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2019.04.27

【2019年アジア選手権・特集】手術によるブランクを乗り越え、アジア女王に返り咲く…女子68kg級・土性沙羅(東新住建)

復活優勝を遂げ、笑顔の土性沙羅(東新住建)

 【西安(中国)、文=布施鋼治、写真提供=UWWオフィシャルカメラマン・保高幸子】

 「この金メダルの意味合いは復活です」-。

 中国・西安で開催されたアジア選手権第3日。女子フリースタイル68㎏級の土性沙羅(東新住建)は決勝で“宿敵”周鳳(中国)を3-2で下し、2年ぶり通算4度目の優勝を果たした。「忘れられないメダルのひとつになりそうです。本当にまたここから登っていけそうな気がします」

 土性はこれまで周鳳と3度対戦し、2勝1敗と勝ち越している。2017年のアジア選手権準決勝で対戦した時には7-7で逃げ切っているので、実際には五分と見ていいかもしれない。しかも今大会での周鳳は絶好調。初戦では2度世界一に輝くバチェチェグ・ソロンゾンボルド(モンゴル)に反り投げを決め、場内をどよめかせた。

見つめる先は東京オリンピックの金メダル!=準決勝

 体格を比較しても土性より遥かに大きい周鳳を相手に土性はどのような戦略を立てていたのか。「周鳳は手足が長く、タックルが上手なことはわかっていた。私は身長も低いので、低く構えて中に入らせないようにしようと思いながら闘いました」

 志土地翔大コーチ(至学館大職)とともに立てた戦略は的中する。準決勝までの快進撃が嘘のように、周鳳は攻撃を仕掛けられない。タックルを出しても、土性にすぐ切られてしまう。試合がこう着しかけた第1ピリオド2分過ぎ、土性は相手の手をたぐってからの片足タックルを決め、場外へ押し出した。

 準決勝までも土性はタックルを決めていたが、今大会の中では「会心の一撃だった」と振り返る。「準決勝までも手足が長い選手はいたけど、周鳳はそれに加え強い選手だった。そんな選手に対して、しっかりとタックルで2点取れたことは大きな自信になった」

 第2ピリオド残り1分30秒を切った場面では、周鳳に場外まで押し出されそうになったが、直前に体を入れ換えダメ押しの1点を追加した点も見逃せない。かつて幾多の国際大会で魅せた土性ならではの勝負強さが戻ってきたような気がした。

「手術して、本当によかったなと思います」

 個人の国際大会出場は2017年の世界選手権(フランス)以来。土性は「そこからいろいろあった」と回想する。いろいろのきっかけは、彼女を長期欠場に追い込んだ肩の負傷を指す。幸い今大会で痛みを感じることはなかった。「練習中にはちょっと気になることもあるけど、試合になるとアドレナリンも出るし集中しているので、肩のことを考えることはなかったですね」

レスリングシューズには「沙羅」の名前が

 最終的には手術に踏み切った。手術は成功したが、回復までには時間を要した。「私の場合、神経麻痺みたいになって感覚がなかったり、上腕二頭筋肉に力が入らなくて、腕を曲げるということがなかなかできない状況が続きました」

 本当に再びレスリングができるのか。不安が頭をもたげたが、担当医の「自然と治っていくから」という言葉を信じた。「いまはよくなったし、力も入るようになってきた。手術して、本当によかったなと思います」

 タックルの威力は半分程度戻ってきたという実感があるが、まだ正面からの入りには怖さがつきまとう。腕が伸びて、また肩を痛めてしまったらという不安があるからだ。「角度によってはまだ力が入らないこともある。リハビリをしっかりしながら、(完全回復まで)少しずつ治していきたい」

 来年夏の東京オリンピックまでに、肩の完全復活をたぐり寄せることができるか。







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