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2017.12.28

【2017年全日本選手権・特集】前世界女王の意地でパリの二の舞を避けた…女子55kg級・向田真優(至学館大)

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

優勝を決めたあと、マットに座り込んだ向田真優(至学館大)。そこには、前世界女王の意地があった!

 優勝したというのに、表彰台の一番上に上がった向田真優(至学館大)に、笑顔はなかった。

 全日本選手権の女子55㎏級決勝戦。もう一方のブロックから勝ち上がってきたのは、若い五十嵐彩季(愛知・星城高)で、今年のインターハイで優勝したニューカマー。向田は一度組んで離れるや、タイミングのいい片足タックルでテークダウンを奪って背後に回る。これで4点。試合運びに隙はなく、パワーも増した印象を受けた。

 向田といえば、今年の世界選手権決勝でのタイムアップ寸前の逆転負けが印象に残る。途中までは大差でリードしていたが、徐々に相手のプレッシャーに押されるようになり、残り時間10秒を切ったところで、バネッサ・カラジンスカヤ(ベラルーシ)に浴びせ倒しの要領で崩されてしまったのだ。

 この敗北がよほど悔しかったのだろう。今回の決勝直前にもバネッサ戦が写った3枚の写真を見返した。「あの時の悔しさを思い出して闘おうと思った」-。しかし、4点をとってからは見合う場面が多くなり、第2ピリオドに入ると、五十嵐に2点を返されてしまう。

 パリの世界選手権と同じ流れになるかと思われたが、結局向田は4-2で逃げ切った。異変が発覚したのはその直後だった。向田はマットにうずくまったまま立ち上がれない。いったい何が起こったのか。

 しばらくしてから記者団の前に現れた向田は、座りながら話し始めた。「先制点を獲ったあとに腰を痛めてしまった。腰をやってしまったのは初めてだったけど、取り切れなかったことに悔いが残ります」

 向田は今大会に出場するにあたり、「最後まで攻め切る」という課題を自らに課した。けがだったら仕方ない気もするが、パリのような悪夢を味わうことはまっぴらごめんだった。

 腰痛のせいで思うようなパフォーマンスはできなかったが、それを周囲に悟らせることはなかった。向田にも、昨年55㎏級で世界チャンピオンになったプライドがある。納得できない部分があったからこそ表彰台では笑顔がなかったのだ。

 「内容は悪かったけど、どんなにドロドロとした試合になっても、私が優勝したいという思いは変わらなかった。最後まで強気で、(身体は動かなかったけど)気持ちだけは闘うことができた」

 55㎏級は非オリンピック階級。来年以降はオリンピック階級である53㎏級に戻すか、57㎏級に上げる選択を迫られる。新年早々にも向田はその結論を出すつもりだ。「どっちに行っても、しっかり勝てるような身体を作りたい」と言う。

 手負いの状態ながら、最後まで気持ちで闘い抜いたところにパリの教訓は生きていた。







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