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2020.04.11

【特集】急成長の総合格闘技団体「ONE」で活躍、頂点を目指す江藤公洋(専大OB)

(文=布施鋼治)

「ONE」シンガポール大会の記者会見にサプライズ登場したアイドル女優、松井珠理奈さん(SKE48チームS。右から2人目)とカメラにおさまる江藤公洋=撮影・布施鋼治

 総合格闘技(MMA)団体と言えば、米国のUFCが有名だが、アジア最大の格闘技プロモーションは、シンガポールに拠点を置く「ONE Championship」。日本へも進出しており、世界への飛躍を目指す急成長団体だ。ここを舞台に気を吐くレスリング出身のファイターがいる。

 専大出身の江藤公洋(和術慧舟會HEARTS)。中学までは柔道に打ち込んでいた。レスリングを始めたきっかけは、宮崎・福島高校レスリング部の清水清人監督(当時)からの熱心な誘いだったという。

 その才能は全国区でも開花した。高校3年の時(2006年)に全国高校生グレコローマン選手権74kg級と国体・少年の部フリースタイル74㎏級を制した。「もともとフリースタイルしか練習していなかったので、全国高校生グレコローマン選手権で優勝した時には、正直、実感が湧かなかったですね。県大会では身体能力とフリースタイルの技術だけで勝ち上がることができた。それで全国大会に行ったら、思った以上にうまくいった。もちろん努力はしたけど、意図せぬところで結果が出て、知らぬ間に上に行っていた感じがします」

 大学は専大へ。しかし、なかなか芽は出ず、全日本学生選手権と全日本大学選手権(ともに74㎏級)での2位がやっとだった。何が不振の原因だったのか。「僕はいなか育ちだけど、上京したら都会の誘惑が多かったこともありました。正直、高校の時ほどレスリングに専念できなかった、という思いはあります」

卒業でいったん途切れた格闘技生活、レスリング復帰からMMAへ

 大学3年の全日本大学選手権決勝では、当時いつも決勝を争っていた高谷惣亮(拓大=現ALSOK)に納得のいかないポイントを奪われて逆転負け。ここでレスリングに対する気持ちは一度プツンと切れてしまった。

2009年全日本大学選手権(大阪・堺市)の74kg級決勝で高谷惣亮(拓大)と闘う江藤公洋

 大学卒業と同時に、江藤はマットから離れる。1年半ほど何もしていない時期もあったという。しかし、不動産関係の会社に中途採用されると、「もう一回,レスリングを頑張ってみたい」という思いが頭をもたげた。仕事終わりに古巣の専大へ。「最初はボコボコにされたけど、1カ月くらいで当時の在校生には勝てるようになりました」

 さあこれからエンジン全開、という矢先に大学は春休みになってしまい、練習時間が合わなくなってしまう。他の練習場所を探し始めた江藤に、大学の先輩で総合格闘家として活躍していた上迫博仁から、「ウチのジムでもレスリングができる」と、和術慧舟會HEARTS(東京都渋谷区)を紹介された。

 「実際に行ってみたら、レスリングのクラスは週1回しかなかった。どうしようかな、と思いながら筋トレをしていたら、ジム代表の大沢ケンジさんから『打撃のクラスにも参加してみたら?』と誘われたんですよ」

 それからはとんとん拍子でMMAファイターへ。江藤は「よく分からないうちにアマチュアの試合に出て、プロの興行にも出るようになった」と振り返る。2015年には全日本社会人選手権でレスリングにも復帰したが、2016年からはMMA一本に絞った。

「ONE」に出合い、この団体の頂点が目標へ

 転機は2017年11月、PRIDEでもおなじみの青木真也選手の練習相手として「ONE Championship」シンガポール大会に足を運んだことをきっかけに訪れた。「それまでも日本でプロとしてやっていたけど、最低限度の練習をしながら、特に目指す場所も決まっていないままやっていた気がします。でも、「ONE」に出合ってからは、明確にこの団体の頂点を目指すことが自分の目標になった」

闘いの場はマットからオクタゴン(8角形の金網リング)へ。「ONE」で頂上を目指す江藤=提供・ONE Championship

 今年2月には「ONE」シンガポール大会に出場し、格上で地元期待のアミール・カーンからチョークで一本勝ちをおさめるという“番狂わせ”を起こした。江藤も「これで少しは発言権を得られたと思う。練習でも試合でも、打撃、寝技、レスリングがうまく混ざり始めた」と自信をのぞかせる。

 新型コロナウィルスのおかげで、2020年4月上旬現在、次の試合の予定は立っていないが、30歳を過ぎた江藤は、大学時代に佐藤満・専大ヘッドコーチから受けた指導が身に染みるようになってきたという。「いろいろ指導してもらったけど、若さゆえに反発してしまうところもあったし、分からなかった部分もあった。でも、今だったら理解できる。MMAを頑張るためのひとつの教えになっています」

 遅咲きの“専大パワー”はアジアの地で爆発するか。







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