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2020.02.08

【特集】苦節12年! 長い下積みを経てのアジア選手権出場にかける…女子59kg級・今佑海(鹿児島県体協)


今佑海(鹿児島県体協)

 昨年12月の全日本選手権で、2年生の石井亜海が62kg級で優勝。JOCエリートアカデミー所属の選手を別にすれば、初めて高校生での優勝選手を輩出した東京・安部学院高。今年4月には齋藤ほのかコーチが監督に昇格し、さらなる飛躍を目指すが、卒業生の今佑海(こん・ゆうみ=日大~鹿児島県体協)が今月のアジア選手権の代表に選ばれ、昇り調子を後押しすることになった。

 中学、高校、そして大学と、脚光を浴びる舞台とは縁がなく、椎間板ヘルニアに悩まされてはい上がれないこともあった。今回は、全日本選手権の1・2位選手が負傷で出場を辞退したことによる“繰り上げ代表”だが、長い下積みを経ての日本代表に「せっかくのチャンス。絶対にものにしたい」と気合を入れている。

1月のヤリギン国際大会(ロシア)で外国選手対策を研究

 アジア選手権出場の打診があったのは年が明けてから。チャンピオンの屶網さら(至学館大)が選ばれるとばかり思っており、意外な打診だった。全日本2位の稲垣柚香(愛知・至学館高)が大会のあと手術することは聞いていたが、伝わってきた屶網の負傷が出場できなくなるほどとは思っていなかったからだ。「出ます」と即答した。

全日本合宿で練習する今佑海(左)

 国際大会の出場は、2015年のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)とアジア・ジュニア選手権に出場してから遠ざかっていた。タイミングよく先月のヤリギン国際大会(ロシア)に選抜され、メダルは逃したが3試合を経験することができ、格好の実戦練習をこなせた。

 「外国選手は、日本選手はタックルに来ることを知っていて、(攻めても)切られ、返されてばかり。自分からはあまり攻めず、うまく合わせて来られました」。さらに、同じ階級の選手とは思えないほど体が大きく感じ、パワーもあったと言う。闘ってみなければ分からない感覚を経験できたことは、アジア選手権へ向けて大きな収穫となっただろう。

 その中で勝機を見出すとしたら、何か。「動いたり、関節など極めるところをしっかり極めて攻めたり、とかですね」。アジアの最大のライバルとなる中国選手に対するイメージは、「力があって、レスリングもうまい」。それに合わせてしまっては絶対に勝てないので、足を使って動き、組み手で優勢を取ることと考えている。

 ヤリギン国際大会で優勝したのは昨年の世界選手権3位のショーブドール・バータルジャフ(モンゴル)。中国とモンゴルが要注意と見ている。

「このままでは終わりたくない」と、大学卒業後も継続

右中指の骨折にもめげず3位入賞を果たした昨年12月の全日本選手権(右)=撮影・矢吹建夫

 浅草生まれの浅草育ち。レスリングは小学校5年生の時、代々木ジュニアクラブで始めた。保育園と小学校の先輩だった浜口京子に憧れてレスリングを始めたのは、姉・理江子さんであって、自身は水泳に打ち込み、レスリングには関心がなかったそうだ。そのうちに、「やってみたら」と誘われ、「楽しそうだから」と始めた。

 小学校5年生からの競技スタートでは、幼少の頃から取り組んだ選手とは差があり、勝利にこだわって練習量をこなすクラブではなかったこともあって、優勝には縁がなかった。他に「試合になると焦り、弱気になるところがありましたので」と言う。それでもインターハイで2位の実績を持っている。中学の時に出会った松川知華子(日大~ジャパンビバレッジ)に憧れたので、日大へ進んでレスリングを続けるのは“既定路線”だった。

 ヘルニアを患ったのは3年生の時。やめようとは思わなかったが、「どうしていいか分からなかった」という暗闇へ。試合には勝てず、4年生の時は全日本選抜選手権も全日本選手権も出場資格を得ることができず、出場していない。「このままでは終わりたくない」という後悔を持っていた時、鹿児島国体を控える鹿児島県体協から声がかかり、もう少し続けようという気持ちになった。

齊籐将士コーチ相手に技の研究

 昨年4月から同所属の選手へ。「協会に支援してもらってレスリングが続けられることに感謝して練習と試合をこなさなければならない」という気持ちを持ちながら、最初の大会となった全日本選抜選手権では成績を残せず、この時は本当に「自分には無理だ」と思った。

 励ましてくれたのは、金浜良や吉村祥子の全日本コーチであり、高校~大学の同期生で自衛隊に進んだ古市雅子。半年後の全日本選手権では、初戦で右中指を骨折し、第2関節を脱臼しながらも3位に入賞できたのは、多くの人の支えと励ましがあればこそだろう。

 そこまでして勝ち取った全日本3位であり、アジア選手権の代表。「無駄にはできないね」との声に、「できません」ときっぱり。ヤリギン国際大会に同行した齊藤将士コーチ(警視庁)は「ロシアでの課題をしっかり認識し、対応しようとしています。よく攻める選手で体力もあるので、攻めたあとの処理を確実にやっていけば、いいところまで行くと思います」と見ている。

 「チャンスは何度も巡ってくるものではない。こういうチャンスで勝てる選手になってほしい」と期待した。








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