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2019.11.21

【2019年女子ワールドカップ・特集】ロシアに就任した名伯楽、シメオン・ステレフ・コーチ(ブルガリア)に聞く


 千葉・成田市中台運動公園体育館で行われた2019年女子ワールドカップのロシア・チームには、昨年3月の高崎大会では中国のコーチだったシメオン・ステレフ氏(60)がいた。1981年のフリースタイル62kg級世界王者などを経て指導者へ。ブルガリアのコーチとして、女子72kg級で世界一に5度輝いたスタンカ・ズラテバらの強豪選手を育てた名伯楽だ。

 ステレフ・コーチの指導下、ロシアは今年の世界選手権で2人の世界チャンピオンを輩出し、国別対抗得点で2位に躍進した。指導するステレフ氏に聞いた。


ロシア女子のコーチに就任したシメオン・ステレフ氏=撮影・矢吹建夫

 ――ロシアのコーチは、いつ引き受けたのでしょうか。

 ステレフ 今年3月からです。

 ――昨年3月の高崎でのワールドカップでは、中国のコーチでした。ロシアのコーチに就任した経緯を聞かせていただけますか?

 ステレフ ロシアからオファーを受けました。中国では約8ヶ月間、指導をやりました。その8ヶ月間は、指導のすべてを任されていました。しかし、8ヶ月経った頃から、中国のコーチが練習のプログラムをつくり、そこに(補助的に)指導してくれ、となりました。これは面白くありませんでした。すべてを任せてくれなければ、本当の指導はできません。

 ――その8ヶ月間は、納得のいく指導ができていたのでしょうか。

 ステレフ アジア・チャンピオンを6人つくりました(2018年アジア選手権)。その直後に高崎で行われたワールドカップは2位でした。結果を出せなければ、私の指導が悪かったことになりますが、結果が出ているのに、そうした処遇をされたのは納得できませんでした。

 ――ステレフさんの練習方法が中国人に合わなくなったのでしょうか。

 ステレフ それは分かりません。もしかしたら、6人ではなく、10人のチャンピオンを課せられていて、それができなかったので切られたのかもしれません(笑)。

 ――ロシアの女子はどんな状況でしょうか。

 ステレフ 去年の世界選手権はメダルなしで団体16位でした。今年は2人が世界チャンピオンとなり、団体2位になりました。中国は、去年の団体は2位でしたが、今年は4位に下がっています。私の力が大きいことを分かっていただけますか。

東京ではナタリア・ボロビエワを優勝させる

 ――優勝した一人のナタリア・ボロビエワ(72kg級=2012年ロンドン・オリンピック72kg級優勝)は来日していませんね。

 ステレフ 10月末の世界軍隊大会(中国)で、優勝しましたが負傷してしまい、大事をとらせました。けが人が多く出て、今大会は当初の予定から4階級で選手を変えざるをえませんでした。ベストメンバーには程遠かったです。

世界選手権のセコンドでボロビエワを指導するステレフ・コーチ(右)

 ――オリンピックに72kg級があれば、ボロビエワは優勝候補の本命と思いますが、残念ながら非オリンピック階級です。来年はどうするのでしょうか。

 ステレフ 68kg級か76kg級、まだ本人も決めていません。どちらの階級も出場枠を取れていないので、まず出場枠を取るために、どちらの階級を選ぶかを決めないとなりません。

 ――リオデジャネイロ・オリンピックのあと、負傷でブランクがあったのですよね。

 ステレフ 負傷もあったようですが、出産でブランクがあったと聞いています。復帰し、だんだん調子を上げてきました。

 ――まだ全盛期の力までは戻っていないのでしょうか。

 ステレフ まだ戻っていないです。階級は分かりませんが、東京で2度目のオリンピック・チャンピオンに輝くことを願っています。

 ――これから3月の欧州予選に向けて、どんな強化を予定していますか。

 ステレフ 国内でしっかり練習させます。1月にヤリギン国際大会(クラスノヤルスク)、2月中旬に欧州選手権と大きな大会がありますが、出場枠を取れていない階級は1番手を欧州予選に送りますので、そこに照準を合わせます。取れている階級は欧州大会に出場させる予定です。

ワールドカップで奮戦するロシア選手=同

 ――協会から、オリンピックでの金メダル数のノルマを課せられているのでしょうか。

 ステレフ 多ければ多いほどいいでしょう(笑)。私自身、ブルガリア代表でオリンピックに出て、ブルガリア、ギリシャ、アゼルバイジャン、中国のコーチとしてオリンピックを目指しましたが(中国はオリンピック前に終了)、常に金メダルを多く取ることを目標としてきました。

 ――第三者として見た場合、ロシアの金メダルの可能性はいくつでしょうか?

 ステレフ 1人か2人でしょう。メダルは最低3つ取りたいです。

 ――日本は、おそらく6階級でオリンピックに出場することになると思いますが、「この階級は日本には勝てない」と思う階級はありますか?

 ステレフ 川井梨紗子はすばらしい(のでロシアが優勝できなくても仕方ない)。50kg級の須﨑優衣もいい選手だ。試合では何が起こるか分からないので優勝を予想することは難しいですが、日本は50、53、57、62kg級の4階級で優勝の可能性はあるでしょう。

 ――重量級は厳しいでしょうか。

 ステレフ 68kg級は土性沙羅の負傷が完治すれば優勝を狙えると思います。古市雅子が出てきても同じでしょう。76kg級の皆川博恵は、優勝は厳しいかもしれないが、今年2位の選手なので、どうなるかは分かりません。

いつかは、再び母国ブルガリアで指導したい

 ――故郷のブルガリアは、最近、今ひとつの成績ですね。

 ステレフ 自分がコーチをやっていた時に比べると低迷しているので、とても残念です。今はロシアを勝たせることに全力を尽くしてますが、機会があれば、ブルガリアで指導してみたいと思っています。外国から声をかけられて、外国で指導していますが、ブルガリア人ですし、母国を愛していますので、ブルガリアへ戻りたい気持ちはあります。

試合を見つめるステレフ・コーチ=同

 ――今年の世界選手権の62kg級決勝では、昨年の世界チャンピオンのタイベ・ユセイン(ブルガリア)が敗れました。

 ステレフ 私は彼女の指導もしていて、2012年の世界選手権(カナダ)で2位になりました。その後、離れてしまいましたが、あまり成長していないですね。私がコーチのままなら、絶対にオリンピック・チャンピオンにさせました。スタンカ・ズラテバは、ずっと私の指導を受け、あれだけの選手になったと思っています。

 ――「オレについてこい」ですね。

 ステレフ 選手にとっては、指導者とふだんの練習とが大事なのです。

 ――今でもマットの上で選手とすごい練習をやっているそうですが、60歳にして、その健康の秘訣は何なのでしょうか。

 ステレフ 毎日やることです。コーチは口だけでは駄目です。マットに上がって、体を使って指導してこそ、いい選手が育ちます。そのため、毎日、体を動かしています。

 ――気持ちはあっても、体力は衰えていくものですが。

 ステレフ レスリングは私の人生です。子供は目いっぱい遊んでも、疲れを知りません。遊ぶのが好きだからです。それと同じです。私はレスリングが好きで、それが習慣になっています。ですから、疲れることを知らないのです。







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