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2019.08.21

【特集】東京オリンピック出場枠獲得にかける(5)…女子53kg級・向田真優 (至学館大)

(文=保高幸子)

向田真優(至学館大)

 オリンピック出場がかかる今年の世界選手権。女子53kg級は現役世界チャンピオン対決を制した向田真優(至学館大)が出場する。55kg級で2016年と2018年に世界チャンピオンとなった向田。通算4回目の世界選手権となり、「今回と東京オリンピックで続けて金メダルを取れるように頑張りたい」と、控えめだが、向田らしくはっきりと決意を表した。

 向田にとって、銀メダルに終わった2017年の世界選手権がターニングポイントだった。あの後の1年間は、「同じ思いをしたくない、この悔しさを晴らしたいという気持ち」で踏ん張り続け、翌年は表彰台の一番上に戻り、2度目の世界選手権金メダルを獲得した。しかし、それは2度とも55kg級でのことだった。

 今年4月のアジア選手権では53kg級で出場。減量幅が大きくなり、「以前の経験から7kg落としても動ける自信があったけど、アジア選手権では体が動きませんでした」。アジア選手権での減量は6kg程度だったが、軽量級の女子選手にとっては大きな負担。そんな大幅な減量をせざるをえなかったことを反省。世界選手権に向けては、通常体重を54~55kgに抑えている。

2017年世界選手権53kg級決勝、終了間際に逆転負けした向田真優=撮影・保高幸子

 アジア選手権では、もうひとつの敗因があった。「最後、弱気になってしまった」。決勝でパク・ヨンミ(北朝鮮)と対戦し、3-2でリードしていながら、残り8秒でテ-クダウンを奪われ、悔しい思いをした。以前からの課題の部分だ。練習では、残り10秒、20秒で強気に攻めることを特に意識して練習しているが、アジア選手権ではそれを徹底できなかった。

 しかし、これも自身を奮い立たせることにつなげた。「これまで勝ったり負けたりの繰り返し」だからこそ、一つずつ改善できているはずだ。

 「同じ失敗はしない」-。世界チャンピオン同士の対戦となった6月の全日本選抜選手権では、その反省点を克服したといえるだろう。「自分が絶対に東京オリンピックに出るんだ、絶対!」「東京オリンピックで金メダルを取る!」という前向きの鼓舞で勝ち抜けたと話す。

リオデジャネイロでの経験を無駄にしたくない

 他の選手の試合を見ても、「試合では何が起こるか分からないけれど、最後は気持ちの強い選手が勝つと思った」と実感している。世界選手権では、投げられることも、けがすることも恐れず、「最後まで諦めずに闘えば勝てる。それを実行できるようにしたい」と微笑む。海外の大会でも、「勝つと思った選手が負けたりしているし、相手がどうこうではないと思う。自分を出し切ることが大切」と、特定のライバル選手の名は口にしなかった。

昨年の世界選手権でチャンピオンに返り咲き、満面に笑みを浮かべた向田真優=撮影・保高幸子

 2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは、現地に同行して4度目のオリンピックに出場した吉田沙保里さんのそばで一部始終を見ていた。「調整から試合、オリンピックへの思いを感じました。これを東京オリンピックで活かしたい、無駄にしたくない、と思っていました」と当時を振り返る。

 全日本選抜選手権に向けても練習で同じ緊張感を感じたといい、女子選手が多い至学館大ならではのこと。オリンピックにかける選手たちの中で生活することで、得られるものは多いはずだ。

 世界選手権には、どの国の選手も人生をかけて挑んでくる。「一瞬でも弱気になったら勝てない」と反復練習し、悪いくせを直し、自分の形で攻めることを徹底。自信をつけている。

 地元・三重のコーチもカザフスタンまで応援に駆けつけるそうで、その期待に応えるつもりだ。「一番いいところを見せたい。タックルを決めて勝ちたい」。世界選手権まで、あと1ヶ月を切った。「1日1日、自分に厳しく大切に、自信を持って大会を迎えられる自分でありたい」と着実に準備している。

 「吉田沙保里の階級」と言われた53kg級を、向田真優の代名詞にしてほしい。


2019年世界選手権=東京オリンピック第1次予選(9月14~22日、カザフスタン・ヌルスルタン)
女子53kg級代表・向田真優(至学館大)
 1997年6月22日生まれ、22歳。三重県出身。東京・安部学院高卒。157cm。2013年世界カデット選手権52kg級優勝など早くから国内外で台頭し、2014年ユース・オリンピック52kg級優勝。2016年は全日本選抜選手権53kg級優勝のあと、世界ジュニア選手権55kg級で優勝し、12月の世界選手権55kg級でも勝った。2017年世界選手権は53kg級に出場し、決勝で敗れたが、2018年世界選手権は55kg級で世界一へ。
略歴(詳細) JWFデータベース UWWデータベース 国際大会成績
女子53kgkg級・展望 / 5位以内がオリンピック出場枠獲得、3位以内は協会規定により日本代表に内定






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