日本レスリング協会公式サイト
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2020.03.20

【特集】世界では半世紀以上の歴史! 日本でもスタートするデフ・レスリング

(文=布施鋼治)

2018年の世界デフ・レスリング選手権を報じるイランのメディア

 全日本ろうあ連盟は、「デフリンピック」の2025年日本招致を推進する方向で動いている(関連記事)。

 デフリンピックとは、4年に一度、世界規模で行われる聴覚障がい者のための総合スポーツ大会。主催は国際ろうあ者スポーツ委員会で、夏期大会と冬季大会がある。前者は1924年のパリ大会から、後者は1949年から始まっているというから歴史は古い。

 競技の中にはフリースタイルとグレコローマンに分けられたレスリングもあり、1961年のヘルシンキ大会から実施。その時はフリースタイルで8ヶ国33選手、グレコローマンで9ヶ国38選手が参加した。直近の2017年サムスン大会(トルコ)では、フリースタイルに19ヶ国88選手、グレコローマンに9ヶ国38選手が参加した。

 デフリンピック以外でもろうあ者の大会は開催されている。昨年10月28日~11月3日にベラルーシ・ゴメルで第7回シニア&第3回カデット&ジュニアの欧州デフ・レスリング選手権が開催された。今年6月2~10日にトルコ・トラブゾンで第6回世界デフ・レスリング選手権がU23の第1回大会などとともに予定されており、いずれも世界レスリング連盟(UWW)の大会日程に記載されている。

日本協会・馳浩副会長(撮影=布施鋼治)

 しかし、日本デフスポーツ委員会の中にレスリングの競技団体はない。そこで、日本レスリング協会の馳浩副会長のもとに「レスリングをやっている人の中に聴覚障がい者がいたら、日本レスリング協会でも考えてもらえないか」という話が持ち込まれた。

 馳副会長は、グレコローマン90㎏級の日本代表として1984年ロサンゼルス・オリンピックに出場後、人気プロレスラーとして活躍。現在、衆議院議員を務めるかたわら、障がい者スポーツ議員連盟事務局長を務めている。断る理由はなかった。

 「日本レスリング協会の中には、日本格闘競技連盟もあれば、社会人も大学も高校(の各連盟)もある。その一部門としてデフ・レスリング部門を設立したいと思っています」

「やってみたい」と思う人へ練習環境を提供

1992年山形国体・少年の部では、ろうあ者の高校選手が出場している=「月刊レスリング」同年12月号

 国内の聴覚障がい者がレスリングに挑戦した例はある。2016年には全日本社会人選手権の男子フリースタイル65kg級に、聴覚障害を持つ佐藤正樹(静岡クラブ)が出場し、初戦を勝ち抜いてベスト8に進出した。

 馳副会長は、参議院の今井絵理子議員の息子で先天性の聴覚障がいを持つ礼夢くんに指導したことがある。「川崎にあるプロレス道場で開催しているプロレス教室に通っているので、何回も教えに行っています。『将来プロレスラーになりたいなら、レスリングの基本もやった方がいいよ』と言ったら、成國晶子さんがやっているゴールドキッズに行き始めました」

 まずは「やってみたい」と思う人たちが練習できる環境を整えることは必要不可欠。馳副会長は近隣のクラブチームの練習に参加してもらうことがベストと考えている。

ダウン症のレスリングに取り組んできた早大・太田拓弥監督。デフ・レスリングにもとり組み始めた

 「選手のスカウト、養成、そして強化。この3段階に力を入れていきたい。そのためには新たな協会を立ち上げるより、レスリング協会の中でやった方がいいと判断しました。だったら、最初は各都道府県より、協会に登録という形をとった方がいい。選手本人+アスリート・アントラージュ─手話通訳を置く環境を整えたらできる。まずはデフのお子さんも参加できるという触れ込みが必要になってくる。できれば、令和2年度中にある程度の形を作りたい」

 指導者は早大の太田拓弥監督が最適と考えている。太田監督は2005年以降、ダウン症や自閉症児を対象にした「ワクワクレスリング教室」を定期的に開催し、年に2回、「わくわくワセダカップ」という交流戦を開いている。昨年からはデフ・レスリング教室を開校し、現在は3名の生徒を指導しているという。

「最初は健常者との合同練習から始めたい。試合になったら、レフェリーが配慮すればいいと思います」(馳副会長)

 デフ・レスリングに光が当たる日が望まれる。







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