日本レスリング協会公式サイト
JAPAN WRESTLING FEDERATION
日本レスリング協会公式サイト
2017.08.10

【特集】2017年世界選手権へかける(19)…女子69kg級・土性沙羅(東新住建)

《JWFデータベース》《UWWデータベース》《国際大会成績》《勝者の素顔=JWFフェイスブック》
《オリンピック・チャンピオン・土性沙羅》《全成績(中学1年生~)》


(文=樋口郁夫)

土性沙羅(東新住建)

 「オリンピックで勝つより、世界選手権で勝つ方が難しい」とは、レスリング界でしばしば言われること。周囲の注目や感じるプレッシャーはオリンピックの方が上だろうが、世界選手権は出場する選手数が多く、優勝するためには多くの試合を勝ち抜かねばならない。マークする選手が絞り切れず、意外に強い未知の選手も出てくる。

 どちらが本当の“世界一”か? そんな論議をするより、両方で勝てば間違いなく世界一の選手だ。今年、その快挙に挑む一人が女子69kg級の土性沙羅(東新住建)。「オリンピックで勝ちましたが、この階級はだれが飛び抜けて強い、ということではなく、接戦が続く階級。金メダルだけを目指して頑張りたい」と燃えている。

 土性の言う通り、2013年の世界選手権(当時67kg級)からリオデジャネイロまでの4度の世界大会で、いずれも優勝選手が違っている階級。土性も、今年5月のアジア選手権(インド)では、2015年世界選手権で負けている周風(中国)に7-7の辛勝という試合をしており、“1強”という状況ではない。

 ただ、2015年世界女王でリオデジャネイロの決勝で闘ったナタリア・ボロビエワ(ロシア)が休養という状況下では、勝ち続けている土性の優位は動かない。「中国、スウェーデン(ジェニー・ファンソン=オリンピック3位)、ドイツ(アライン・フォッケン=2014年世界女王)とか…」とライバルを挙げた土性だが、かなりの謙遜だろう。

5月のアジア選手権で優勝、オリンピック・チャンピオンの強さを示した=撮影・矢吹建夫

しいて強敵を挙げるなら、前述の周風(中国)か。175cmの長身であり、1度負けていて、今年のアジア選手権でも接戦だったという事実は、気を引き締める材料だ。

■ロシアからは18歳の新鋭が出てくるか?

 オリンピックをはさみ、その前後の国内外で勝ち続けていることからくる不安はないのか。昨年2月のアジア選手権(タイ)で登坂絵莉選手が敗れた時、「何となく試合で勝ってきた部分があった。勝てるだろう、とばく然と考えている自分がいた。(中略)一度負けた方がいいんじゃないかな、と思っている自分もいた」とコメントした。

 どんなに苦戦しても、勝ってしまうと心底から反省し、課題を認識できないと言われる。勝ち続けているがゆえに見落とす部分が必ずあるものだ。その問いに対し、土性は「わたし、世界で勝ち続けているわけじゃないんですよ」と笑う。

 3度の世界選手権を含めて3年以上勝ち続けていた登坂の場合とは、ちょっと違うようで、まだ“不安になるほど勝ち続けている”という感覚はない。課題の克服に取り組む“途上選手”といったところか。ただ、「オリンピック・チャンピオンとして、負けられないという気持ちはあります」と、世界最高峰に君臨している自覚は十分。

全日本合宿で練習する土性沙羅

中国のほかには、現在公表されていないものの、ロシアの代表が気になるところ。欧州選手権を制したアナスタシア・ブラチコワと思われたが、6月のロシア選手権でブラチコワを破って優勝。欧州ジュニア選手権と世界ジュニア選手権を連覇した18歳のカナム・ベリワの方が有力ではないか。2020年に向けて強力なライバルになる可能性もある。

 4月から東新住建に所属し、会社からの応援を強く感じている土性は「勝って、会社に恩返ししたい」ときっぱり。「まだ世界選手権では優勝していない。オリンピック・チャンピオンとしてのプライドをもって闘い、金メダルを持ち帰ってきます」と言い切った。

土性沙羅(どしょう・さら=東新住建)  3大会連続3度目の出場(通算4度目の出場) 
 1994年10月17日生まれ、22歳。三重県出身。愛知・至学館高~至学館大卒。159cm。2008・09年に全国中学生選手権を制し、高校2年生の2011年に全日本選手権67kg級で優勝。2013年に世界選手権67kg級に初出場して3位。
 以後、69kg級で2014年2位、2015年3位。2016年はアジア選手権で優勝、リオデジャネイロ・オリンピックも制した。2017年はアジア選手権で優勝。 

2008年、2年生での全国中学生選手権で優勝=撮影・矢吹建夫

2011年4月、16歳で全日本選抜選手権を制した=撮影・矢吹建夫


 《関連記事》

■2017年6月19日: 【2017年全日本選抜選手権/最終日・特集】勝者の声(3スタイル)

■2017年5月13日: 【アジア選手権・特集】女子69kg級優勝・土性沙羅(東新住建)の声

■2016年12月24日: 【2016年全日本選手権・最終日/特集】優勝選手の声(3スタイル)

■2016年8月18日: 【リオデジャネイロ特集】2人の先輩に負けない劇的なフィナーレ…女子69kg級・土性沙羅(至学館大)

■2016年8月07日: 【特集】リオデジャネイロ・オリンピックにかける(6)…女子69kg級・土性沙羅(至学館大)

■2016年2月20日: 【アジア選手権/第3日・特集】オリンピックは登坂選手と一緒に金メダルを…69kg級・土性沙羅(至学館大)

■2015年12月23日: 【全日本選手権第2日・特集】優勝選手の声

■2015年9月10日: 【世界選手権/第3日・特集】登坂と吉田の粘りにパワーをもらった…女子69kg級・土性沙羅(至学館大)

■2015年8月17日: 【特集】2015年世界選手権へかける(12)…女子69kg級・土性沙羅(至学館大)


 

 







2023年世界選手権/激戦の跡
JWF WRESTLERS DATABASE 日本レスリング協会 選手&大会データベース

年別ニュース一覧

サイト内検索


【報道】取材申請について
-------------

● 間違いはご指摘ください
本ホームページ上に掲載されている記録や人名に誤りがある場合は、遠慮なくご指摘ください。調査のうえ善処いたします。 記録は、一度間違うと、後世まで間違ったまま伝わります。正確な記録を残すためにも、ご協力ください。


アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNSの投稿は卑劣な行為です。
BIG、totoのご購入はこちら

SPORTS PHARMACIST

JADA HOMEPAGE

フェアプレイで日本を元気に