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2020.10.05

【特集】南九州大が復活! 九州レスリング界に新時代がやってくる!

今夏から活動を再開した南九州大レスリング部。後列右端が西村盛正部長、左端が竹田展大監督=チーム提供

 2010年春季リーグ戦を最後に、活動を停止していた南九州大(宮崎県)のレスリング部が復活する。

 同部は1978年、前監督の西村盛正・現部長が創部した。同部長は、栄和人・至学館大監督ら強豪格闘家を数多く生んでいる鹿児島・奄美大島出身で、宮崎・宮崎日大高~日大を経て1976年モントリオール・オリンピックを目指していた強豪。その指導のもと、一時、西日本学生リーグの一部大学の常連として活躍。最高は2位(1995年春季)。

 西日本インカレ王者は14人も輩出した。日本文理大や九州共立大にレスリング部が創部されるまでは、福岡大とともに九州・沖縄の選手の受け皿のひとつだった。

 2010年、校舎が高鍋町から都城市に移転されることになり、練習場所の関係で休部。新キャンパスができた後はすぐにでも再スタートを切る予定だったが、諸事情によって話がストップ。いったん停止したエンジンを再び動かすのは、予想以上のエネルギーが必要だった。

 休部時点で61歳だった西村部長。65歳になって定年退職することになり、唯一の心残りがレスリング部のことだった。「せめて復活させ、だれかに引き継ぎたい」と考えて学長に相談したところ、2017年に大学の創立50周年を迎えるのに合わせて体育館を造り、部を復活させてくれることになった。

ウランバートルとの交流が闘争心に火をつけた

 自身の定年も70歳まで延長してくれることになり、小躍りして喜んだ。しかし、東京オリンピックのため、体育館建設とレスリング場新設に必要な資材の入手が困難になり、予定が大幅に遅れるアクシデント。完成は今年夏にまでずれこんでしまった。

西村盛正部長の闘志に火をつけた都城市のモンゴルとの交流会=2019年2月(提供:WRESTLE WIN永田克彦代表)

 ここまで間延びしてしまい、自身の年齢を考えれば、再興をあきらめても仕方ないところだが、西村監督の気持ちをつなげたのが、都城市がモンゴル・ウランバートルと姉妹都市を結んでおり、レスリングでの交流が行われたこと。2018年には伊調馨と松永共広、2019年には浜口京子と永田克彦というオリンピアンを呼び、来日したモンゴル選手との合同練習を行うなど、レスリング普及に尽力してくれた。

 「もう一度、この地にレスリングの火を灯すんだ、という気持ちになりましたね」と西村部長。2度目の定年の70歳は超えてしまったが、大学は名誉教授として75歳までの在職を認めてくれたというから、その情熱は並ではなかったのだろう。

 それでも、若手へのバトンタッチが必要な年齢だ。大学の先輩でもある日本協会の福田富昭会長に相談して若い指導者を求めたところ、同会長~馳浩副会長のつてで、鹿児島県出身で福岡・三井高~専大OB、国士舘大大学院卒の竹田展大さん(28歳)を紹介してもらえた。世界ジュニア選手権にも出場したことがあり、実績は申し分なかった。

後継者は、礼儀正しい社会人王者の強豪選手

 もうひとつのインパクトがほしかったので「全日本トップの実力を示してくれ」と“頼んだ”ところ、昨年の全日本社会人選手権のグレコローマン55kg級とフリースタイル57kg級の両スタイルで優勝(所属は東京・WRESTLE WIN=永田克彦代表)。大学に自信をもって推薦できた。

昨年の全日本社会人選手権で優勝した竹田展大監督(中央=当時WRESTLE WIN)

 西村部長が後継者として決めた大きな要因は、礼儀正しさだったという。あいさつがしっかりできるのは言うまでもない。部の再興が決まって知り合いが自宅に集まり、祝宴を開いてくれた時に来てくれ、終わったあと、何も言わないのに後片付けから皿洗いまでしてくれたという。

 「最近、こういう若者はいないですよ。彼なら、マット外での指導もしっかり任せられると思いました」と、監督として指導を託した。

 竹田監督はWRESTLE WINのコーチとして働きつつ現役を続け、大学教員の道を模索していた。鹿児島県出身といっても、宮崎県との県境に近い曽於市で、大学と実家とは車で30分の距離。最高の環境で希望の職につけたことになる。

 コロナ禍の最中の今年7月、体育館の完成を前にして、未経験者がほとんどの12人(男子7人、女子3人、マネジャー2人)の部員とともに活動がスタート。9月になってマットでの練習が始まり、19~21日には“こけら落とし”という意味も含め、宮崎県の高校選手を中心とした強化合宿(宮崎県トップ選手強化事業)を実施。県のレスリング界の歓迎も受ける形での船出となった。

キッズから大学まで、一貫強化体制ができた都城市

 同チームの再デビュー戦は来年4月のジュニアクイーンズカップとJOCジュニアオリンピックの予定。5月には11年ぶりにリーグ戦への出場が見込まれる。JOC杯3位の実績を持つ選手を含めて新人獲得のめどは立っており、全階級そろえてのリーグ戦再挑戦となりそうだ。

再建されたチームを指導する西村部長=チーム提供

 まず西日本でどこまで強さを確立できるか。竹田監督は「今は高校の強豪選手にも勝てない状況です」と話す。初心者集団では仕方あるまい。入学制度を含め大学からの支援体制は十分なので、再スタートしたここからが勝負。選手への手本として、自身の大会出場も続ける予定だ。

 都城市には、キッズ・クラブとしてWellness Kids都城クラブ(中石義洋代表=日体大卒、1991・92年学生王者)、高校では都城西高校(長尾勇気監督=同、2001年世界選手権代表)という元強豪選手が指導する2つのチームがあり、2人の監督を含めて県の関係者があたたかく受け入れてくれたことも心強い。「不安が吹っ飛びました」と言う。いずれ「都城生まれの都城育ち」という強豪が生まれるのではないか。

 竹田監督が力を入れようとするのが女子の強化。時代の流れでもあるし、西日本学生連盟からも要望されているそうで、女子のスカウトと強化も積極的に手掛ける腹積もりだ。「馳先生、佐藤(満)先生=専大コーチ、永田先生…。多くの方の尽力で希望の職につけました。本当に仲間に感謝しています。期待を裏切ることはできません」と話し、後には引けない覚悟だ。

 西村部長は、2015年には66歳で全日本マスターズ選手権に出場し優勝した。今回の宮崎県強化練習では、71歳にして高校生とスパーリングし、「怪物」と呼ばれたとか。世界ベテランズ選手権優勝の実績もある同部長の“古希(70歳)を超えての挑戦”が、若い指導者の協力のもとで始まった。

▲レスリング場の“こけら落とし”として行われた宮崎県トップ選手強化事業での合同練習=チーム紹介

▲朝日を浴びての朝練習

▲「月刊レスリング」1992年3月号に掲載された西村部長の特集







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