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2018.07.11

【世界選手権代表決定プレーオフ・特集】練習の成果を出せたラスト11秒での逆転…女子50kg級・須崎優衣(早大)


(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫)

ラスト11秒、執念のタックルを決めた須崎(青)

 第2ピリオド、残り30秒を切った時点では入江ゆき(自衛隊)が4-3でリードしていた。たかが1点、されど1点。残り時間が少なくなるにつれ、1点差の重みは須崎優衣(早大)に重くのしかかっているように見えた。

 入江は1点を守り切ろうと、守りのレスリングに転じていたので、なおさら試合の流れをひっくり返すことは難しいように思えた。

 入江と須崎の間で争われた世界選手権代表選考プレーオフの女子50kg級は、十中八九、入江が勝利を手中にしたかに思えた。

 それでも、須崎に焦りはなかった。あったのは「世界選手権には絶対私が行く」という執念にも似た強い思いだけだった。だからこそ「自分の強さはここから」と言い聞かせた。強がりではない。JOCエリートアカデミー時代から世話になっている吉村祥子コーチの指導のもと、ラスト30秒になった時点での様々なシチュエーションに対処するための練習を嫌というほど積んでいた。

 「0-4で自分が負けている状態。あるいは2-0で勝っている状態。そういうシチュエーションの練習をたくさんしてきたので、(逆転する)自信はありました」

 昨年12月の全日本選手権では、入江にあれよあれよという間に得点を許し、気がつけばテクニカルフォール負けを喫していた。須崎にとっては世界チャンピオンになった後の全日本選手権だっただけに、これ以上ない屈辱だった。

すべての力を振り絞っての片足タックル

 その教訓が活きた。「正直、初めに2点とられた時、天皇杯(全日本選手権)の時と同じようなとられ方だったので一瞬焦ってしまいました。でも、今回はそこから『まずは2点を取り返そう』と気持ちを切り換えることができました」

勝利を決め、会心の笑顔の須崎

 全ての想いを集約させた片足タックル。その勢いは入江のさばきを凌ぎ、2点を奪い返した。5-4。残り時間10秒になろうとしていた矢先の大逆転劇に、観客席は沸きに沸いた。須崎はこのまま負けるのは嫌だったという本音も漏らした。

 「最後は、負けてもいいからいこう、とすべての力を振り絞って片足をとりにいきました。全身全霊でいったという感じです」
 
 そのまま試合終了。入江サイドはチャレンジを申し立てたが失敗したので、最終的には6-4というスコアでの勝利となった。周囲の想像を遥かに越えるデットヒートを制した須崎は、マットに両ヒザをつきながら19歳になったばかりの女子大生らしい歓喜の表情を浮かべた。「勝ててよかったと思ったら、うれしくなった」

 この勝利によって、3ヶ月後には世界選手権を控える須崎は、自らに課題を課すことも忘れなかった。「先制点を奪われた時に手(さばき)が止まっていたりしていたので、自分がやらなければいけないことに気づきました。初めてから自分のレスリングで闘えるようにしないといけないと痛感しました」

 どこまでも思いはまっすぐ。世界選手権、そして来るべき東京オリンピックに向け、須崎は理想のスタイルをどん欲に追い求めるつもりだ。「どんな時でも自分の最高のレスリングを出し切って勝てるような選手になりたい」-。







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