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2020.01.02

【新春特集】オリンピック・イヤーを迎えて…福田富昭会長インタビュー(1)

 オリンピック・イヤーを迎えた。東京大会が決まった2013年9月から7年。地元オリンピックに向けて強化を積み重ねてきた総決算の時がやってくる。協会の会長として5度目のオリンピックを迎える福田富昭会長に、2020年の決意を聞いた。(聞き手=布施鋼治)


オリンピック・イヤーを前にした2019年全日本選手権であいさつする福田富昭会長=撮影・矢吹建夫

 ──2020年はオリンピック・イヤー。そうなると、どうしてもメダルの数が気になってしまいます。まずは、リオデジャネイロ・オリンピックでは4個の金メダルを取った女子から話をお聞きしたい。

 福田 女子は、全階級で金メダルを目指してほしい。57㎏級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は十分にチャンスがある。53㎏級の向田真優(至学館大)は、昨年の世界選手権では実力を出し切っていなかった(2位)。出し切れば優勝です。世界選手権では2位だった76㎏級の皆川博恵(クリナップ)や3位だった62㎏級の川井友香子(至学館大)も十分優勝を狙える。特に皆川は、成田でのワールドカップ(昨年11月)を見る限り、体つきが異なってきた。ものすごくパワーをつけてきている。

 ──50㎏級では、先日の全日本選手権で須﨑優衣(早大)が準決勝で登坂絵莉(東新住建)を、決勝で入江ゆき(自衛隊)を連破して優勝。3月下旬に中国で行なわれるアジア予選進出の権利を得ました。68㎏級では準決勝で土性沙羅(東新住建)を破った森川美和(日体大)が初優勝を遂げました。68㎏級はプレーオフで土性と森川が日本代表の座を争うことになります。

 福田 50㎏級と68㎏級は国内で熾烈な争いを勝ち抜いた選手が出るわけで、この2階級も金メダル候補です。

日本のエースとしての活躍が望まれる川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)

 ──2004年のアテネからオリンピック種目となった女子レスリングは、それからずっと伊調馨選手と吉田沙保里選手が引っ張ってきた感があります。しかしながら今回は初めての伊調、吉田抜きのオリンピックとなります。

 福田 2人には東京オリンピックにも出てほしかった。吉田は昨年正式に引退してしまったけど、東京オリンピックで伊調が狙っていた5連覇なんて誰にもできない大記録だからね。でも、伊調とて負けてしまったら仕方がないですね。

 ──昨年の世界選手権で女子が取った金メダルは川井梨紗子のひとつのみ。巷では「今回は女子も厳しいのでは」というシビアな声も聞きます。

 福田 確かに厳しいと思う。だが、目標としては「全階級で金メダルを取る」という気持ちを強く持ってほしい。単に思うだけではなく、だれもが現実的にそれを達成できる位置に来ている。目標は高く持ってほしい。

 ──68kg級と76kg級の重量2階級は米国選手の強さがずば抜けていますね。

 福田 中でも68kg級の世界王者タミラ・メンサストックは身体能力がすごいね。彼女を破るのは大変だけど、まだ粗削りな部分がある。日本のきめ細かいレスリングで勝負し、勝ちにつなげてほしい。

男子軽量級には金メダル、重量級にはメダルを期待

 ──わかりました。では、次は男子の展望をお聞きしたい。

 福田 軽量級は、両スタイルのどちらかが3年連続で世界選手権の金メダルを取っている。力はついている。オリンピックでも両スタイルで金メダルを取ってほしい。

65kg級の欧州大会&欧州選手権の王者ハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)は撃破した乙黒拓斗(山梨学院大)=2019年世界選手権

 ──そうですね。2017年にはフリースタイル57㎏級の高橋侑希(ALSOK)とグレコローマン59kg級の文田健一郎(日体大=当時)、2018年にはフリースタイル65㎏級の乙黒拓斗(山梨学院大)、2019年にはグレコローマン60㎏級の文田健一郎(ミキハウス)が、いずれもオリンピック階級で優勝しています。

 福田 重量級でも、2018年には松本篤史が非オリンピック階級ながらフリースタイル92㎏級で銅メダルを取っている。そういった実績を考慮すれば、「軽量級は金メダル、重量級はメダル」という目標を持ってほしい。日本人のいいところは「最後まで諦めない」という気持ちを持っているということ。そういう精神的な部分をしっかり出すことができれば、想像以上の結果を出せると思う。

 ──2012年ロンドン大会、2016年リオデジャネイロ大会とも、日本の全競技の中でレスリングが最多の金メダルを取っています(2012年=7個中4個、2016年=12個中4個)。

 福田 「レスリングは日本のお家芸」と言われるけど、その言葉は本来、その家に代々伝わる専門の芸のこと。外国から来たレスリングには当てはまらないけど、最近お家芸という言葉は「得意」あるいは「傑出した」という意味でも使われ始めた。

 ──時代によって言葉の意味が変わっていく好例ですね

 福田 レスリングは日本レスリング界の父・八田一朗さんのおかげで、日本を代表するスポーツになった。八田さんからしっかり受け継いできたその精神を途切れさせないように、2020年が(会長としての)集大成となればいいと思っています。

《続く》







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