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2019.09.27

【2019年世界選手権・特集】急成長のタミラ・メンサストック(米国)、「死に物狂いで練習します」…女子68kg級・土性沙羅(東新住建)


成長したタミラ・メンサストック(米国)に翻弄された土性沙羅=撮影・保高幸子

 【世界選手権取材チーム】負傷箇所の手術によるブランクを経て2年ぶりの世界選手権に挑んだ女子68kg級の土性沙羅(東新住建)は、3回戦で昨年3位のタミラ・メンサストック(米国)に敗れ、敗者復活戦を勝ち上がって挑んだ3位決定戦でもアンナ・カルメン・シェル(ドイツ)に黒星。オリンピック出場枠獲得にとどまり、代表内定は12月の全日本選手権に持ち越しとなった。

 最大のヤマ場は3回戦のメンサストック戦だっただろう。メンサストックは、以前は「パワーはあるが荒削り」という評判の選手で、技術という点で劣っていた。しかし、“時間”はそうした短所を補い、大きく成長させてくれる。力強さに正確なタックル力が加われば、強さが増すのは当然のこと。

 今年は1月の「ヤリギン国際大会=72kg級」(ロシア)、3月の「ダン・コロフ-ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)、4月のパンアメリカン選手権、5月の「サッサリ国際大会」(イタリア)、8月のパンアメリカン大会と優勝を重ね、向かうところ敵なしの勢いを見せていた。

 土性は「本当に相手が強かったなと思います。力も体格も全然違います」と素直に相手の強さを認める。最初に失点し、反撃のタックルは通じず逆にポイントを取られ、最後までペースをつかめなかった。「手(腕)を取らせてくれなかった」とも話し、土性の腕取りタックルを徹底的に研究していた形跡もあった。いつしか、強大な敵に成長していた。

「いまの自分のポジションはかなり下の方」

 この段階では、他力ながらオリンピック代表内定の望みは残っていた。土性の願い通りにメンサストックが決勝に進み、土性が生き返って3位決定戦まで進んだが、ここで伏兵とも言えるドイツ選手に黒星。身長が土性より16cm高い選手だが、これまで長身の選手を倒して世界一になってきたのだから、この差が影響したとは言えまい。

オリンピックと世界選手権を通じて初めてメダルを逃した=同

 「自分が弱かったんだと思います。攻め切る勇気が足りなかったので、しっかり取り切れなかった」とは敗戦の弁。肩の状態を問われると、「悪くないし、練習もできていた」と答え、影響がなかったことを強調したが、何度か口にした「気持ちの弱さ」の遠因がここにあったのかもしれない。

 「今の自分のポジションはかなり下の方なので、死ぬ気で1年やらないといけない。回りは成長しているので。練習量とか気持ちの面で足りないものがたくさんあったと思う」。オリンピック・チャンピオン、世界チャンピオンは過去の成績。二流・三流の選手相手なら、その実績が大きな武器になるが、一流選手相手にはパワーにはならない。

 「回りは成長している」という言葉は、国内でも当てはまる。昨年12月と今年6月に国内を制したからといって、次も勝たせてもらえる保証などないのが、勝負の世界だ。勝ち取ったオリンピック出場枠を自分のものにするためには、「気持ちを切り換えるしかない。死に物狂いで練習します」という言葉の実践あるのみだ。

 最後に、地元メディアが驚嘆するほど日本から多くのメディアが訪れたが、記者の間から「MVPは土性!」という声が上がったことを付記しておきたい。試合に負けても、取り乱すことなく報道陣の前に足を進め、理路整然と話し、言い訳することなく「自分が弱かったから」と口にし、一礼して立ち去る行動は、日本レスリング界の源である“八田イズム”の真骨頂。取材する側の胸を熱くせずにはいられなかった。







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