリングに取り組む姿勢をあらため、岩手国体で復活優勝

 リオデジャネイロ・オリンピックで銀メダルを獲得した樋口黎(日体大)と同い年。レスリング界では“史上最強の世代”と呼ばれ、浅井も高校時代から期待された一人だった。拓大に進学して最初の大会となった2014年4月のJOCジュニアオリンピックカップでは、最強世代の選手では浅井だけが優勝。そのまま頂点を維持するかと思われた。

 しかし、夏の全日本学生選手権では同期の奥井眞生(国士舘大)に敗れて2位。他の選手たちが次々に結果を残す中、浅井は優勝から遠ざかってしまった。

 京都・京都八幡高校の監督を務める父・努さんは、推薦制度も合宿所もない公立高校から全国高校選抜大会・学校対抗戦の優勝を勝ち取らせた卓越した指導者。日体大時代に学生王者に輝いている。浅井はちょうど1年前、帰省した際に努さんから私生活とレスリングへの意識や取り組みの低さについて指摘を受けたという。

 それをきっかけに、普段の生活もレスリング中心に過ごすようになった。それ以来、休みの日は遊びほうけるのではなく体のケアにあてた。食事に気を遣い、酒も控えるようになった。その結果、10月の岩手国体で優勝し、久しぶりに表彰台の一番上に登った。

 1年生の春以来、新人選手権を含めても約2年半ぶりの優勝だった。生活をあらためたことで、少しずつだが、間違いなく成果が表れた。

■病から復活した父・務さんの言葉に発奮

 しかし、試練がまた訪れた。11月の初めに努さんが脳梗塞で倒れた。言葉を発するのが難しい状態となり、11月12~13日に愛媛・宇和島で行われた全日本大学選手権は大きな動揺の中で迎えた。周りに「おまえが勝つことが一番の薬だ」と言われたが、「ショックが大きく、自分の弱さが出てしまった」と、結果は出なかった。

 幸いにも努さんの回復は早く、12月の初めには話せるようになった。全日本選手権に向けてまたアドバイスをもらえるようになり、「自分の人生なんだ。オレのことは関係ないから、気にするな」と言われ、その言葉を励みに調子を取り戻せたという。

 12月末の全日本選手権は、高谷惣亮に屈したものの3位へ。前年逃した全日本の表彰台に戻ってきた。「しょっぱい試合で、満足はしていないですが、少し変われたと思います」-。

■アジア選手権で勝って復活を証明する!

 勝てない間、レスリングが全く楽しくなくなってしまったこともあった。浅井の気持ちを奮い立たせたのは、レスリングへの姿勢に対する母親からの厳しい口調での指摘だった。勝っている間は何も言われなかっただけに、こたえた。しっかり取り組み、結果を出したいという気持ちになったそうだ。

 高校の時は父・努さんと一緒によくレスリングのビデオを見ていたが、大学に入ってなから見る習慣がなくなっていたという。そこも指摘され、2月から積極的にビデオを見て研究し、イメージするようになった。

 「アジア選手権で勝つことでしか(復活を)証明できないと思う。自分のためにやる。そうしたら結果も出て、父も喜ぶと思う」。アジア選手権での活躍のきっかけとし、浅井が輝きを取り戻して飛躍の年とするか。


 







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