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2018.04.08

パワハラ行為は4件、パワハラと認められなかった告発も…第三者委員会による調査報告書


《第三者委員会による調査報告書》(全39ページ=プライバシー保護のため、A、B、C…で記載されていますが、原文は実名です)


藤沢信雄倫理委員長から福田富昭会長に手渡された第三者委員会の調査報告書

 内閣府に告発されていたパワーハラスメント問題に関する第三者委員会の調査報告書によると、栄和人・強化本部長(前女子強化委員長)の伊調馨選手(ALSOK)と田南部力・前全日本コーチ(警視庁)に対するパワーハラスメント行為は4件認められた。いずれも告発状では指摘されていない事実。

 一方、告発者側のパワーハラスメントとの訴えのいくつかは、「パワーハラスメントとは認められない」と認定。告発状、あるいは告発者が訴えている「ロンドン・オリンピック後、伊調選手の男子合宿への参加を禁止した」「協会の幹部が練習拠点である警視庁への出入りを禁止した」などいくつかは、該当の人間が当該事実に言及せず、あるいは否定しており、事実と認めるに足る証拠はなかったとしている。

 マスコミで五月雨(さみだれ)式に取り上げられ世間の関心を集めたとおぼしき事実については、事実認定の対象外としている。

《栄本部長によるパワーハラスメントと認定されたもの》

 ■平成22年2月、NTC(現味の素トレーニングセンター):伊調選手に対して「よく俺の前でレスリングができるな」などと言ったこと。

 ■平成22年5月:同年11月の広州アジア大会の代表に関し、女子強化委員会は前年の全日本選手権と当年の全日本選抜選手権で優勝した伊調馨選手を外したこと。本人への説明はなかった。ただし、理事会の責任にも言及してあってパワーハラスメントの主体が誰かは明記されていない。

 ■平成22年9月、モスクワ世界選手権でのホテル:栄女子強化委員長が田南部力コーチに「伊調の指導はするな」と言ったこと。

 ■平成27年11月、NTC:田南力コーチとVが協会の事業で合宿参加を空けた際、協会の指示ということが伝わっていなかった栄本部長は、合宿中に外出したことを叱責。「目障りだ。出て行け」などと罵倒した。

 その他、パワーハラスメントとも受け取られるが、「パワーハラスメントを云々すべき域を超えて,単なる犬猿の仲の関係にある者同士の喧嘩に堕している」として、論ずるに値しないとみなされた事象が1件ある。

《告発者の告発内容を「パワーハラスメントではない」とした報告、それに関連する報告》

 ■女子コーチの中には、伊調馨選手が女子コーチに無断で男子合宿に参加したことや、男子合宿に参加しながら女子合宿に参加しないこと(注=男子合宿の最中に負傷し、その後の女子合宿に不参加)について批判する者もいた。

 ■統括責任者が男子のコーチに対し、「男子選手に金メダルを取らせることが仕事」として、伊調馨選手の男子合宿参加をどうにかするよう伝えたことは、発言内容にもよるがパワーハラスメントには当たらない。本来的に指導を託された女子コーチの承諾も得たうえでやることが、良識に沿った進め方というべきである。

 ■統括責任者が「伊調のコーチをするな。おまえが伊調を見ていると女子のコーチが惨めだろ。おまえは女子のコーチじゃない」などと言ったことは、その立場を考えるとパワーハラスメントではない。

 ■ロンドン・オリンピックで、伊調馨選手のサポートメンバーのUが試合会場の練習場に入れなかったことは、オリンピックでは割り当てられるIDが少なく、サポートメンバーはIDを持っていないため、もともと試合会場の練習場に入ることはできないのでパワーハラスメントではない。伊調選手と同日に試合があったR(48kg級)のサポートメンバーも試合会場の練習場には入っていない。

