男子フリースタイルの全日本チームが1月24日、成田空港からイラン遠征に出発した。大会出場はなく、首都テヘランでイラン選手と合宿練習をこなし、2月4日(日)に帰国する。
イラン側の参加選手などの詳しい情報は入っていないが、小平清貴監督(警視庁)は「イランは中~重量級に世界のトップレベルの選手が多い。日本では世界トップ選手が不足している階級なので、大会出場はないものの、しっかり強化してきたい」と話した。
オリンピックが終わり、それぞれの階級の選手が変っていることが予想され、「どんな選手がいるか、どんな闘いをするかなどを知る遠征」と言う。「自分の力をしっかり試す遠征にしてほしい。ワールドカップ(4月、米国)に出場する選手にとっては、(イランも出場する)ワールドカップに向けての闘いにしてほしい」と注文した。
イラン側に要望するのは、練習試合を多く組んでもらうこと。自身の現役時代、外国で練習試合を数多くこなすことによって「国内での練習が楽に感じた」とのこと。大会出場がない分、練習試合で実戦での強さを求める腹積もりだ。
前回(2014年)の遠征で力をつけ、その年の世界選手権で2位の好成績を残した79kg級の高谷惣亮(ALSOK)は「イランは3回目。どんな環境なのかはだいたい知っているので不安はない。ジュニアからシニアまで選手が多くいて、レベルの高い選手が多い。楽しみです」と意気込む。
大会出場はないが、「大会に出て1回戦で負けて帰ってくる、では強化にならない。練習試合を数多くできる遠征がいい。米満コーチ(達弘=自衛隊)がイランへ行った時、『最初は負けたけど、やっていくうちに勝ち続けられるようになった。外国選手に勝つには慣れが必要』と言っていた。慣れてきたい」と多くの実戦を志願した。
今回の遠征前に東京で実施された全日本合宿中にも練習試合が組まれ、上の階級の選手にも勝ったとのこと。「自信を持ってイランの選手に挑みたい」と話した。
世界王者の高橋侑希(57kg級=ALSOK)は参加しないため、昨年の実績ではチーム・ナンバーワンとなる74kg級の藤波勇飛(山梨学院大=昨年は70kg級での成績)は「初めてのイラン。環境が合うかどうか分からないけれど、しっかり対応し、イラン選手をぶっ倒したい」と強気の言葉。イラン選手のイメージは「ゴリゴリ」-。細かなテクニックより力で押してくるスタイルが多いようで、「自分の得意なスタイルではない」とのこと。それだけに、「慣れて、これからにつなげたい」と言う。
2016年リオデジャネイロ・オリンピックの74kg級で金メダルを取ったハッサン・ヤズダニ(昨年は86kg級に上げて世界選手権優勝)は、2014年アジア・ジュニア選手権(モンゴル)の決勝で闘い、逆転で負けている相手。今は階級が違うので公式戦で闘うことはないだろうが、練習でなら闘える。「やってみたい」と、オリンピック&世界王者へのライバル心を吐露した。