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2017.11.13

【全日本大学選手権・特集】けがで離脱のチームメートへ最高のプレゼント、一致団結で拓大が6年ぶりの優勝を勝ち取る

(文=増渕由気子)

6年ぶりに拓大の手に渡った優勝杯

 個人優勝なしでも、総合力で3階級優勝の山梨学院大を上回った! 全日本大学選手権は、拓大が3連覇を目指した山梨学院大を抑えて6年ぶり6度目の団体優勝を果たした。須藤元気監督は「山梨学院が(2位に)ダブルスコアで優勝するのでは、とさえ言われていた中で優勝したことは、大きなことです。フリースタイルはしばらく勝っていなかったので、気持ちを一つにして勝ち取った優勝ですね」と目じりを下げた。

 拓大は昨年、東日本リーグ戦なども含め、シーズン通して団体戦無冠に終わり、出直しを誓っていた。今大会は、世界選手権125kg級代表の山本泰輝や8月の全日本学生選手権から国体、全日本大学グレコローマン選手権とすべてに優勝して波に乗っている園田平主将を中心にした形で優勝を目指していた。

 しかし、予想通りにいかないのが勝負の世界。初日、山本が3回戦で不覚を喫し、敗者復活戦にも回れずに0点。園田も準決勝で年下選手に敗れて3位止まり。初日のスタートダッシュにつまずいてしまった。高谷惣亮コーチは、「125kg級は12点(優勝得点)を獲る計算でいましたから、この時点で優勝は黄色信号というより赤信号だった」と振り返る。

 絶対的エースが優勝し、その他が点数を少しでも積み上げて勝つという、大学選手権の優勝セオリーから大きく脱線してしまった。

山崎弥十朗(早大)を破って決勝に進んだ浅井翼

 山本や園田に代わってチームに勢いをつけたのは、86kg級へ階級を上げて挑んだ4年生の浅井翼だった。74kg級で昨年は国体優勝とシニアの舞台でも結果を出しているが、学生の主要タイトルからは見放されていた。浅井は「実は、この大会は1年生から出させてもらっているのに、1点も獲ったことがなかった」と吐露した。

 昨年もまさかの初戦敗退だった。トラウマがあり、さらに信頼している同級生も、まさかの敗退。「不安がありました。(山本も)負けると思っていなかったので、動揺したが、この大会では辛い思いをたくさんした。自分のせいで団体優勝を逃したこともあったので、自分は自分のために頑張ろう」と、まずは自分自身に集中し、ヤマ場となった山崎弥十朗(早大)との準決勝を4−2で勝って、決勝進出を決めた。

 決勝では86kg級の選手としては一日の長がある白井勝太(日大)に負けたものの、2位となって9点を稼いだ。「決勝で負けたけど、初めてチームに貢献できてよかった。そして団体優勝できてよかった」。最後の学生大会でなんとか及第点の結果を出し、他の4年生の黒星をカバーした。

初日の出遅れを1年生2選手が盛り返す

 ルーキーの活躍も素晴らしかった。61kg級の谷山拓磨(京都・京都八幡高卒)は国体王者の乙黒拓斗(山梨学院大)を破り、65kg級の志賀晃次郎(同)は準決勝で学生王者で全日本選手権2位の米澤圭(早大)に勝って決勝に進出した。チームの柱が負けても、浅井と若手ら躍進で得点を積み重ね、総合優勝をもぎとった。

主力の一人が欠けているが、全員で勝ち取った団体優勝

 須藤監督はチームの団結力についてこう話した。「(インカレ男子グレコローマン85kg級優勝の)谷口慧志がけがをして、リハビリを頑張っている。選手たちの気持ちの中で、『谷口も頑張っているんだから、オレらも』という気持ちが出てきたんだと思う」。

 谷口は8月の全日本学生選手権で優勝した後、練習中のけがにより、長期入院を余儀なくされ、主力メンバーから離脱してしまった。拓大はメンバー8人中4人が、谷口と同じ京都八幡高出身だ。浅井は「中学校からずっと一緒に頑張ってきた仲間。離脱したことは、ショックだった。けれど、お見舞いに行くと谷口は笑顔で何ともないふりをしていた」と、けがなく試合に出られることに、いつも以上に感謝の気持ちを忘れずにマットに上がったそうだ。

 高谷コーチは「この優勝で谷口と一緒に祝勝会ができる。いいプレゼントになりましたね。自分のために頑張った結果、周りが幸せになっていることが一番いいですよね。それが今回、できたんじゃないですかね」と話し、病室の仲間に最高の手土産ができたことを嬉しそうに振り返った。







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