(取材=布施鋼治)
10月5日(金)からアルゼンチン・ブエノスアイレスで行われる第3回ユース・オリンピックに参加する日本選手団が10月1日、成田空港から出発した。
大会は32競技が行われ、日本は23競技に91選手が参加。主将は卓球の張本智和(エリートアカデミー)、開会式の旗手はレスリング女子73kg級に出場する鏡優翔(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)が務める。
競技以外にも、国際交流の促進などを目的とした「文化教育プログラム」が実施され、レスリング競技が行われるのは10月12日(金)からで、12日に男子グレコローマン、13日(土)に女子、14日(日)に男子フリースタイル。
日本選手団は9月30日に都内のホテルで結団式を行い、1日に成田空港へ向かった。吉村祥子監督(エステティックTBC)は「ユース・オリンピックは1回目も2回目も監督を務めさせていただきました。ただ、開催国が違うと大会も少しずつ違うので、新たな気持ちで挑みたい。過去2大会では規定で男女1名ずつしか出られなかったけど、みんな金メダルを獲っている。今回も過去2大会に並ぶような結果を残したい」と好成績を誓う。
女子2選手はともにカデットの世界選手権とアジア選手権で優勝している。男子3選手もそれらの大会を経験しており、国際経験は十分。「アルゼンチンに到着してから試合まで10日以上あるので、時差に関していえば心配していない。前半はしっかりと体力面で追い込みます。後半は練習量を落としていって、ベストな状態で試合に挑めるような流れに持っていきたい」と話した。
■男子フリースタイル55kg級・藤田颯(埼玉・花咲徳栄高)「総合の国際大会に出るのは初めて。楽しみの方が大きい。気候が異なると減量にも影響するので大変な部分もあると思うけど、いろいろなところに行けるのはいい経験になる。(今回コーチとして一緒に現地入りする)高校の高坂拓也監督からは『優勝を意識しすぎると気負ってしまうので楽しめ』と言われています。トーナメントで一番の山は今年の世界カデット選手権54kg級3位のウクライナの選手との一戦になると思う。後半で点を取ってくるタイプなので、自分から積極的にどんどん崩していきたい。目標はもちろん優勝です」
--------------------
■男子グレコローマン51kg級・佐々木航(静岡・飛龍高)「海外に遠征するのは4回目。南半球は初めてなので、結構ドキドキする。一方でワクワクもしています。こういう機会はめったにないと思う。もしかしたらこれが高校生としては最後の大会出場になるかも。マークしたいのは今年の世界カデット選手権9位のジョージアの選手。出場メンバーの中では彼が最も実績を残している。彼と過去に対戦した経験はありません。ほかに実績を残している選手は少ないけど、気を抜かないで一戦一戦集中して闘いたい。課題は試合中に集中力が切れることがあるので、切らさないように闘うことです」
--------------------
■男子グレコローマン71kg級・山田脩(千葉・日体大柏高)「ユース・オリンピックは一生に一度しか出られない大会であり、自分にとっても特別な大会。楽しみである一方、少し緊張しています。アルゼンチンは自分で行こうと思っても簡単に行ける国ではない。素直にうれしい。時差には強い方だと思うので心配はしていません。マークしているのは世界カデット選手権で負けているモルドバの選手。たぶん闘うと思う。リベンジしたい。自分はメダルを狙える位置にいると思う。日本人選手らしくスタミナを武器に、後半強いところを見せながら、金メダルをしっかり獲れるように頑張りたい」
--------------------
■女子57kg級・尾﨑野乃香(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「誰と当たっても、自分のレスリングで勝つことが目標です。今まで辛い思いをして頑張ってきた。この間のインターハイでは負けているので、その悔しい思いをユース・オリンピックで晴らしたい。マークしているのは今年の世界カデット選手権決勝で当たったハンガリーの選手。その時はアンクルホールドによるテクニカルフォールで私が勝っている。今回も返り討ちにしたい。インドの選手とはアジアのカデットで闘って勝っているものの、油断はできないと思っています。初めてのアルゼンチンでも不安はありません。闘うだけです」
--------------------
■女子73kg級 鏡優翔(JOCエリートアカデミー/東京・帝京高)「開会式の旗手を務めることを聞いたのは最近です。(旗の)持ち方や歩き方は結構練習しました。海外遠征は7回目なので苦にならない。JOCエリートアカデミーでは週1回、英会話の授業を受けている。英語も少しは聞き取ることができます。大会でマークしているのは地元アルゼンチンの選手(今年の世界カデット選手権9位)。彼女にとっては母国で開催される大会なので、力を入れて挑んでくると思う。今年の世界カデットの1回戦で当たったベラルーシの選手も力があって強かった。得意のハイクラッチを武器に、自分のレスリングで立ち向かいたい」