今年の全日本選手権では、世界選手権(ハンガリー)の女子55kg級で優勝した向田真優(至学館大)が、奥野春菜(至学館大)が優勝した53kg級にエントリー。現役世界チャンピオン同士が対戦する可能性が出てきた。
現役世界チャンピオン同士が対戦するのは、国内では2014年全日本選手権53kg級で実現した吉田沙保里(53kg級世界チャンピオン)と浜田千穂(55kg級世界チャンピオン)の対戦までに、男子1例、女子9例がある。所属が同じというケースは初めてで、両選手とも三重県生まれと、出身も同じだ。
過去の勝敗は、階級を動かさなかった選手が8勝2敗と勝ち越している。
国内で現役世界チャンピオン同士が闘うというのは、最低でも2人の世界チャンピオンがいて、しかも近くの階級の選手でなければありえない。どの国でも実現するものではない。世界チャンピオンを量産してきた日本女子ならではのことだが、かつて軽量級で世界に名だたる王国を築いた男子でもあった。
日本協会の福田富昭会長が日大4年生だった1965年、英国で行われた世界選手権の57kg級で優勝。この時、1階級下の52kg級で優勝したのが吉田嘉久選手(法大)。約3ヶ月後の全日本学生選手権で吉田選手が57kg級に出場。1階級上の選手相手でも世界王者の実力を発揮して勝ち上がり、福田会長と準決勝で対戦した。
結果は福田会長が上の階級の世界王者の意地を見せて勝ち、決勝で世界選手権の代表を最後まで争った田中忠道選手(法大=のちの世界王者、故人)を破って3連覇を達成している。
過去、現役世界チャンピオン同士が闘った試合は下記の通り。
2014年 | 全日本選手権53kg級 | 吉田沙保里 | ○ | フォール 0:53=2-0 |
● | 浜田千穂 |
(53kg級世界優勝) | (55kg級世界優勝) | |||||
2007年 | クイーンズカップ゚63kg級 | 伊調 馨 | ○ | 2-0 (1-0,3-0) |
● | 正田絢子 |
(63kg級世界優勝) | (59kg級世界優勝) | |||||
2006年 | 全日本選手権63kg級 | 伊調 馨 | ○ | 2-0 (1-0,2-1) |
● | 正田絢子 |
(63kg級世界優勝) | (59kg級世界優勝) | |||||
2006年 | 全日本選手権55kg級 | 吉田沙保里 | ○ | 2-0 (2-0,4-0) |
● | 坂本日登美 |
(55kg級世界優勝) | (51kg級世界優勝) | |||||
2004年 | クイーンズカップ゚55kg級 | 吉田沙保里 | ○ | 6-1 | ● | 山本聖子 |
(55kg級世界優勝) | (59kg級世界優勝) | |||||
2003年 | 全日本選手権55kg級 | 吉田沙保里 | ○ | 4-0 (6:58) |
● | 山本聖子 |
(55kg級世界優勝) | (59kg級世界優勝) | |||||
1995年 | 全日本女子選手権47kg級 | 山本美憂 | ○ | 5-3 (4:34) |
● | 足立美穂 |
(51kg級世界優勝) | (47kg級世界優勝) | |||||
1994年 | 女子東西対抗戦47kg級 | 足立美穂 | ○ | 5-4 (4:14) |
● | 吉村祥子 |
(47kg級世界優勝) | (44kg級世界優勝) | |||||
1991年 | 全日本女子選手権70kg級 | 浦野弥生 | ○ | フォール (1:04) |
● | 岩間利香 |
(75kg級世界優勝) | (70kg級世界優勝) | |||||
1965年 | 全日本学生選手権57kg級 | 福田富昭 | ○ | 判 定 | ● | 吉田嘉久 |
(57kg級世界優勝) | (52kg級世界優勝) |
※2006年の全日本選手権は2007年1月に実施