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2017.09.25

【全日本女子オープン選手権・特集】失点はあったが、2020年へ向けて力強く第一歩を踏み出した登坂絵莉(東新住建)

約1年1ヶ月ぶりの試合を優勝で飾った登坂絵莉(東新住建)

 昨年8月、リオデジャネイロのマットで演じられたラスト数秒での逆転優勝。これ以上はないと思える興奮と感動で館内を包んだ“あのシーン”から約1年1ヶ月。主役の一人、登坂絵莉(東新住建)がマットに戻ってきた。全日本女子オープン選手権の3試合に勝っての優勝。

 「(左足を)手術した直後は先が見えず、どうなってしまうかと思った。マットに立てたことがうれしい。会社に一番支えてもらった。(12月の)全日本選手権で勝って、来年の明治杯(全日本選抜選手権)でも勝って世界選手権に出て、少しずつ恩返ししたい」。

 調整失敗で体調は最悪の状態とのことだが、優勝を決めた直後の登坂の表情は、マットに戻って来られた喜びが満ちあふれていた。

準決勝は開始直後に0-6とリードされた!

 試合は決して楽な展開ではなかった。結果こそ3試合連続のテクニカルフォール勝ちだが、準決勝の谷山菜緒(法大)戦は、テークダウンからローリングを2回転決められ、あっという間に0-6とされるピンチ。試合後、「久しぶりの試合。自分が思っていた以上に硬くなったり、いけると思ったのに行けなかった。負けるかな、という気持ちがよぎった。思った以上に苦しい試合でした」と振り返った。

第1試合は登坂らしさが発揮された内容で快勝

 体調不良の影響か? 登坂はきっぱり否定した。「どんなに体調が悪くても、試合になると関係ないものなんです。元気な状態でも失点していたと思います」と言うから、ブランクの影響こそが、攻撃にブレーキをかけていたのだろう。

 決勝も0-2と先行された。「リードされないと行けなかった心の弱さがあった。最初から攻撃できる強さがほしい」と反省した一方、試合をあきらめず、流れをつかんだ時の強さは変わらなかった。ポイントで追いつくと、機を見ての怒濤(どとう)の進撃が始まる。得意のアンクルホールドなどを駆使し、テクニカルフォールで勝つのだから、やはり並の選手ではない。

「完ぺきな試合内容だったら、かえって12月の試合が心配になる」…栄和人・強化本部長

 今年初めに痛めていた左足親指付近を手術。なかなかマットワークができず、けんすいやロープ昇りなどに没頭した日々。6月の全日本選抜選手権には復帰出場したいという気持ちもかなわず、世界選手権の代表は高校生の須崎優衣の手に渡った。

 「ここ数年、いつも出ていた舞台に出られないというのは、やっぱり悔しかったですね」という思いがある反面、須崎の優勝は「当然」と受け止めたという。「国内でハイレベルの闘いが展開されている階級です。日本選手のだれが出ても優勝できる階級ですから」-。

準決勝、谷山奈緒(法大)のローリングに体が2度回ってしまった登坂(赤)

 こうして迎えた復帰戦だが、のどの痛みに始まって鼻水、頭痛、だるさに襲われた。体が思うように動かず、試合の2日前から練習できなかったという。原因は? 「十日町(新潟)での合宿から岐阜での練習に移動し、温暖の差が激しかったからだと思います」との分析。「自己管理ができていなかったんですね」と反省した。

 だが、術後の具合を確かめ、試合勘を取り戻すことこそが“試運転”で求められること。体調管理の問題を含め、その目的は十分に達した実戦復帰と言えるのではないか。「ホンダ」の創始者、本田宗一郎氏の「人間が進歩するためには、まず第一歩を踏み出すことである。長い目で見れば人生には無駄がない」という名言をあてはめれば、この1年1ヶ月のすべてが前進のエネルギー。登坂は、間違いなく新たな第一歩を踏み出した。

 「完ぺきな試合内容だったら、かえって12月の試合が心配になるよ」と言ったのは栄和人・強化本部長。「自分の悪いところが出たからこそ、課題として取り組める。全日本選手権では、先制されたらばん回できない。先制されることの怖さを痛感したことの方が、全日本選手権に通じる」と言う。さらに続けた。「練習をいくら積んでも、試合経験を積まなければ前へ進めない。体調不良の状態でも出場した勇気を評価したい」-。

 勇気を出して挑んだ復帰戦を経て、登坂の2020年東京オリンピック・ロードが本格スタートした。







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