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(文=布施鋼治)
「最低でもメダルは持って帰りたい。そろそろ結果を出さないと」。世界選手権での目標を聞くと、男子グレコローマン77㎏級の屋比久翔平(ALSOK)は力強く宣言した。
8月のアジア大会(インドネシア)では5位。準決勝で昨年の世界選手権71kg級3位のモハマダリ・アブドルハミド・ゲラエイ(イラン)と闘い、1-8で敗れた。4試合闘った中ではモハマダリ戦が最も印象に残っているという。「当初からマークしていた選手なのでいろいろ対策は練っていたけど、まだ相手の方が一枚上手でした。モハマダリもばてている中、自分が詰めた時に崩されていました」
大会前、屋比久は「外国人選手は後半になったら総じてスタミナが切れる」という傾向を語っていた。案の定、2012年ロンドン・オリンピック74㎏代表のアスカト・ディルムカメドフ(カザフスタン)との2回戦では、後半になってからポイントを取ることができた。
「でも、モハマダリのような世界トップ・クラスの選手が相手になったら、そう簡単にはいかなかったという感じです」
その一方で、収穫もあった。4試合ともグラウンドでポイントをとることができたことだ。屋比久は世界選手権でもグラウンドで点数をとることを目標にあげる。「僕はリフト技が得意なので、バック投げなどをさらに強化していきたい」
3位決定戦に回った屋比久は今年のアジア選手権同級優勝のピン・ヤン(中国)との一戦に臨んだが、3-4で黒星。惜しくもメダル獲得は逸した。それでも、ピン・ヤンとの実力差は感じなかったという。「最初にグラウンドで回せなくて、そのあとも詰められないで逆に点数をとられてしまった。準決勝と同じパターンで負けた感じがします」
準決勝にしろ、3位決定戦にしろ、あと半歩攻め込めていれば試合の流れはひっくり返っていたのではないか。抱いた印象をストレートにぶつけると、屋比久は本当に勝負はやり方次第と相づちを打った。「実力が拮抗(きっこう)してくると、ゲーム展開に任せていたらいけない。その中で、ひとつ確実に取り切らないと勝ち抜けない」
アジア大会で得た教訓から、全日本合宿では連続してスパーリングを行い、ばてた状態でも最後に取り切ることを意識した。「国内の練習で、相手がフレッシュな状態でも取り切ることができたら、(実戦で)外国人選手がばてていたら、そうすることができると思う」
屋比久が世界選手権で最も闘ってみたかったという2012年ロンドン&2016年リオデジャネイロ両オリンピック連覇のロマン・ブラソフ(ロシア)は、ひざの手術で欠場することになってしまったが、モハマダリやピン・ヤンとのリベンジマッチを熱望する。
「次にやったら負けない、という気持ちで練習をやっています」。ジャカルタで味わった悔しさをブタペストで晴らせ!