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2019.01.09

【特集】全日本選手権で復活優勝! 「この優勝は本当に大きな一歩」…女子57kg級・伊調馨(ALSOK)

(文=布施鋼治、撮影=矢吹建夫/全日本選手権・試合日での取材による記事です)

 なんてドラマチック! 2018年全日本選手権の最終日(12月23日)に行われた女子57㎏級決勝戦。新旧女王対決を制したのは、残り時間10秒というところで逆転に成功した伊調馨(ALSOK)だった。土壇場でバックを奪い、2点をゲット。3-2と1ポイント差ながら59kg級の現役世界チャンピオンの川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)に判定勝ちを収めた。

 試合後、インタビュースぺースに現れた伊調は、素直に優勝した胸中を語った。「本当にいろいろな、複雑な気持ちがあるが、それを上回るくらい素直にうれしい」

予選リーグでの闘いは川井梨紗子の勝利

予選リーグ初戦での4年ぶりの対戦は、川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)の手が上がった

 今年の女子57㎏級は、“まさか”の連続だった。まず21日の組み合わせ抽選の時点で、2年連続世界選手権代表の坂上嘉津季(ALSOK)の負傷棄権が明らかになり、出場選手が8人から7人になった。規定により、3人と4人に分かれた予選リーグ戦が行われ、各リーグの1位と2位が準決勝を争う。勝者同士が決勝を争うので、再戦もありえるノルディック方式の組み合わせだ。

 4年連続日本一を狙う川井と3年ぶりに日本一返り咲きを狙う伊調は、3人の予選リーグで一緒になった。両者は2013年から14年の全日本選手権や全日本選抜選手権で計3度対決し、伊調の全勝に終わっている。いずれの試合でも川井は1点も奪うことはできなかった。しかし、その後の川井の活躍は言わずもがな。伊調が2016年リオデジャネイロ・オリンピックで個人の女子アスリートとしては初となるV4を成し遂げたあと、長い休養に入ったのとは対照的に、川井は新生・全日本のリーダーとして君臨し続けてきた。

 「過去の戦績は参考程度にしかならない」というのが大方の予想だった。案の定、川井は予選リーグの初戦で、“4度目の正直”で快勝した。伊調にカウンター攻撃を許すすきを与えず、アクティビティ・タイムで2点を奪い、そのまま勝利を収めた。伊調が奪ったポイントはアクティビティ・タイムでの1点のみ。川井は伊調にほとんど何もさせなかったという流れの試合だった。

 結局、川井は予選を1位で、伊調は2位で通過。決勝トーナメントへと駒を進める。そして二人は決勝で再び相まみえる。

「体力も技術もまだまだ上げていけると思っている」…伊調馨

 2日間で新旧女王対決が2度も実現するなんて、いったい誰が想像できただろうか。勝負の分かれ目は第1ピリオド終盤に訪れる。伊調がアクティビティ・タイムを受けている時に、川井は片足タックルを成功させ、場外に押し出した。これで1点。中には「あと何秒か待っていれば、アクティビティ・タイムでの1点も得ることができたのに…」という関係者もいたが、勝負の世界に「if(イフ=もし)」は存在しない。

決勝での再戦は伊調馨(ALSOK)が勝利。6月に予想される次の闘いは?

 その後、お互いアクティビティ・タイムで1点ずつ取り合い、川井が2-1とリードする展開に。試合はそのまま進むと思われた刹那、伊調は冒頭で記した通りに終了間際に大どんでん返しに成功し、会場に詰めかけた大観衆をどよめかせた。

 最後の展開を、リオデジャネイロの決勝で伊調が演じた逆転劇に重ね合わせる向きもあった。しかし、伊調は「そんなことをする余裕などなかった」と打ち明けた。「(残り時間が)あと何秒かも分かっておらず、相手の足をキャッチすることだけを考えていました」

 通常のトーナメントで争われていたら、こんな結末を迎えていなかったかもしれない。伊調はノルディック方式という新ルールを最大限に活かしたということか。「この優勝は本当に大きな一歩。体力も技術もまだまだ上げていけると思っているので、感覚をすべて戻した上で進化していきたい」

 とはいえ、東京オリンピックへ向けての闘いは始まったばかり。6月の全日本選抜選手権で伊調と川井は、さらに激しく火花を散らすのか。







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