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2020.03.11

【東京オリンピック代表選考プレーオフ・特集】”拓斗の兄”は終わり! 同格で金メダル目指す…男子フリースタイル74kg級・乙黒圭祐(自衛隊)

(文=布施鋼治、撮影=保高幸子)

会心の笑顔で勝利を喜ぶ乙黒圭祐(自衛隊)

「小さい頃からの夢がかないました」

 奥井眞生(自衛隊)との一戦を制した直後、今の気持ちを聞かれると、乙黒圭祐(自衛隊)は涙ぐみながらそう語った。「実感はないですけど。ただ、勝ったというだけで」

 3月8日、東京・味の素トレーニングセンターで行われた男子フリースタイル74㎏級のオリンピック代表決定プレーオフ。東京オリンピックの出場切符をもぎとったのは乙黒の方だった。弟は、一昨年の世界選手権(ハンガリー)で19歳10ヶ月で優勝。日本男子史上最年少の世界王者となった男子フリースタイル65㎏級の乙黒拓斗(山梨学院大)。昨年12月の全日本選手権で勝ち、東京オリンピック出場を決めている。

 男子でオリンピックに兄弟同時出場は、2012年ロンドン大会で湯元兄弟(健一・進一)が出場して以来2組目の快挙だ。圭祐の原動力は、世間の”弟高兄低”という評価だったという。

 昨年12月の全日本選手権を制した直後、圭祐は「お兄ちゃんも強いんだぞ!」という明言を残しているが、それは今回の発言の予兆だったか。圭祐は「人にはあまり言わなかったけど」と前置きしてから、「(今まで)悔しい思いをだいぶしてきました」と吐露した。「いつも拓斗ばっかり。『この野郎!』という思いを自分の中にためながらやってきました」

オリンピックの成績では拓斗に負けない!

 プレーオフを争った奥井は同門。寮では隣部屋という間柄だ。そのせいで乙黒は「すごくやりにくかった」と打ち明けた。「僕の場合、昨年の天皇杯の準決勝(VS保坂健)や決勝(VS高谷大地)も同門だった。周囲からは『強い気持ちを持っている方が絶対勝つ』と言われていました。(いずれも)気持ちをうまく持っていけたことで、勝てたのかなと思います」

手の内を知り尽くした同士の激戦だった

 もともと圭祐は試合前になっても、必要以上のプレッシャーを感じないタイプだと自負している。しかしながら今回ばかりはプレッシャーを感じたのか、決戦の10日ほど前には落ち込むこともあったという。

 圭祐は休みをとり、自分と向き合った。「小さい頃、なぜレスリングをやっていたのか。全てを1から考え直した時、(再び)ハングリー精神が生まれました」

 東京オリンピックでの抱負について水を向けられると、圭祐は「オリンピックの成績では拓斗に絶対負けない」と弟に対する負けじ魂を爆発させる一方、弟との共闘を宣言した。「湯元兄弟はふたりともメダルを取っているじゃないですか。乙黒兄弟はそれ以上を目標に、金メダルを目標にやっていきたい」

 今回、圭祐のセコンドにはロンドン・オリンピック男子フリースタイル55㎏級で銅メダルを獲得し、現在は自衛隊でコーチを務める湯元兄弟の弟・進一氏が就いた。試合前には「あとはやることをやるだけ。しっかり集中して、勝負どころを見極めて自分から行け」という、アドバイスを受けたという。

 圭祐の強みは過去世界選手権には一度しか出ていないということ(2018年大会=初戦敗退で26位)。「自分のデータがあまり残っていないという意味で、それが自分の強みだと思っている。オリンピックまでに、うまく修正してやっていきたい」

 もう”拓斗の兄”というキャッチフレーズからは卒業か。







2023年世界選手権/激戦の跡
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