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2019.04.16

【特集】“けいこ場横綱”返上! 気持ちの強さをもってアジア選手権へ挑む…男子フリースタイル65kg級・清水洸希(拓大クラブ)

(文・練習撮影=樋口郁夫)

清水洸希(拓大クラブ)

 世界王者の乙黒拓斗(山梨学院大)が負傷のため出場辞退したアジア選手権(4月23~18日、中国・西安)の男子フリースタイル65kg級は、昨年12月の全日本選手権3位の清水洸希(拓大クラブ)が繰り上がって出場することになった。

 拓大時代の4年間で、優勝は東日本学生選手権の1回だけ。協会関係者の中にも、名前と顔が一致しない人も少なくないだろう。しかし、昨年の全日本選抜選手権も3位に入賞している。2017年世界選手権代表の鴨居正和(自衛隊)を破っての成績。あと一歩が打ち破れなかっただけで、実力は十分の選手だ。「挑戦者なので、思い切って挑んできます」と燃えている。

練習では強いが、試合では出せなかった拓大での4年間

 アジア選手権出場の打診があったのは3月末。「最初はびっくりしました。練習は続けていましたが、6月の全日本選抜選手権が目標でした。でもチャンスなので、すぐに出場を決めました」。この3月に拓大を卒業。レスリングを続けるため、進路をペンディング(保留)して練習を続けていた。最終的に日本は不参加となったが、3月下旬のU23アジア選手権(モンゴル)の代表候補にも挙がっており、全日本選手権の後もしっかり練習していたとのことなので、急な抜擢であっても、コンディション的には問題がない。

2009年全国中学生選手権38kg級表彰式。左から乙黒圭祐、藤波勇飛、長谷川敏裕、清水洸希。いずれも全日本トップ選手に成長している=撮影・矢吹建夫

 あとは“気持ち”だ。拓大での評価は「練習では強い」。道場では、昨年11月の全日本大学選手権で優勝した大学の後輩の谷山拓磨をしのぐものを見せるが、試合でそれが出せないでいた。2014年のインターハイ学校対抗戦で花咲徳栄(埼玉)が優勝した時のレギュラー・メンバーながら、高校時代の個人のメダル獲得といえば、3年生の時の国体グレコローマンで2位があるだけ。

 さかのぼれば、石川・金沢ジュニアの選手として2006・07年に全国少年少女選手権で優勝しており、資質は十分だ。「あと一歩が足りない…、といった感じでした。練習ではできても、試合でできない」。

 選手は、「やり切った」「どんなにやっても乗り越えられない」と思えば、卒業という区切りで競技をやめるだろうが、「あと一歩」という感覚があって体が動けば、それに挑むのではないか。清水は、高校卒業の時も、大学卒業の時も、「レスリングをやめる気はありませんでした」と振り返る。

昨年12月の全日本選手権で一皮むけた!

 その気持ちをいっそう後押ししたのは、全日本選手権での結果と内容だった。初戦で大学王者の谷山を4-0で破り、追い越された後輩に対する雪辱を卒業前に果たした。2回戦で日体大主将の嶋江翔也を撃破。準々決勝では2016・17年の学生王者で、3ヶ月前の世界大学選手権(ブラジル)優勝の米澤圭(早大主将)を破る殊勲。

全日本合宿で練習する清水

 準決勝でも前年王者の高谷大地(自衛隊)に7-8の惜敗。「前半リードしていて逆転負けでした。リードして勝ちが見え、守りに入ってしまったんです」。前向きになれた気持ちが揺らいだ試合だったが、全体として考えると、攻撃の気持ちが前面に出て、殻を破った大会だったと言えるのではないか。「それまでは、『負けたらどうしよう』という気持ちが強かった。全日本選手権の時は『やるしかない』という気持ちになれました」。

 アジア選手権に挑む清水は、“けいこ場横綱”を返上し、一皮むけた清水だ。外国は「世界王者に代わって出てくる日本代表」として見てくる。勝手に恐れてくれる選手もいるだろうが、「だったら、怖くない」と思う選手もいるだろう。プラスにもマイナスにもなりうる“代役出場”に、「自分は世界チャンピオンではないです。全日本選手権の時みたいに、思い切って攻める試合をしたい」と、周囲に惑わされず闘うことが目標。海外の強豪を相手に、チャレンジャー精神を前面に出せるか。

 ここでの内容と結果が、6月の全日本選抜選手権につながることは言うまでもない。優勝するためには、過去2回闘って2回とも完敗だった乙黒との闘いを避けては通れず、本当の日本代表はまだ遠いことを自覚している。「(乙黒は)技術も高いですが、負けん気が強いですね」。気持ちの強さが重要という点でも、見習うべき選手ととらえている。

 日本代表のシングレットを着てアジア選手権の舞台で闘う清水。このあと、真の日本代表になるためには、気持ちの強さをいっそう前面に出さねばなるまい。







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