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2019.08.26

【特集】東京オリンピック出場枠獲得にかける(9)…男子グレコローマン97kg級・奈良勇太(警視庁)


(文=渋谷淳)

奈良勇太(警視庁)

 男子グレコローマン97kg級の奈良勇太(警視庁)は、初出場だった2017年大会から3年連続3度目の世界選手権出場を果たす。初出場の時は「正直なところ、試合より世界選手権のマットに立てる喜びが大きかった」。2度目の昨年は「試合内容にもこだわったけど勝てなかった…」と大きな悔しさを味わった。

 同時に、2度の世界選手権で1勝も挙げられなかったことは、「いかに世界と戦うのか」というテーマを突き詰める原動力となった。

 まずは国内と同じようにやっていては勝てないことを実感した。「国内だと自分より大きな選手がいなくて、(相手の)手足も短く、グラウンドでミスをしても守れる。海外の選手は背が高かったり、力が強かったり、ちょっとのミスでテクニカルフォールに持っていかれる」。攻撃では「ちょっとしたミスで返せない。距離感、手足の長さ、ウエストの細さが違う」。すべてが違うのだ。

 奈良は海外遠征で強敵ともまれながら、国内でも工夫しながら練習を続けた。国内の97kg級選手でリフト技を使う選手はあまりいないが、パワーのある海外勢は当たり前のように使う。そこで、リフト技を得意にしている下の階級の選手に、リフトのタイミングやディフェンス方法を学んだ。

グラウンド防御の成長を感じた7月の「オレグ・カラワエフ国際大会」=撮影:ウィリアム・メイ

 その成果が出たと感じたのは7月の「オレグ・カラワエフ国際大会」(ベラルーシ)だ。1回戦ではグラウンドの守りで持ち上げられず、回されず、相手の攻撃をしのいだ。「2年前だったら回されていたと思う。海外遠征で外国人選手のパターンも少しずつ分かってきたし、国内での練習の成果も出た。徐々にですけど、この2年間で勉強できていると思います」。

 東京オリンピックの予選も兼ねた今回の世界選手権は、今までとはまったく違う意味合いを持つ。世界選手権に2度出場しながらオリンピックに縁のなかった父の英則さん(日大OB)からは「おまえは、いま現役で、目の前にオリンピックがあるんだから、本気で頑張った方がいい」と言われている。8歳下の妹は今年、東京・日体大桜華高に入学してレスリングを始めた。家族にオリンピックの舞台に立つ姿を見せたい。その思いが奈良のモチベーションになっている。

日本勢の活躍もあったグレコローマン重量級

 「父はガミガミ言うタイプじゃないんですけど、『オリンピックには出たかったな』と、今でも言っています。家族だけでなく、友だちや応援してくれる人を含めて、自分がオリンピックに出たら喜んでくれると思う。年齢的にも東京で終わりとは考えていませんが、そういう期待にこたえたい気持ちがあります」

3度目の世界選手権出場を決め、敬礼ポーズの奈良勇太=撮影・矢吹建夫

 苦戦の続く重量級だが、過去には日本勢の活躍もあった。2007年の世界選手権ではグレコローマン96kg級の加藤賢三(自衛隊)が5位に入賞し、翌年の北京オリンピックの出場枠を獲得した。2013年の世界選手権でも斎川哲克(栃木・足利工高教)が同級で5位入賞を果たしている。

 「結果を残した先輩たちがいます。不可能ではないし、世界選手権では何が起こるか分からないと言われています。過去に結果が出ていない選手がポンと勝ち上がることもある。自分はノーマークですから、それを狙っています」

 1試合、1試合、得意の首投げを狙いながら全力で戦い、結果的にオリンピック出場のキップを手にできれば理想的だ。日体大の同級生だった樋口黎(日体大助手)は2016年リオデジャネイロ・オリンピックの男子フリースタイル57kg級で銀メダルを獲得、同じく同級生の文田健一郎(ミキハウス)は2017年の世界選手権・男子グレコローマン59kg級で王者に輝いた。

 そろそろオレの番でもいいでしょう」と奈良。笑いながらもその眼は鋭く光っていた。


2019年世界選手権=東京オリンピック第1次予選(9月14~22日、カザフスタン・ヌルスルタン)
男子グレコローマン97kg級代表・奈良勇太(警視庁)
 1996年3月7日生まれ、23歳。東京都出身。埼玉・花咲徳栄高~日体大卒。185cm。高校時代にJOC杯カデットで優勝。日体大へ進み、2014年全日本学生選手権で1年生王者へ。2016年はJOC杯、全日本選抜選手権などのほか、世界ジュニア選手権96kg級で5位入賞と実力をつけた。2016年全日本選手権で初優勝。2017・18年に世界選手権に出場。
略歴(詳細) JWFデータベース UWWデータベース 国際大会成績
男子グレコローマン97kg級・展望 / 5位以内がオリンピック出場枠獲得、3位以内は協会規定により日本代表に内定






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