 ■リオデジャネイロ・オリンピックに向けて、スタート時のG強化本部長は、伊調選手は女子合宿に専念するものとし、男子合宿への参加は認めないことを決めた。①女子コーチ陣における伊調選手のみを特別扱いすることへの反発に配慮するとともに、②男子フリースタイルのコーチ陣は一丸となって男子選手のコーチに専心すべきとの方針。伊調選手、田南部コーチとも特に異を唱えることなく、3スタイルのチーム全体の和を考えると特に不合理な制約とはいえない。3スタイルの各チームにおいて、とりたてて不協和音はなく、パワーハラスメントとは言えない。

 ■リオデジャネイロ・オリンピックの移動に際し、栄本部長とS、Wがビジネスクラスで行ったことは、伊調選手は「自費でビジネスクラスに乗ったのだろう」と理解し、自身はPの勧めで自費でプレミアムエコノミーに変更した。栄本部長はSとWに同行するため自費でアップグレードしたにすぎず、伊調選手に対するパワーハラスメントとは認められない。(注=日本オリンピック委員会の規定で、選手はエコノミークラスの移動が前提で、自費でアップグレードすることは問題ない)

 ■平成29年1月ころ、警視庁の監督が伊調選手の所属監督に対して、今後は警視庁に練習に来てもらっては困る旨の話をした。警視庁は部外者である伊調選手に対し、もっぱら好意で練習場の使用を認めていたものであり、伊調選手が同クラブの練習場を当然に使用できるわけではない。警視庁は北京オリンピックから3大会にわたりオリンピック選手を出しておらず、立直しの一環としてそれまで好意として行っていた伊調選手への協力に一区切りをつけることは、考えられる選択である。

 ■警視庁が田南部力コーチを外したことは監督としての裁量の範囲内であり、一般企業におけるローテーション、人事異動と同一レベル。この人事異動に関して、栄本部長と打合せがあったことをうかがわせるような事実は認められなかった。

 報告書では、パワーハラスメントの抑止に向けた取組の必要性として、倫理規程の十分な周知徹底、選手とコーチとの間におけるルール作りの必要性、選手選考・ナショナルチームのコーチの選考過程の公平・公正化及び透明化、協会運営についての提言がなされている。

 最後に、下記のように結ばれている。

「いろいろな人が自分の思惑の下に行動 し、互いに軋轢を生じさせている。どれ一つをとって見ても、小さい、せせこましいというのが正直な感想である。一人ひとりがレスリング競技の原点に立ち戻り、『敬意と思いやり』の心を取り戻してもらいたい。

 競技において勝つことが重要であることはいうまでもない。しかし、昨今、余りに勝つことにのみ眼を奪われ、勝つことのその先にあるものが見失われているように思う。協会がレスリング競技の原点に回帰し、メダルの数によって国民からの賞賛を得るだけでなく、これまで以上に、レスリング競技そのものへの感動と 感激を伝えることによって、国民からの信頼を獲ち得ることを切に望む次第 である」。


《調査の方法など》

 第三者委員会は、内閣府への告発をしたA弁護士より告発状の写しを提出してもらい、経緯と内容の説明を受け、調査が始まった。ヒアリング対象者は19人で、2人は複数回。平成20年8月~30年3月8日までの約10年間にわたる期間のパワーハラスメントの有無を調査した。告発状に書いてあるものに限定せず、過去の事例についても調査した。

 事実の存在を示すビデオ、その他動画、音声データなどの直接証拠は皆無で、ヒアリング対象者のいずれからも、そのような直接証拠は提出されなかったため、のべ21人の供述を総合的に検討し、事実に認定する方法となった。ヒアリング対象者には、内容が漏洩することがないよう厳しく通達したという。

 調査報告書は4月5日、第三者委員会から藤沢信雄・倫理委員会委員長へ提出された。日弁連が定めている企業等不祥事における第三者委員会のガイドラインにしたがって行われており、第三者委員会は客観的な証拠に基づいて事実認定をし、事実認知の権限は第三者委員会のみ。依頼した協会は報告書提出前には一切見ることができない。

 パワーハラスメントの厳密な定義はないが、今回は民事上の規定、裁判で採用されるパワーハラスメントの概念より広い範囲で調査されているという。







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