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2017.08.06

【インターハイ・特集】チームあっての自分に気がついた石黒隼士(埼玉・花咲徳栄)が、復活の全国制覇

(文・撮影=増渕由気子)

 インターハイの男子個人戦の84kg級決勝は、昨年チャンピオンの石黒隼士(埼玉・花咲徳栄)と同2位の山田修太郎(秋田・秋田商)という2年連続の顔合わせとなり、昨年から続くライバル物語の “雌雄を決する時”となった。

 3月の全国高校選抜大会(センバツ)では、学校対抗戦、個人戦ともに対決し、その時は山田が2連勝。4月のJOC杯の準決勝では石黒が勝っていた。今大会も、大会第2日の学校対抗戦の準決勝で対決して石黒が勝利。個人戦の決勝でも、技を次々と展開した石黒が後半にたたみかけ、最後はテクニカルフォールで山田を下して優勝。個人戦のMVPにも選出された。

 石黒は昨年の四冠王者だったが、今年は今大会でようやく一つ目のタイトルを手に入れた。それでも、「去年よりうれしい金メダルです」と感無量の様子だった。

 この数ヶ月間、石黒は「負けてすべてを失った。こんなにも底に落ちるんだな」と、初めての挫折を味わった。「天狗になっていたのが悪かった。先輩たちからも、『調子に乗っているぞ』と指摘されたことがありました」。周囲からの声に石黒は自分の何がいけないのか理解することができなかった。

 チームにはいろいろな選手がいる。石黒のようにキッズ時代から活躍している選手がいる一方で、柔道からの転向者など初心者もいる。力量や目標が異なるのは当たりまえのことなのに、石黒は「一方的に、厳しいことばかりを言ってしまって、キャプテンとしてチームを作る力が足りていなかった。思いやりが足りなかったんです」と反省を口にした。

■センバツでの挫折で、自分よりキャプテンの立場を優先した

 矢内潤部長は当時を「センバツの頃は、チームの雰囲気が悪かったです。石黒と他の生徒には少し距離があったように思います。石黒に関しても、レスリングを楽しんでいるのかな、と心配していました」と振り返る。

 決定的だったのは、センバツの学校対抗戦準決勝でのこと。事実上の勝負が石黒に回ってきた時だった。これまで負けたことがない山田にまさかの敗戦。4敗目を喫し、花咲徳栄の決勝進出はなくなった。「キャプテンなのに(自分が)負けて、チームも負けた」。キャプテンとしてチームを救えなかった自分に何が足りなかったのか、思い知らされた一敗だった。

 「今年の春まで、団体より個人を優先している自分がいました。けれども最後のインターハイは、団体と個人、ともに頑張れるように取り組んできました」。

 心を入れ替えた石黒は、自分よりキャプテンの立場を優先した。コミュニケーションを密にとり、個々のレベルにあったアドバイスを展開。メンバーの気持ちをそろえて、山形の地に乗り込んだ結果、春のセンバツで苦杯をなめた秋田商に見事リベンジ。

 しかも4勝目をあげたのは、“石黒キャプテン”だった。「僕のところまでにすでに3勝してくれてうれしかった」と、チームに感謝する言葉を口にした。

 団体、個人と負けた春から学び、それぞれ順位をひとつずつ上げることができたインターハイ。「今年は団体で頑張れたことがよかった。チームのみんなに『僕についてきてくれてありがとう』と感謝したい。みんなのおかげで自分自身も復活できた」。レスリングは個人戦だけどチーム力が不可欠―。石黒にとって仲間の力を実感した夏だった。


 







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