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2019.11.22

【2019年女子ワールドカップ・特集】ライバルは自分自身、東京オリンピックの68kg級を制するか、タミラ・メンサストック(米国)

(文=布施鋼治)

決勝で松雪成葉(至学館大)を破ったタミラ・メンサストック=撮影・矢吹建夫

 千葉・成田市で開催された2019年女子ワールドカップで、とびっきり明るいオーラを放っていた米国選手がいる。今年の世界選手権(カザフスタン)3回戦で土性沙羅(東新住建)を撃破。その勢いで68㎏級を初制覇したタミラ・メンサストックだ。

 「オリンピック・チャンピオンと試合をするということは、私にとってすごくエキサイティングなことでした。土性に対して自分は恐れることなく何ができるか。自分を試すため、彼女と闘いました」

 11月17日のワールドカップ最終日。日本との決勝では松雪成葉(至学館大)と激突。タミラの闘い方は、自分から攻めるだけではなく、対戦相手の攻撃に対処してポイントを奪うという試合巧者ぶりが目立っていた。その結果、タミラは8-1で松雪を撃破した。

 かつて「パワーはあるけど、試合運びは粗削り」という評価を受けていた時代がうそのようだ。いったい、どんな練習をしてきたのか。「今回は相手が入ってきたところで切り返す練習をよくしていたので、試合でも使っていました」

今大会は3試合に快勝、通算1失点という内容だった=同

 レスリングのスタートは15歳の時だった。「その前は陸上をやっていました。きっかけは双子の姉がレスリング部に入ったことでした。レスリング部の監督が姉に『誰か連れてこい』と言ったことで、55分だけ世に出るのが遅かった私が引っ張られたんですよ」

 初めてレスリングを練習した時の印象は最悪だった。「だって、押されたり、押さえつけられたり…。汗びっしょりになるし、正直辞めたかったですね」。しかし、1ヶ月ほど経つと、レスリングに対するイメージはがらりと変わった。「初めて試合に出た時、勝つことができた。すぐ好きになりましたね(微笑)」

 タミラが世界の第一線で活躍するようになったのは昨年の世界選手権(ハンガリー)で3位に入賞してからだろう。今年になってからは出た大会すべて優勝を続けている。急成長した理由を聞くと、メンタルについて話し始めた。「練習している時、私は絶対タックルを取られない、と言い聞かせるようにしました。練習では、わざと自分を疲れさせるようにして、細かい部分を修正していきました。その成果が出たんだと思います」

「私は絶対タックルを取られない」と言い聞かせる

 今年の世界選手権後は、すでにけがでレスリングを引退した姉とともに中国と日本を旅行したという。「中国から船で日本に渡りました。KYOUKO(注=タミラは京都のことをなぜかこう発音する)では古いお寺を巡りました」

世界選手権決勝で勝った直後はマット上で号泣

 東京オリンピックの米国代表は来年4月半ばに開催される予定の最終予選で決定する。世界選手権で優勝したことで、最終予選の決勝に出場する権利を得ており、予選を勝ち抜いてきた選手と対戦する。タミラは自信満々だが、「これから頑張らないといけない」と気を引き締めることも忘れない。

 東京オリンピックでのライバルは誰? 「自分自身です。最近はずっとそうだけど、自分に勝つことがテーマになるでしょう」。

 世界選手権の表彰式後、タミラは取材陣の前に現れるや、喜びのあまり腰を振りながら歌を歌っていた。東京オリンピックの会場、幕張メッセでも張りのある美声を披露できるか。







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